財務省は8日、2019年上半期(1~6月)の国際収支統計(速報)を発表した。日本と海外とのモノやサービスの取引や投資収益の状況を総合的に示す「経常収支」は10兆4676億円の黒字で、前年同期に比べて4・2%減った。米国と中国の貿易摩擦の影響で中国や韓国向けの輸出が落ち込んだ。
モノの輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は2242億円の黒字で、1年前から87・4%減った。輸出額が2兆円余り減少したことが大きく、アジア向けが不振だった。中国の景気減速がアジアの周辺国での生産活動に悪影響を与えているとみられる。
品目別では、韓国向け半導体等製造装置が13・4%減、中国向け自動車部品が7・8%減などの落ち込みが目立った。
一方、外国子会社からの配当金や債券収入などを示す「第1次所得収支」は、0・2%増の10兆5923億円の黒字だった。1985年の現行式の統計開始以来、半期としては2015年上半期に次ぐ高水準で、日本企業が受け取る海外子会社からの配当や利子などの収益増が全体を押し上げた。
旅行などモノ以外の支払いのやりとりを示す「サービス収支」は、1年前から5655億円増えて2316億円の黒字だった。訪日外国人旅行客が増加したためで、半期としては初めて黒字になった。
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