「『信頼性薄い』批判受け、DeNAの健康情報サイト『welq』、専門家が監修へ」という記事を読んで、これについては書かなければならないと思った。
というより、以前からwelqについては疑問を持っていた。
元ライターとして。
私はwelqの開設当初から病気の解説記事を書いていた。
胃や皮膚や関節の病気や難病まで、なんでも扱った。
welqの仕事は、クラウドワークスを経由して受注した。
テスト記事に合格すると、チャットワークに登録させられ、そこで業務の詳細な指示が出る。
つまりこの時点で、クラウドワークスはまったく使わない。
welqのサイトには、登録ライターの一覧表あるが、このライター達は一斉に同じ「記事のテーマ表」を閲覧する。
そしてその中から、自分が書けそうだと思ったテーマを選び、執筆する。
執筆した原稿は、ワードやテキストでメール送信するのではなく、welqのサイトにライターが直接書き込む。
ギャランティの支払いでは、再びクラウドワークスを経由する。
私が疑問に感じていたのは、記事の編集だ。
記事のダメ出しはかなり強烈で、当初は相当へこんだ記憶がある。
しかし10本以上書いたあたりで、あることに気が付いた。
welqで記事をチェックしている人たちは医療のことも病気のことも知らない、ということである。
強烈なダメ出しは「キイワードが入っていない」とか「構成が指示通りではない」とか、医療や病気の本質とは全く関係のないことについてなのである。
そして大量のライターの存在である。
有象無象、玉石混交、多勢に無勢、とにかく素人集団に少し医療のことが分かっている人が混ざっている、といった状況である。
ただ最近は、ライター一覧の中に医師の名前も出ている。
しかし高給取りの医師が、1字1円にも満たない原稿料のwelqで執筆しているとは思えないのだが。
ただwelqも慎重なところがあって、
「記事執筆で参考にしたサイトのURLを提示せよ」とか
「参考サイトは大学病院や厚生労働省のもののみ可。まとめサイトはNG」とか
「『効果がある』という断定はダメ。『専門家の中には効果があると指摘する人もいる』というふうに伝聞にせよ」といったルールがあった。
ただ残念ながら、URLで示したサイトを、welqの人たちがきちんと確認している形跡はみられなかった。
というのも、1度たりとも、大学病院のサイトと、私が書いた記事の内容が整合性が取れているかどうかについて、welqの人たちとやりとりしたことはない。
もちろん、可能性としては、私の記事が医学的に完璧な内容であることもゼロではないのだが。
冗談はさておき、私の見立てでは、welqの人たちは「参考サイトを見ていない」というレベルではなく、「参考サイトを解読できない」レベルだと思う。
繰り返しになるが、私がそう思うのは、医学的な見地に立った修正指示や疑義照会が、1度たりともなかったからである。
私は半年ほど続けてwelqでの執筆を辞めた。
それはでたらめなwelqが影響力を持ち過ぎたからである。
私は同時期に、他社のサイトで病気についての記事を書いていて、その執筆のためにネットで調べものをしていると「どのキイワードでもwelqが上位にくる」状態だった。
「これでは自分の病気について調べている人に迷惑だろう」と感じた。
welqには、深刻な病気の解説記事が山ほど掲載されているが、そのほとんどはずぶの素人が執筆し、ずぶの素人がOKを出したものだ。
中には看護師や薬剤師が書いたものもあるかもしれないが、いずれにしても医師や学会のオーソライズは受けていない。
そしてこれが一番重要なのだが、「welqの記事をネット以外の媒体、例えば紙の広告やテレビや雑誌で紹介したら、保健所が黙っていない」ということだ。
welqの記事はでたらめである。
だから私は辞めたのである。
ここでひとつ自己弁護をしておく。
私は医師でも看護師でもないが、病院で広報を担当していたことがある。
病気や治療について書き、それを医師に確認してもらい、広報誌や雑誌に寄稿していた。
よって、私の医療記事は、プロの指導を受けたものである。
もちろん私が書く文章の内容は、専門家が書いた論文や書籍で示されている範囲を決して逸脱しない。
つまり、大変残念ながら私の記事はいまだにwelqに掲載されているのだが、それでも私の記事については読者に間違った情報を提供していないと言い切れる。
最後にwelqについての感想を述べる。
公開を停止した方がよいだろう。
少なくとも、専門家によるチェックが終わり、「問題なし」というお墨付きが出るまでは、世の中の人に読ませない方がよいだろう。
というのも、welqをアットランダムに閲覧すると3分ほどで気が付くと思うが、ここには「情報提供によって社会貢献をしよう」という意図はない。
グーグルやヤフーでの検索数を上げ、広告収入を上げることだけが、唯一の目的のサイトである。
welqの記事は「閲覧者の興味を引く内容」ですらないのだ。
welqの記事は「検索画面に打ち込まれることが多いワードを並べただけ」である。
その上で今回あらためて、有害情報が混ざっていることが確実視されたのである。
即刻公開を停止するのは、プロ野球球団を持つ社会性の高い企業としては当然の処置であろう。
健康被害の危険があるという点で、異物が混入した食品を自主回収している食品メーカーを見習うべきである。
.
