ということで、「今ではワクチンは、ほとんどコロナの感染予防にはならないけれど、重症化は防いでいますよ」ということのようです。
・・・本当でしょうか。
「何を見ればいいのだろうな」と思いましたが、「デルタ株が出現してからの感染確認数と重症者の推移」を見ればいいのかなと見てみますと、以下のようになっていました。
イスラエルでは、デルタ株は、今年 5月の中旬に忽然と現れています。
感染数、集中治療室への新たな搬送数、デルタ株の割合(4月25日-5月25日)
Daily new confirmed COVID-19 cases per million people
集中治療室(ICU)への新たな搬送数は、デルタ株、感染確認数の増加とほぼ寄り添ったような推移をしていまして、フォーブスのタイトルにありますような「重症を大幅に予防することをイスラエルの研究は示す」とは見えませんでした。
重症者も感染数と合わせて増えていることを示しています。
このデルタ株というのは、どの国でも「唐突に現れている」ことが示されていまして、報道などでは「インド由来の」というような表現がなされることがありますが、どちらかといいますと、「ワクチン接種率の増加とデルタ株の出現が関係している」というように見える国が多いです。
先日、夜中に目が覚めまして、なんだか暇だったので、お酒を飲みながら数十カ国のデータをダラーッと照会していたのですが、多くがそんな感じでした。国民の数十%がワクチン接種をした後、「しばらく経つとデルタ株が出てくる」と。その出現までの期間はバラバラですけれど。
たとえば、全人口の接種率が 50%を超えていて、なおかつ接種で使われているワクチンのメーカーが明確な国(原則としていろいろな企業のワクチン接種が混じっていない)として、イギリス(アストラゼネカ社)やイスラエル(ファイザー社)がありますが、デルタ株の出現は以下のような感じです。
イギリス(4月中旬にデルタ株登場)
COVID-19 Data Explorer
イスラエル(4月中旬にデルタ株登場)
COVID-19 Data Explorer
ただまあ、やはり国民の 70%以上がワクチン接種をしているシンガポール(ファイザー社とモデルナ社を接種)は、「ワクチン接種に先行してデルタ株が唐突に増加した」ということなども示していますので、よくわからない面はありますけれど。
シンガポール(4月中旬にデルタ株が登場し、一気に拡大)
COVID-19 Data Explorer
要するに、
「 PCR検査は、コロナとインフルエンザウイルスを識別できない」
ことを CDC はこれまでも知っていたようです。
2020年冬から 2021年春までのシーズンに「異常にインフルエンザ件数が少なかった」理由はこれなのかもしれないですね。
以下は、今年 3月の報道です。
季節性インフルエンザの流行なし 患者数、21年2月も直近5年平均の約 1070分の1
新型コロナウイルスとインフルエンザのダブルパンデミックが懸念されていたが、2021年2月もインフルエンザの流行は確認されなかった。
調剤レセプトベースで実際の処方動向を把握・分析する医療情報総合研究所のデータによると、2月のインフルエンザ患者数は 16年~20年の直近5年間の2月平均と比較して約 1070分の1だった。1月も直近5年間の1月平均の 1000分の1にとどまった。 (mixonline.jp 2021/03/11)
このようにインフルエンザ件数が極端に少なかった理由は、今回の CDC のリリースから、おそらくは「このシーズンのインフルエンザ患者は全部コロナ陽性と判定されていたため」と推測できます。
PCR検査は、コロナとインフルエンザを基本的に識別できない。
なので、「 PCR 検査はやめる方向で」と CDC は打ち出したようです。
で、今度は、ワクチン接種が拡大した後に、数の上でのコロナ感染が拡大しては困りますので、次の冬は「インフルエンザの流行が主流」となりそうです。
ちょうどモデルナ社も mRNA インフルエンザ遺伝子ワクチンの試験中ですので、またも「公衆衛生上の緊急措置」とすれば、コロナワクチン同様に、緊急承認されることもあるかもしれないですね。
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