未利用の預金口座に手数料を課す金融機関が23あり、過半数は昨秋以降に導入したことが朝日新聞の取材でわかった。日本銀行がマイナス金利政策を始めてから今月で4年。長引く低金利で銀行の収益はじわじわと悪化し、顧客にも負担を求める動きが広がる。
大手銀行、地方銀行や信用金庫など約370の金融機関の動きを調べた。2年(一部は5年)以上使われない普通預金口座に維持管理手数料を導入済みか予定するのは、栃木銀行(宇都宮市)・十六銀行(岐阜市)など7銀行に加え、山梨信金(山梨)・愛知信金(愛知)・播州信金(兵庫)・大川信金(福岡)など少なくとも16の信金。大半が年1200円(税別)の手数料がかかり、残高がそれ以下になると解約される。対象は新規開設者で、既存口座には適用されない。
導入のねらいは決済サービスなどにかかる基本費用を顧客にも負担してもらうこと。1口座の維持コストは信金の場合、年2千~3千円。金利が低下し、銀行は企業への貸出金利と預金金利の差(利ざや)の収入が減り続けている。海外展開や収入源の多角化が難しい地方の中小金融機関ほど、維持費の負担も重い。未利用口座は犯罪の温床になるため、不正防止を理由に挙げる金融機関もある。
今月導入した稚内信金(北海道)の増田雅俊理事長は「多くの金融機関が正当なコストを転嫁できていなかった。もらうべきものをもらう時代になったということ」と話す。「日銀は(金融緩和で)『パンドラの箱』を開け、やめたくてもやめられない政策にはまったと、当初から感じていた。いまは金融機関の先にいる顧客の利益につながらない政策になっている」
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