「信頼性薄い」批判受け……DeNAの健康情報サイト「welq」、専門家が監修へ
ITmedia ニュース 2016年11月26日
健康や医療に関する情報を掲載するキュレーションメディア「welq」に掲載された記事の内容が「信頼性が薄い」などと批判されていたことを受け、運営元のディー・エヌ・エー(DeNA)は11月25日、医師など専門家による記事内容の確認を始めると発表した。
welqはDeNAが昨年10月にスタートしたヘルスケアに関するキュレーションサイト。医療や健康に関する記事を大量に掲載しており、SEO(検索エンジン最適化)を積極的に行っているとみられ、welqの記事は検索上位に表示されることが多い。
ただ、医療や健康の専門知識を持たないライターが書いた記事がほとんどとみられ、「センシティブなテーマを扱っているのに、内容の信頼性が薄い」「薬機法(旧薬事法)に違反した内容がある」「ほかのメディアからの無断転載をみられる内容が多い」などと、たびたび批判を受けていた。
10月には、「死にたい」と検索すると、トップに表示されるwelqの記事に不適切な内容が含まれていると批判され、DeNAが記事内の広告を削除する事態に。11月下旬には、「肩こりに関する記事に『幽霊が原因のことも?』と書かれており、まったく科学的ではない」などの指摘があり、批判が再燃していた。
批判を受け同社は11月25日、「公開されている記事について、医師や薬剤師などによる監修を始める」と発表。24日から依頼を始め、今後順次、監修を受けるとしている。
また、10月17日には、薬機法の専門家がいるパートナー企業に記事内容の監修の依頼を開始したという。
監修の結果、問題があると判断した場合は、記事の削除などを行う。監修が完了した記事については、医師の氏名や顔写真か、監修した病院・クリニック名を記事中に表記するとしている。
それとは別に、社内で記事内容のパトロールチームを組成し、内容が適切かを確認。読者からも問題点を指摘してもらえるよう、記事内容に関する通報フォームを設置し、連絡をもらった内容も随時、専門家に確認するとしている。
というより、以前からwelqについては疑問を持っていた。
元ライターとして。
私はwelqの開設当初から病気の解説記事を書いていた。
胃や皮膚や関節の病気や難病まで、なんでも扱った。
welqの仕事は、クラウドワークスを経由して受注した。
テスト記事に合格すると、チャットワークに登録させられ、そこで業務の詳細な指示が出る。
つまりこの時点で、クラウドワークスはまったく使わない。
welqのサイトには、登録ライターの一覧表あるが、このライター達は一斉に同じ「記事のテーマ表」を閲覧する。
そしてその中から、自分が書けそうだと思ったテーマを選び、執筆する。
執筆した原稿は、ワードやテキストでメール送信するのではなく、welqのサイトにライターが直接書き込む。
ギャランティの支払いでは、再びクラウドワークスを経由する。
私が疑問に感じていたのは、記事の編集だ。
記事のダメ出しはかなり強烈で、当初は相当へこんだ記憶がある。
しかし10本以上書いたあたりで、あることに気が付いた。
welqで記事をチェックしている人たちは医療のことも病気のことも知らない、ということである。
強烈なダメ出しは「キイワードが入っていない」とか「構成が指示通りではない」とか、医療や病気の本質とは全く関係のないことについてなのである。
そして大量のライターの存在である。
有象無象、玉石混交、多勢に無勢、とにかく素人集団に少し医療のことが分かっている人が混ざっている、といった状況である。
ただ最近は、ライター一覧の中に医師の名前も出ている。
しかし高給取りの医師が、1字1円にも満たない原稿料のwelqで執筆しているとは思えないのだが。
ただwelqも慎重なところがあって、
「記事執筆で参考にしたサイトのURLを提示せよ」とか
「参考サイトは大学病院や厚生労働省のもののみ可。まとめサイトはNG」とか
「『効果がある』という断定はダメ。『専門家の中には効果があると指摘する人もいる』というふうに伝聞にせよ」といったルールがあった。
ただ残念ながら、URLで示したサイトを、welqの人たちがきちんと確認している形跡はみられなかった。
というのも、1度たりとも、大学病院のサイトと、私が書いた記事の内容が整合性が取れているかどうかについて、welqの人たちとやりとりしたことはない。
もちろん、可能性としては、私の記事が医学的に完璧な内容であることもゼロではないのだが。
冗談はさておき、私の見立てでは、welqの人たちは「参考サイトを見ていない」というレベルではなく、「参考サイトを解読できない」レベルだと思う。
