- 2021/11/02
(以下引用)
出来事2008 あの日(橋下知事に抗議した大阪府女性職員)
これ・・・10年前の私です (*^^*)
2008年3月。橋下知事就任時の最初の朝礼で、サービス残業に抗議した女性職員として、テレビで話題になりました。
この日のことを振り返ります。
(当時に載ったスポーツ新聞とか週刊誌も全部取ってたので、下のほうで放出。)
私は、当時、橋下徹さんがテレビに弁護士として出て活躍していたときから、好きではありませんでした。
いじめ体質なところ、自分でも「スネ夫」と言っていたように、「下」を容赦なく叩くところが、すごく鼻についていたので、こんな人が行政の長になったら、いじめ社会が加速してしまうと思っていました。
なので橋下さんの知事就任が決まったときは、危機感をもちました。
その当時(2007~2008年ごろ)、世間で問題になっていたのは、非正規雇用の増加による経済格差でした。
篠原涼子さんが主演の「ハケンの品格」というドラマがヒットしていたりしました。
(「○○ですが、それが何か?」 流行りましたね)
あと、IKKOさんの「どんだけ~」も流行語大賞に選ばれていたころでした。
なつかしいですね~。
2008年というのは、使用者に都合の良い雇用のルールがどんどんしかれだしたころ。
労働組合はどんどん衰退。
そのしわ寄せとして、女性が、能力があったとしても、正社員にはなかなかつけない状況が、そのころに加速していました。
ドラマも、篠原涼子さん扮する、銀行をリストラされた有能な女性が、スーパー派遣社員として、男性社員や正社員とバトルしていく、といった物語でした。
ドラマのヒロインは、当時30歳過ぎ、いま40歳過ぎたくらいの世代。私もです。
その世代は、「就職氷河期世代」といわれますが、若いころに景気の底にいて、やや景気が回復したといわれたときにはもう40歳になっており、今なお、なりたくても正社員になれずに、「失われた世代(ロスト・ジェネレーション)」として大きな損失をこうむっています。
橋下さんは、2008年知事選出馬のとき、自民・公明の推薦で出られました。
おかしなものですね。
橋下さんは、自民党政権を批判するでもなく、逆に、その方々の支援を得ながら、公務員をひたすら叩いて、格差やリストラに苦しんでいる民間の労働者に、「公務員の特権を奪えば格差はなくなる」とばかりに宣伝したのです。
労働組合への嫌悪もすごかったですし、言っていることもデタラメばかりでした。
真実かどうかは重要ではない、ある目的への意志を感じました。
どうしてウソを平気で言えるのだろう、信用できない人だ、と思っていました。橋下さんのことは。
だって橋下さんは、すでに年収何億円で発言力もある「上」側のかた、エスタブリッシュメントじゃないですか。
なのにデマを言って、「下」側の味方ヅラをして、人の目から問題の本質をそらし、貧困を助長させて・・・
でも、橋下さんを持ち上げ続けるマスコミ・・・。
そんな中で、2008年2月、橋下徹・大阪府知事が誕生。そして、あの日、3月13日、就任後の最初の朝礼があって、朝礼抗議騒動が起きたのでした。
橋下知事は、最初の朝礼を、「30歳以下の若手職員」を対象に選びました。
その前段には、「上司への不満があったら僕にメールして」というメールを全職員に送っていました。
私はちょうど30歳で、朝礼の対象でした。
私は大気汚染や廃棄物の規制をする部署にいて、その朝礼の日は、すでに、PCB廃棄物の検査に工場を回るという日程を組んでいた日でした。
なので上司に、「朝礼は欠席」と伝えてあったんです。
でも後日、上司から「立ち入り遅らせてでも、朝礼出席せよ」と言い直されました。
だったら、ちょっとは意見せなアカンな・・・と心の中で思いつつ、
「承知しました」と上司には返事をしたのでした。
そして、3月13日の当日、朝礼の会場に行くと、ズラリとマスコミ全社のカメラが並ぶ・・・
このように・・・
ちょっと言い過ぎた。笑
この写真はドラフト会議の様子。
でもだいたいこのイメージで、この7割くらいは来てたと思います。
このころ、橋下徹さんは、「公務員は特権階級」「公務員というシロアリ」「ケツを蹴る」とかすごく言っていて、マスコミもそれを面白おかしく連日テレビで流していたので、
そのマスコミが勢ぞろいしているなかで、「シロアリ」の公務員が意見を言うとか、アウェー感パネーです。
(^^;
バッシングでどんなボコボコにされるんやろ。って思いましたよ。
あー、しかも作業服かぁ・・・
(これは要らん女心。笑)
でも、意見を言えるときに言わなければ・・・と着席。
朝礼がはじまり、橋下徹知事 登場。
なまで見るのはじめてだなー。近視気味なのであまり見えない・・・
橋下知事、第一声、「府庁を変えるのは知事でも幹部でもなく第一線の職員であるみなさまがた」とか言っています。
・・・あれ?方向性変えてきた?
