記事後半だけ転載するが、実にまともな見識を持った人物で、自民党にいるのが気の毒なほどだ。今や自民党は「売国党」「自国民いじめ政党」でしかないからである。
まあ、中国は「覇権主義」である、という認識が正当かどうか、私は判断できないが、単に自国の国力を高めようとしているだけと思われ、そういうのが覇権主義ならすべての国がそうだ。周辺国との国境紛争は、島国でなければどの国にもあることである。中国が覇権主義であるとすれば、「経済的覇権主義」で、別に他国に害を及ぼすものではない。むしろ中国と友好関係を結ぶことで成長できる国が多いだろう。欧米諸国もすでに中国無しでは経済が維持できないはずである。一番バカバカしいのは、政治的な同盟関係(軍事的な意味しかもたない同盟関係は国と国を争わせるだけで、もはや現代世界では有害なだけだろう)を経済にまで及ぼす思想である。
(以下引用)
「中国は敵、米国は味方」の認識があまりに浅い訳
自民党の異端議員が説く中国と正対する方法
――では、中国とはどのように対峙していけばいいでしょうか。
難しい問題だ。日本にとっては今世紀最大の難題かもしれない。現代中国のエネルギーの源泉は何か。深層心理には何があるのか。私たちはもっと知らなければならないのではないか。
中国は発明とイノベーションを繰り返してきた国だ。世界の3大発明品である火薬、羅針盤、活版印刷はいずれも中国で生まれ、世界のシステムを作り替えてきた。火薬は戦争の形を大きく変えたし、羅針盤によって航海の距離は格段に広がった。羅針盤は現代でいうところのGPS(全地球測位システム)ともいえる。活版印刷は通貨を貨幣から紙幣に変えた、いわば通貨革命を起こしたわけで、この発想は現代のデジタル人民元につながっている。
優れた文明を築いてきた中国にとって、この数世紀は屈辱の時代だった。アヘン戦争に象徴されるように西洋列強に蹂躙されてきた歴史だからだ。21世紀に入り、屈辱の歴史を挽回するのだという民族的パッションがほとばしっているのが現代の中国といえるのではないか。そのパッション自体おかしいことだとは、私は思わない。
大局的に世界史、人類史をみると、今は明らかに歴史の転換点にある。パクス・アメリカーナ(アメリカによる平和)の時代は終わりかけ、同時に、文明の軸が西から東へと動いている。
ぶつかっているのは価値観というより利害
――価値観と価値観がぶつかっているともいわれます。
必ずしも私はそうは思わない。米ソ冷戦時代のようなイデオロギー対立ではないし、宗教対立でもない。互いの国益と国益をかけた覇権の争いだ。ぶつかり合っているのは価値観というよりは利害だろう。
ここで日本人が注意して見ておきたいのは、利害対立というのは利害が一致すれば収まるということだ。テーブルの上では殴り合いをしつつ、テーブルの下では堅く握手しているなんてこともありえる。だから「米中デカップリングの時代がきた」という危機感の下で「日米同盟を強化して中国に立ち向かわなければならない」という方向に日本が突き進んでいくのは、私は危ういと思っている。
――日本にはどういう姿勢が求められるでしょうか。
中国のやり方が気にくわないからといって、売り言葉に買い言葉で、感情的に対立しても仕方がない。まずはアメリカとも中国とも一定の距離を持ち、米中対立に巻き込まれないような道を模索すべきだ。現に東南アジア諸国の中には、中国の覇権主義に脅えながらも、だからといって米中対立には巻き込まれたくないと考えている国のほうが多い。
そのうえで私は中国と「覇権主義は破滅を招く」という、日本だからこそわかる価値観を共有したいと思っている。
――どういう意味でしょうか。
明治維新に始まる日本の近代化を支えたエネルギーは、やはり西洋との緊張関係の中で生まれたものだった。西洋列強がアジア各国を次々に植民地にしていったことへの苛立ちがあったろうし、このままでは日本ものみ込まれるという焦りもあっただろう。アジアから西洋列強を追い返し、アジアを独立させたいという義侠心もあったはずだ。そうした心情、すなわち「アジア主義」の考え方が、明治維新初期の日本には確実にあった。
ところが、結果的に日本も西洋列強のような帝国主義へと堕ちていった。初志とはかけはなれ、日本自身も覇権主義国家に成り果て、アジアと日本に破滅をもたらした。このことへの深い反省が戦後日本の起点になっているはずだ。
覇権をもって秩序に挑戦すれば破滅する
私は、日本の失敗の歴史をこそ中国と共有したいと思っている。覇権をもって秩序に挑戦をすれば必ず破滅をもたらす。一時的には繁栄を手にできるかもしれないが、大日本帝国はそれで滅んだ。「覇道の道、覇権主義はあなたたちのためにはならない」という助言は、経験者である日本だからこそいえる話だ。
中国は当然「侵略してきた君たちに言われる筋合いはないよ」と反論するでしょう。それでもあえて言うのが隣国・日本としての責務だと思う。また、そう言い続けるためには日本も過去に対して反省している姿勢を示さなければならない。中国と真剣に向き合うためには、それくらいの覚悟が必要だ。
日本と中国には2000年におよぶ付き合いがある。関係がいいときも悪いときもあったが、日本は漢字から法制度まで実に多くのことを中国から学び、独自に発展させてきた。勝海舟は「日本の文物、シナから学ばなかったものは1つもない」と言ったが、その通りだと思う。
今日や明日の国益だけを見て判断するのではなく、米中どちらにもつかない道、自主独立の道を念頭におきながら100年後、200年後の東洋、アジアを構想する。そのくらいの心構えで現実に臨みたい。
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