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徽宗皇帝のブログ

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ABCD包囲網の実情と真珠湾攻撃の意義
私は、学校教科書の歴史の本を読んでも、「誰が何のためにそれをしたのか」というそのポイントがほとんど理解できないので、自分はある種の歴史音痴(地理や公民も同様だが)だと思っていた。物事の因果関係が明確に理解できないと、その物事を記憶することもできない性格だから、当然、社会科や理科の成績は最悪だった。たぶん、これは私一人ではないだろう。いわゆる、鈍才である。(国語と英語はわりと好きだったから、それだけで大学まで行けたようなものだ。)世の学校秀才というものの多くはその反対に、「理解できなくても暗記でき、暗記した事柄の問題への適用はできる」才能の持ち主ではないか。
しかし、個人的な問題は別として、もっと大きな問題があって、それは「教科書で使われている言葉」の意味を生徒が深く考えたり、理解したりしないままでどんどん前に進むのが今の学校教育だ、ということだ。
私の場合、いや、他の多くの生徒もそうだと思うが、「ABCD包囲網」という言葉は、他の多くの学術用語(受験用知識)同様にこれも「何となく」覚えているだけで、まったく理解はできていない。日本が経済的に包囲された、つまり経済的に封鎖された、ということだと思うが、それが具体的にどういうものか、先生から習ったかどうかも覚えていない。たぶん、習っていないと思う。そもそも、そういう「近現代史」まで授業で行ったかどうか、あやふやだ。たぶん、明治あたりで授業は終わったのではないか。(実際、社会科の日本史授業というのは、なぜか全国的に、そういう中途半端な形で終わっていたようだ。これは意図的なものかとも思う。最近は、近現代史を重視すると文部科学省は言っているようだが、それはまた、右翼教科書を学校に採択させようという動きと同期している。)
下の記事は、その「ABCD包囲網」について、非常に重要な指摘をしている、と思う。そしてまた、私が上に書いたことも大事だと思う。つまり、我々は言葉だけで「分かったつもり」になっていることがあまりにも多い、ということだ。これは小林秀雄の「我々は名前を知った途端、その物を見なくなる」という言葉(言葉自体はこの通りではないが)と関連した、この社会で生きる人間に共通する重大な「精神的欠陥」だろう。
しかも、この社会では、特に上に立つ人間や、「上級国民」の言葉は人を騙すためにこそ使われる、ということがある以上、我々庶民はもっと言葉というものについて意識的になる必要があるのではないだろうか。
なお、「真珠湾攻撃」を発案、建策したのは山本五十六だったと私はうろ覚えしているが、もしそうならば「陰謀論」でよく言われる「山本五十六スパイ説」というのも、案外的を射ているのかもしれない。というのは、この「真珠湾攻撃」によって、当時対外的不干渉主義が世論であった米国は一気に「日米戦争」へと盛り上がったという話だからである。「ABCD包囲網」の実情からして、この「真珠湾攻撃」がまったく不要な、それどころか日本にとって有害なものであったという、下記記事の指摘は大きい。


(以下「逝きし世の面影」から引用)赤字部分は引用者(徽宗)による強調。



『松岡祐介の日独伊の集団自衛権と、謀略事件としての20世紀のパールハーバー』

今の日本では左翼や知識層の考えでは、日本が敗北した第二次世界大戦(対米戦争)は『悪い戦争』であり、右翼や低脳ネットウョのB級市民にとっては『仕方が無い戦争』『やむをえない戦』争』だと思っているが、どちらも大事な見落としがある。
第二の『21世紀のパールハーバー』(9・11)ですが、今から見れば限りなく謀略事件であったことが分かるように、実は74年前の初回の『20世紀のパールハーバー』自体が政治的に邪まな目的で計画された謀略事件である可能性が高い。
大きな必然的な歴史の流れから見て、74年前の真珠湾奇襲攻撃も14年前の9・11(アルカイダの奇襲攻撃)にしても同じで、全体の流れから異質な存在で突出していると言うか、取って付けた印象がある。基本的に意味不明で、辻褄が少しも合っていないのである。
左翼の『悪い』でも右翼の『やむをえない』でもなくて(冷静の世界情勢を考察すれば)対米戦争は不必要な、『意味の無い戦争』だったのである。
今の歴史教科書的な解釈では、経済封鎖のハルノートを突きつけられた日本軍部はABCD包囲網でのジリ貧を恐れて真珠湾を奇襲攻撃したとされているが、現実の歴史的事実とは大きな違いがある。
ABCD包囲網と乱暴にも一括りにするが、Bのイギリスはゲーリング元帥のナチスドイツ空軍の猛爆撃下にあり本国の防衛だけで手一杯。例え日本に攻撃されても第一次世界大戦のドイツと同じで身動きが取れない。
Cの中国は日本軍に対抗するだけの実力が無いし、Dのオランダに至っては本国がドイツの全面占領下にありインドネシアのオランダ軍など一撃で倒れる。
唯一の例外(日本軍にとっての脅威)がAのアメリカであった。
それ以外の国で日本に対抗出来るだけの実力を持っている国は世界中で何処にも無かったのである。

『戦争が政治経済の延長(クラウゼヴィッツの戦争論) が正しいなら、政治や経済は戦争の延長でもある』

孫崎享によれば、日本の対アメリカ戦争の唯一の出口戦略とは『民主主義国家米国は戦争継続できない、2年頑張れば勝つ』だったが、ルーズベルトがイギリスを助けるために参戦してもパールハーバーさえ無ければ、十分に成り立っていたのである。
海軍の真珠湾奇襲攻撃の2時間半も前に、日本陸軍はイギリス領マレー半島(戦略的要衝のシンガポール)を奇襲していたが、目的は石油があるオランダ領のインドネシアの早期攻略であったといわれている。
第一次世界大戦で日本は世界帝国イギリスが止めるのも聞かず、日英同盟を根拠にして中国のドイツ軍を攻撃して火事場泥棒的に南洋諸島を手に入れている。
第二次世界大戦でも『勝ち馬に乗る』日本の戦略はまったく同じだった。
東京裁判のA級戦犯として死んだ松岡祐介が日独伊三国同盟を結んだ日付は、フランスが降服した後であり、矢張り火事場泥棒的に仏領インドシナを占領する。
それなら延長線上には日本陸軍のイギリス領マレー半島(戦略的要衝のシンガポール)を奇襲や石油があるオランダ領のインドネシアの早期攻略は当然な成り行きであった。
74年前の海軍のパールハーバー(対米戦争)だけが14年前の9・11と同じで、(他との類似性が無い)異質であり突出した異様な、目的が不明の事件だった。
パールハーバー無し(対米戦争抜き)の第二次世界大戦なら日本軍の勝利とか、例え勝利できなくとも日本有利の停戦での講和条約が出来上がっていた。
(山本五十六など海軍では対米戦争が何時起きるかが不明であり、日本としては自立的に対処できないことを根拠として、勝利することが無理な対米戦争を決行するが無茶苦茶。論理的な整合性がゼロ)
両方とも、わざと解決不能の自滅的な大問題を自分から作っているのである

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