NHKは5月3日~9日、2018年度に「不登校」もしくは「不登校傾向」があった中学生1968人のアンケート調査結果を発表した(調査協力・LINEリサーチ)を実施した。
1968人の内訳は「不登校」(年30日以上の欠席者)が378人▽「不登校傾向(教室外/部分登校)」(保健室など別室登校をしている者)が965人▽「不登校傾向(仮面登校)」(教室にはいるが、毎日通いたくないと思っている者)が625人だった。
不登校の調査には、文科省が毎年実施している「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」がある。文科省調査では不登校の要因について、「本人」と「学校および家庭」に大別されており、回答するのはおもに学校の教員だ。
今回のNHK調査は、文科省調査と比較もできるよう、質問項目等をそろえて実施。文科省調査とのちがいは、回答者が子どもであること。つまり、不登校の要因について、教員と子どもの認識のちがいを検証することが可能だ(上図参照)。
なかでも顕著なのが「教員との関係」と「いじめ」だ。
文科省調査において、「教員との関係」が不登校の要因として挙げられた割合は2・2%だったが、NHK調査では23%と、20ポイント以上の開きがある。
また、「いじめ」についても、文科省調査では0・4%となっているが、NHK調査では21%だった。文科省が把握している以上に、
「教員との関係」や「いじめ」などを不登校の要因として挙げる子どもが多いことがわかる。
大きな開きは部活動や校則も
そのほか、「部活動」18・3ポイント、「決まりや校則」17・5ポイント、「進路」15・1ポイント、「学業」14・2ポイントと、NHK調査の結果が文科省調査のそれを上まわった。
一方、逆の結果が出ている項目もある。不登校の要因に「家庭」を挙げている割合は文科省調査では30・8%であるのに対し、NHK調査では21%と、文科省の調査結果を下まわった。
なお、不登校の要因について「答えたくない」と回答した子どもは1%だった。(東京編集局・小熊広宣)
【MEMO】問題行動調査
正式名は「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」。文科省が、今後の生徒指導上施策推進の参考とするために毎年実施。不登校のほか、暴力行為、いじめ、出席停止、高校中退、自殺などを集計。不登校は「問題行動」のひとつとして扱われてきたが、「教育機会確保法」や同省の通知により、16年度より「生徒指導上の諸課題」に位置づけが変わった。
コメント