ゆうちょ銀行は15日、提携するキャッシュレス決済事業者12社のうち、8社について、入金と新規登録を一時停止すると発表した。NTTドコモの電子マネー決済サービス「ドコモ口座」を使った不正な預貯金の引き出し問題に関連し、ゆうちょ銀行と提携するドコモ以外の5社でも被害が確認されたため。ショートメッセージサービス(SMS)などによる2段階認証を行っていなかったことが原因のひとつで、被害防止策の構築を急ぐ。
ドコモ口座を巡っては、15日午前0時時点でゆうちょ銀を含む11行の銀行口座から、計143件、総額2676万円の不正な引き出しが確認されている。一連の問題の広がりを受け、決済事業者を所管する金融庁は各事業者に対し、本人確認に厳格なセキュリティーを課すよう求める方針だ。
高市早苗総務相は15日の閣議後記者会見で、ドコモを除く5社で新たに不正な出金被害が確認されたことを明かした。高市氏は「ドコモだけでなく、幅広く不審な出金がないか、皆さまに確認していただかなければならない」と述べた。
ゆうちょ銀は15日、「NTTドコモを含めた6社において被害状況を調査中だ」とコメント。社名は公表できないとし、「防犯上の理由」と説明している。
ペイペイは毎日新聞の取材に対し、今年1月以降、ゆうちょ銀からの入金に絡んで17件、計141万円の不正な引き出しがあったことを明らかにした。キャッシュレス決済サービス「Kyash(キャッシュ)」も同日夕、3件、計23万円の不正引き出しがあったと発表した。いずれも、ドコモとは異なり、2段階認証などで本人確認をしていたが、偽造免許証などを使われたとみられる。ほかの事業者は「調査中」「コメントを控える」などと説明している。
一連の問題では、銀行側、決済事業者側のそれぞれの本人確認の甘さが指摘されている。14日には、銀行系の決済サービス「Bank Pay(バンクペイ)」も確認の厳格化が必要として新規登録を停止しており、キャッシュレス業界全体に影響が広がっている。【本橋敦子、道永竜命、松本尚也】
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