しかし、それは一言目だけ。二言目から、さっそく橋下節サクレツ。
「本当は始業前に朝礼をしたかったが、超過勤務になると言われてできなかった」
「民間では始業前に準備や朝礼をするのが普通。そんなこと言ってくるなら、勤務時間中のたばこや私語も一切認めない、給料カット!」
と声を荒げました。
はぁーーーーっ!?
いま民間の労働者がサービス残業(=違法)でどんだけ苦しんでると思ってんだ!?
府庁だってサービス残業が横行してるっちゅうのに、そんなことも知らんのか!!
だいたい、「そんなこと言ってくるなら」もなにも、ここにいてるみんな、まだなにも言ってないだろうが!
(私の心の中)
そして、橋下知事が、「意見があるなら、言って!」
あーそんなら言ってやろーじゃねーか!
(私の心のなか)
(30歳くらいまで、瞬間湯沸かし器的な性格だった。)
私、起立。
大石「ちょっと待ってくださいよ!」
橋下知事「・・・!?」
大石「どんだけサービス残業やってると思ってるんですか!?」
※「どんだけ~」が2007年の流行語大賞
それで、橋下知事が言ったのは、
「サービス残業、してくれているのはありがたい」
これは違法なサービス残業を「ありがたい」と肯定するもので、問題発言、ではありますね。
ただ、橋下さんの性分からすると、いきなり立てついてきたクソ生意気なヒラ職員に心の中では、ひねりつぶしたろか!くらいは、きっと思ったであろうに、
そうは言わず、とっさに「サビ残」発言を肯定(違法だけど)してくるのは、今思うと大人の対応でしたね。
でも私は言いたいことがあったので、発言を続けました。
「今の府庁に問題はありますよ。でも、それは職場で職員が信頼関係をつくって、上も下もなく、府民のための仕事を本気で議論することでしか問題は解決しない。」
「あなたは若い職員に、『上司に不満があれば自分にメールを送って』、などときれいなことを言ったが、職場をバラバラにしている。」
「職員と府民を分断している。」
「あなたのやろうとしていることは逆ばかり。」
凍り付く周囲
(^^;
橋下知事は「ありがたい意見。どんどん言ってほしい。」としました。
(でも終わってから廊下を歩いていた橋下知事の表情は、鬼のように険しかった、という話を、通りがかった職員に聞きました。)
この絵を1コマで表してくれた翌日のサンケイスポーツの紙面はこちら。
「下剋上」。笑
↓これはスポーツ報知↓
やっぱ「下剋上」笑
なんやかんやで(略しすぎ?)、朝礼終わる。
私は、もともと予定していた立ち入り検査の仕事を遅らせて朝礼に出席したので、車に同乗する職員(30歳より上)を外で待たせていて、いそいそと退室・・・
しようと思いきや、先ほどのカメラの軍団に思いきり囲まれる。
それで、「サービス残業」発言のことで質問いっぱいされましたね~。
橋下知事へ意見した大半は、「職員と府民を分断しないで」という内容だったんですが、マスコミの関心はそこではなくてサービス残業の部分に集中。
サービス残業については、府庁では蔓延していましたし(今も)、私もしたことはありますが、そういう風潮に逆らうためにも、私個人としては、サービス残業を許さずに付けていく・後輩にも付けさせる、ということを意識的にやっていました。
なので、
「(サービス残業を)私はしてません」
とテンション低めに言いました。
私がしてるかどうかは本質ではないのに、それをしつこく聞いてくる意図が嫌だったから。
そしたら後々、そのセリフを、「サービス残業なんか無いのに、ウソをついたから、後ろめたそうに言ってる」みたいにインターネットで叩かれました。
はぁ?どんだけ?
と思いましたが・・・
まあでも、当時は、公務員バッシングが吹き荒れていたころで、公務員はラクでラクで仕方がない、さぼってて甘えてて税金食いつぶしてるシロアリ、と大半の人が思ってる状況のときだったので、
「サービス残業」など公務員がしているはずがない、という認識ですよね。
その証拠に、ほーら、大石もサービス残業やってないじゃないか!的な。
実際、3月18日の府議会で、当時、府議会議員だった松井一郎さん(現・府知事!)が、この件で「大阪府にサービス残業はない」との府当局回答を引き出し、あの職員の言うことは間違っていた、とアピールされました。
「サービス残業やらせてます」なんて使用者が言うわけないだろ。だから根深い問題なんじゃないか。
こうして、松井さん、橋下さんはことあるごと、財界・大金持ちに都合が良い動きをしていることがわかります。
あと、
サービス残業やってなきゃ一人前じゃないみたいな根性焼き(古い?)の風潮。おかしくないですか。
それでみんな追いつめられている。マウントの取り合いで、心もギスギスする。
橋下知事はその状況に、すごく加担した人だと思っています。
「身を切る改革」なんて言って、緊縮財政をやり、実は公務員ではなく、普通の生活者・労働者の身を切って疲弊させてきた。
そうして10年たって、高プロが強行可決され、また、ロストジェネレーションの状況も固定化しています。
- メモ日記トゥディ
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