繰り返しになるが、私がそう思うのは、医学的な見地に立った修正指示や疑義照会が、1度たりともなかったからである。
私は半年ほど続けてwelqでの執筆を辞めた。
それはでたらめなwelqが影響力を持ち過ぎたからである。
私は同時期に、他社のサイトで病気についての記事を書いていて、その執筆のためにネットで調べものをしていると「どのキイワードでもwelqが上位にくる」状態だった。
「これでは自分の病気について調べている人に迷惑だろう」と感じた。
welqには、深刻な病気の解説記事が山ほど掲載されているが、そのほとんどはずぶの素人が執筆し、ずぶの素人がOKを出したものだ。
中には看護師や薬剤師が書いたものもあるかもしれないが、いずれにしても医師や学会のオーソライズは受けていない。
そしてこれが一番重要なのだが、「welqの記事をネット以外の媒体、例えば紙の広告やテレビや雑誌で紹介したら、保健所が黙っていない」ということだ。
welqの記事はでたらめである。
だから私は辞めたのである。
ここでひとつ自己弁護をしておく。
私は医師でも看護師でもないが、病院で広報を担当していたことがある。
病気や治療について書き、それを医師に確認してもらい、広報誌や雑誌に寄稿していた。
よって、私の医療記事は、プロの指導を受けたものである。
もちろん私が書く文章の内容は、専門家が書いた論文や書籍で示されている範囲を決して逸脱しない。
つまり、大変残念ながら私の記事はいまだにwelqに掲載されているのだが、それでも私の記事については読者に間違った情報を提供していないと言い切れる。
最後にwelqについての感想を述べる。
公開を停止した方がよいだろう。
少なくとも、専門家によるチェックが終わり、「問題なし」というお墨付きが出るまでは、世の中の人に読ませない方がよいだろう。
というのも、welqをアットランダムに閲覧すると3分ほどで気が付くと思うが、ここには「情報提供によって社会貢献をしよう」という意図はない。
グーグルやヤフーでの検索数を上げ、広告収入を上げることだけが、唯一の目的のサイトである。
welqの記事は「閲覧者の興味を引く内容」ですらないのだ。
welqの記事は「検索画面に打ち込まれることが多いワードを並べただけ」である。
その上で今回あらためて、有害情報が混ざっていることが確実視されたのである。
即刻公開を停止するのは、プロ野球球団を持つ社会性の高い企業としては当然の処置であろう。
健康被害の危険があるという点で、異物が混入した食品を自主回収している食品メーカーを見習うべきである。
.
「信頼性薄い」批判受け……DeNAの健康情報サイト「welq」、専門家が監修へ
ITmedia ニュース 2016年11月26日
健康や医療に関する情報を掲載するキュレーションメディア「welq」に掲載された記事の内容が「信頼性が薄い」などと批判されていたことを受け、運営元のディー・エヌ・エー(DeNA)は11月25日、医師など専門家による記事内容の確認を始めると発表した。
welqはDeNAが昨年10月にスタートしたヘルスケアに関するキュレーションサイト。医療や健康に関する記事を大量に掲載しており、SEO(検索エンジン最適化)を積極的に行っているとみられ、welqの記事は検索上位に表示されることが多い。
ただ、医療や健康の専門知識を持たないライターが書いた記事がほとんどとみられ、「センシティブなテーマを扱っているのに、内容の信頼性が薄い」「薬機法(旧薬事法)に違反した内容がある」「ほかのメディアからの無断転載をみられる内容が多い」などと、たびたび批判を受けていた。
10月には、「死にたい」と検索すると、トップに表示されるwelqの記事に不適切な内容が含まれていると批判され、DeNAが記事内の広告を削除する事態に。11月下旬には、「肩こりに関する記事に『幽霊が原因のことも?』と書かれており、まったく科学的ではない」などの指摘があり、批判が再燃していた。
批判を受け同社は11月25日、「公開されている記事について、医師や薬剤師などによる監修を始める」と発表。24日から依頼を始め、今後順次、監修を受けるとしている。
また、10月17日には、薬機法の専門家がいるパートナー企業に記事内容の監修の依頼を開始したという。
監修の結果、問題があると判断した場合は、記事の削除などを行う。監修が完了した記事については、医師の氏名や顔写真か、監修した病院・クリニック名を記事中に表記するとしている。
それとは別に、社内で記事内容のパトロールチームを組成し、内容が適切かを確認。読者からも問題点を指摘してもらえるよう、記事内容に関する通報フォームを設置し、連絡をもらった内容も随時、専門家に確認するとしている。
コメント