好記事である。
これくらい、日本の「政治」(一般的な意味の政治ではなく、すべての会社や組織における意思決定行為やその手段ををここでは「政治」としておく。)の実態を明らかにした記事は稀である。
(以下引用)
「組織委員会」は名ばかりだった「何をお前は言っているんだ」意見一蹴…森会長辞任の舞台裏
スポーツ団体の理事起用を巡る女性蔑視発言を撤回し、謝罪した森会長(ロイター)
女性蔑視(べっし)発言が問題となっていた東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長(83)が11日、辞意を固めた。複数の組織委理事はスポーツ報知の取材に対し、森会長による理事会が機能していなかった実情を明かした。 東京五輪・パラリンピック組織委員会のある理事はこの日、森会長辞任を報道で知った。「とても驚いている。直接的には何も知らされていないので、明日(12日)の理事会・評議員会の合同懇談会で話を聞きたい」と驚きを隠せない様子だった。別の理事は「森さんは政財界、スポーツ界に精通して、ここまでやってこられた。体調が悪くても、自ら動いて海外まで交渉に行かれることもあった。組織委は7年間、森さん中心に回ってきた。今後が心配だ」と不安そうに話した。 森会長がけん引して、五輪開催へ数々の難局を乗り越えてきたのは事実。組織委では会長続投を容認する方針ではあったが、一方でその舞台裏は機能していなかった。理事会の運営に不満の声が上がっていた。昨年、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、東京五輪は開催危機に直面した。日本中が開催の可否に揺れる中、3月24日に1年延期が決まった。その時、ある理事は「臨時理事会を開き、話し合うと思っていたが、そういう連絡はなかった。何のための理事会かと思った」と疑問を持ったという。同30日に理事会は開かれたが、当初から予定されていたもので、延期の経緯を淡々と説明されるだけだった。 意思決定機関である理事会では、会議の残り5分くらいで出席者に「何かありませんか?」と声がかけられることが多かったというが、そんな短い時間では議論には至らなかった。 こんな例もある。17年11月、新国立競技場の五輪後の利用として、球技専用への改修案が当時、ほぼ固まりかけていた時だった。理事が「五輪が終わった後も陸上で使うことはできないのか」と発言したが、森会長から一蹴されたという。現時点ではトラック存続も検討されているが、ある理事は「何をお前は言ってるんだ、と言わんばかりの威圧的な雰囲気でした。その後、理事会で異論を言う人はいなくなったように思う」と振り返った。 「組織委は森会長、武藤事務総長ら一部の方が、ほとんどのことを決めて、理事はその決定事項を会議で聞かされているという流れ。せっかく、様々な分野から集まってきているのだから、もっと意見の交換をすることが必要だと思う」とある理事は指摘した。五輪本番まで半年を切った時点でのトップ交代。開催可否という最大の問題を抱えたまま、川淵体制に移行するなか、今後の理事会のあり方も問われる。(久浦 真一) ◆東京五輪・パラリンピック組織委員会 2014年1月設立。IOCや国際パラリンピック委員会(IPC)と連携して大会の開催準備や競技運営を行う。事務総長は元財務事務次官の武藤敏郎氏。新型コロナウイルスで1年延期された影響で追加経費が膨らみ、昨年末に発表された予算計画第5版では総額1兆6440億円の開催経費のうち、7210億円を分担する。発足時の職員数は44人で、今年1月時点では約3500人。大半が国や東京都、地方自治体、スポンサー企業から出向しており、本番では大幅に拡充される。