引用部分に関しては、かなり説得性があると思う。西側マスコミ記事だけ読んでいると、ロシア劣勢のニュースばかりだが、田中氏が言うように、それらは単なる局地戦にすぎない。で、「退却戦」は、ナポレオン戦からヒトラー戦まで、ロシアのお家芸なのである。しかも、この場合は、戦争が長引くほど西側諸国は経済的に疲弊していく。つまり、相手が自然に自滅するから、「真面目に戦う必要はない」わけだ。
とは言え、ロシア劣勢が伝えられると、ロシアびいき、プーチンひいきとしては、隔靴掻痒の感になるのは自然の情だ。ここは、あえて「どうせ他国の戦争」と居直って、気楽に眺めるのがいいだろう。日本の場合怖いのは、従米集団(自民党と官僚たち)があせって、対中国戦争を引き起こしたり、完全にロシア敵視政策(場合によってはNATO軍やウクライナ軍への自衛隊参加)を始めることである。
(以下引用)
プーチンのロシアは今回、ウクライナからの分離独立とロシアへの併合を希望していたロシア系住民が多い東部4州をロシアに併合し、同時に、ウクライナ戦争を国家総動員体制に格上げした。米国側のマスコミや軽信者たちは、この動きを「ロシアはウクライナとの戦争に負けているので、完全に負けてしまう前に時間稼ぎのために4州を併合するとともに、国家総動員体制を敷いて徴兵によって兵力不足を補おうとしている。ロシアは負けつつある」とみなしている。4州併合後、早速ドネツク州のクラスニイ・リマンの街がウクライナ軍に包囲され、露軍が退却して明け渡している。徴兵逃れのために国外脱出を試みるロシアの若者たちのことが米国側で喧伝され、露国民はプーチンを嫌っていると報じられた(支持率8割だけど)。4州の併合後、プーチンら露政府上層部が、米国側との戦争で不利が増したら核兵器を使いうると表明したことも、ロシアが負けて追い込まれている象徴と米国側にみなされた。 (Russian forces withdraw from key Donbass town)
やはり露軍は米国側マスコミが報じる通り、弱くて敗北寸前でないのか??。負けてないなら動員体制など組まなくていいはずだし・・・。そんな疑念もよぎったが、いろいろ考えていくとむしろ、これはプーチンが従来の戦略に沿って、新しい段階の作戦を開始したことを意味すると考える方が、私にはしっくりきた。2月末の開戦からこれまでは、ウクライナ東部で米傀儡のゼレンスキー政権から弾圧殺害されてきたロシア系住民を救うことがロシアの動きの目的とされてきたが、それは今回の4州併合によって一応解決した(一進一退の戦闘は今後も延々と続くが)。今後のロシアの中心課題は「昔からロシアを敵視・虐待し続けてきた米英の覇権体制を壊すこと」になる。悪しき米英覇権を潰し、世界の体制を非米的な多極型に転換することが、今後のロシアの中心課題になる。プーチンは、9月始めの東方経済フォーラムでの演説でそれを打ち出し、今回4州併合時の演説でもそれを強調している。 (ロシア敵視で進む多極化)
ロシアが米英を潰そうとしている。そう書くと、その主戦場は「経済」でなく「軍事」になると思いがちだ。米露が戦争し、核戦争の世界大戦になる!!。大変なことになる!!!。セルビアの親露的なブチッチ大統領などは、そのような思考回路に沿って、9月20日の国連演説で「1-2か月以内に、第2次大戦のような世界規模の戦争になる」と述べたのだろう。だが、それから2週間経ったものの、事態はそっちの方向に進んでいない。軍事的に今の焦点は「世界大戦」でなく、ドネツク州の街クラスニイ・リマンがウクライナ軍に包囲されて取られてしまったという、従来どおりの小規模な一進一退の戦闘だ。おそらく今後も、軍事的な大戦争にはならない。米英覇権を潰そうとするロシアの闘いの主戦場は、軍事でなく経済である。これは軍事と経済の両面がある「複合戦争」で、軍事はウクライナ東部に限定されているが、経済はドルの威力(基軸性)から資源類の世界市場まで幅広い。軍事の戦闘を小規模にすることで、犠牲者を少なくして、効率よく「大戦相当」の覇権転換を引き起こそうとしている。 (特殊作戦から戦争に移行するロシア)
しかも経済面ですら、ロシアと米英が格闘して勝敗をつけるのでなく、ロシアはプーチンとかが「米英覇権を潰す闘いをするんだ」と宣言し続けて石油ガス資源類を米国側に売らないでいるうちに、米英が勝手に金融バブル崩壊していき、欧州も資源不足で経済破綻していく流れになる。米英がこれから金融崩壊していくので、ロシアは戦わずして勝っていく。米英は金融崩壊する可能性がどんどん高くなり、ロシアは何もしなくても不戦勝する。プーチンは、この流れに合わせて「米英覇権と闘って潰すぞ」と宣言し続けることで、何もしなくても「プーチンは米英覇権と闘って勝っている」という話になる。ロシア国内でのプーチンの高い人気が維持される。 (West and Russia already fighting WW3 – former US advisor)
プーチンは今回、ロシア国民に総動員をかけたが、その本質は、米英が金融崩壊していくタイミングを狙って「プーチンと露国民が総動員で米英覇権と闘って勝つ」という構図を作り、ロシア人が戦勝感や達成感を得られるようにしている。これは政治闘争だ。実際に兵士として動員する人数は多くない。プーチンは、2月末に米英がQEをやめると同時にウクライナに侵攻して世界を金融vs資源の強い対立に転換し、今回また米英が金融崩壊を加速しそうなタイミングで4州併合と露国民動員、米英覇権潰しの闘いの宣言を発し、ウクライナの戦争を覇権転換の闘いに転換している。日本など米国側の軽信者たちは「マスコミは本当のことしか報じない」というウソに絡め取られ、米国側マスコミの戦争プロパガンダを信じてしまい、本質が全く見えなくなっている。日本などの左翼リベラルは本来なら、米英覇権の世界支配を壊すロシアの闘いに賛同・参加すべきなのに、間抜けにも米英マスコミのプロパガンダを軽信し、ロシアを敵視している。大馬鹿だ。 (複合大戦で露中非米側が米国側に勝つ)
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