http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2024/04/post-d5d495.html
<転載開始>
マーティン・ジェイ
2024年4月14日
Strategic Culture Foundation
イランの無人機攻撃でパンドラの箱が開いたが、バイデンは開けたくなかったはずだ
欧米の専門家連中にとって皮肉なことだが、常に冷静さを保ち、エスカレーションの餌に乗らないのは東側で、無鉄砲で無謀で挑発に対して不用意なのは欧米だ。これに伴うNATOの誤算と不適切な決定以外、ウクライナで我々は何も見ていない。しかも驚くべきことに、今イスラエルで我々はこれを目の当たりにしており、イスラエルにとって30年以上の夢だったイスラエル・イラン間の地域戦争に、今ジョー・バイデンが、まんまと巻き込まれている。
ダマスカスの総領事館爆破に対するイランの反応は非常に慎重で、よく考え抜かれており、イスラエルやアメリカが到底かなわない冷静さでやってのけた。テヘランは民間人を殺害するつもりはなく、単にイスラエルは超えてはならない一線を越えたぞ、再び同じことをすれば、安価な無人機よりも大きな影響を与える大陸間ミサイル攻撃でイランによる攻撃は更に増えるぞというというメッセージを送っただけだ。だからといってドローンが効果的ではなかったわけではない。ドローンのほとんどが迎撃されるのを十分に承知の上で、イラン人が望んでいた特定任務を果たしたのだ。
しかし依然多くの欧米専門家にとって、イラン政府の動きは衝撃で、一晩で多くの通説を粉砕したため、ネタニヤフの徒党にも衝撃を与えたのは確実だ。第一に、多くの専門家連中は何も考えずに、この可能性を無視していたが、イスラエルを直接爆撃する勇気がイランにはあるのだ。イスラエルで民間人を殺害する可能性があるミサイルをイランが使用する覚悟がある事実は、たとえシリア領であれ、イラン軍兵士に激しい爆撃をイスラエルが続けた場合、報復がどうなるか、もはや推測できないため、今や力関係を変えた。
第二に、イスラエルには複数戦線で戦争に取り組む能力があるという通説も覆された。イスラエル軍が多忙な夜、一切砲撃もなく、ガザ住民は平和な夜を満喫し、ソーシャルメディアで緊張緩和を祝った。ガザでの戦争だけでなく、大規模無人機攻撃などの第二戦線での戦争、ましてや必要に応じてレバノンのヒズボラと第三戦線で戦う能力はイスラエル軍にない。
そして第三に、パートナーの役割だ。ヨルダンのアブドラ国王の支援はもちろん、無人機を撃墜したイギリス空軍戦闘機などのパートナーによる支援がなければ、一晩中99パーセントと主張する命中率を、イスラエルは達成できなかったはずだ。アメリカとともに、これら関係が試されて、限界を超えた場合、イスラエルの脆弱性は、控えめに言っても議論の余地があるものになる。
従って、欧米同盟諸国と良好な関係を維持するだけでなく、現実的にゲームに残るためにも、今後数日間で、どんなカードをネタニヤフ首相が切るのかはイスラエルにとって重要だ。イランの無人機攻撃によって、バイデンが開けたくなかったはずのパンドラの箱が開いてしまった。状況が制御不能になるのを恐れて、今すぐ引き下がり、イランを放っておくよう、ネタニヤフ首相にバイデンが指示したと一部報道では伝えられている。アフガニスタン撤退や、ロシアが必然的に勝利し、彼やNATOが屈辱を味わうことになるウクライナでの戦争を開始し、今度はイランとの世界戦争開始を列挙した外交政策カンニングペーパーを携えて、今年12月、バイデンは本気で選挙にいどめるだろうか? ネタニヤフは大きな賭けに出て、イランやその代理精力(勢力)に対する報復攻撃を抑えることはできないだろうと経験豊富な専門家連中は大胆に予想している。もちろん、これはアメリカとの関係を試し、限界ぎりぎりまで押し上げることになるだろうが、ネタニヤフ首相がこのような行為を実行しないようバイデンは強く望んでいる。これにより、バイデンとネタニヤフの関係はほぼ確実に限界点に達し、どちらにせよイランが勝利することを考えると、このドローン攻撃を、テヘランにとっての大勝利と欧米専門家のほとんどが見なさなかったのか理解するのは困難だ。バイデンが弱く、今や中東での戦争挑発という迷路に迷い込ませるのが、ネタニヤフ首相の作戦だろう。ワシントンのタカ派に対し、バイデンは勝利者としての自分を示す必要があるが、選択肢がなくなり、合理的思考の余地がもはやなくなっているように見えるため、これまで以上にバイデンは窮地に陥っているとネタニヤフは考えている。バイデンのネタニヤフ悪夢は始まったばかりだ。
コメント