「これらの突然変異は、ガンの発症に寄与するか、発達中の胎児、または精子前駆細胞への取り込みを通じて先天性欠損症を引き起こす可能性がある。」(米ノースカロライナ大学の論文より)
遺伝子と生殖機能への攻撃第2ラウンド
昨日でしたか、以下のような報道を見ました。
コロナ飲み薬20万回分、週末配送 首相「来週から使用」
岸田文雄首相は22日、米メルクの新型コロナウイルス飲み薬「モルヌピラビル」について「週末から全国に20万回分の配送を開始し、来週から使えるようにする」と表明した。厚生労働省の専門部会が24日に製造販売承認可と判断すれば「直ちに承認する」と話した。
首相官邸で記者団に語った。首相は「オミクロン型にも極めて効果が高いといわれている」と強調した。政府はメルクと160万回分の供給契約を締結している。 (日本経済新聞 2021/12/22)
このように、日本でもじきに展開されるメルク社のモルヌピラビルについて、現在アメリカで「問題があるのではないか」とさまざまに報じられています。
米ノースカロライナ大学の研究者たちが論文で発表した「モルヌピラビルは、ヒトの DNA に突然変異を引き起こす懸念がある」としたことが発端となっています。
以下の論文です。
β-D-N4-ヒドロキシシチジンは致死的な突然変異誘発を介して SARS-CoV-2 を阻害するが、哺乳類の細胞に対しても変異原性を示す
β-D-N4-hydroxycytidine Inhibits SARS-CoV-2 Through Lethal Mutagenesis But Is Also Mutagenic To Mammalian Cells
これについて、普段は大手製薬企業の動態に異議を唱えないニューヨークタイムズや米ヤフーニュースなども、一斉に「どうなのか」とする記事を発表していました。
このメルク社の薬は「β-D-N4-ヒドロキシシチジン」というものが有効成分のようなのですが、コロナ(ウイルス)に対しての作用は、
・ウイルスゲノム中に高レベルの突然変異を誘導する (参考論文)
ものです。
感染した体内の新型コロナ RNA に「突然変異を発生させて、エラーを頻発させ滅ぼしてしまう」という感じでしょうか。
このようにコロナ(ウイルス)を滅することはできるのかもしれないのですが、ひとつ問題があり、それは、
・ヒトの DNA にも突然変異を引き起こしてしまう可能性
があるということで、それを動物実験で調査した米ノースカロライナ大学の研究者たちは、論文で、
「その懸念が高い」
と発表したわけでした。
当然ながら、メルク社は、ノースカロライナ大学のこの研究に「反対する声明」を出しまして、メルク社がおこなった「独自の動物研究」では、そのようなことはなかったと述べています(ただし、実験データは非公表)。
そんなわけで、ニューヨークタイムズの記事をまずご紹介します。かなり長いです。
メルクのコロナ経口薬は妊娠中の女性にリスクをもたらす可能性がある
Merck’s Covid Pill Might Pose Risks for Pregnant Women
NY Times 2021/12/13
いくつかの研究は、モルヌピラビルがヒトの DNA にエラーを挿入する可能性があり、理論的には発育中の胎児、精子細胞、または子供に害を及ぼす可能性があることを示唆した。
メルクの新しい Covid-19 経口薬は、コロナウイルスのオミクロン変異体が高度にワクチン接種されたヨーロッパ諸国で症例の急増を引き起こしているときに、重篤な疾患のリスクが高いアメリカ人の治療選択肢の展望を変えることができるという期待を高めた。
しかし、アメリカ食品医薬品局 (FDA)の専門家委員会が「モルヌピラビル」という名称でして知られるメルク社の薬剤の認可を推奨してから 2週間後、FDA はまだメルク社の申請を検討している。
アメリカの規制当局が直面している最大の問題の 1つは、この薬がウイルスの遺伝子に大混乱をもたらす過程で、薬剤がヒト DNA に変異を引き起こす可能性があるかどうかだ。
科学者たちは特に妊娠中の女性について懸念していると彼らは言う。なぜなら、この薬は胎児の分裂細胞に影響を及ぼし、理論的には先天性欠損症を引き起こす可能性があるからだ。
FDA専門家委員会のメンバーは、11月30日の公開会議で同じ懸念を表明した。テネシー州メハリー医科大学の学長であるジェームズ・ヒルドレス博士は以下のように会議で述べた。
「胚と胎児をこの薬による害の非常に高いリスクにさらしながら、母親の(コロナ感染)リスクを 30%減らすというのはどういうものだろうか。私の答えは否定的であり、妊娠中の女性にこの薬を服用するようにアドバイスする状況にはない」
FDA の顧問はまた、リスクは父親になりたい男性を含む他の患者たちにも及ぶ可能性があると指摘したが、それらのリスクはまだ十分に理解されておらず、メルク社は独自の研究でこの薬が DNA 変異を引き起こすという証拠は見つからなかったと述べた。
重要なことに、モルヌピラビルはオミクロン株に対して作用することが期待されている。コロナの症状が現れてから 5日以内にモルヌピラビルを投与すると、入院と死亡のリスクが 30%減少することが示されている。しかし、ヨーロッパの一部の科学者たちや規制当局は、他の特定の治療法よりも効果が低いことを懸念している。
モルヌピラビルはどのように機能するのか
この薬が体内に展開されると、コロナウイルス内の遺伝物質である RNA の構成要素の 1つによく似た化合物が生成される。これが、コロナウイルスが自身の複製を作成するときに問題を引き起こすようになる。
ウイルスがヒトの細胞に入り複製を開始すると、モルヌピラビルの薬剤化合物がウイルスの RNA に入り込み、コロナウイルスが生き残れないほどの遺伝子エラーを挿入する可能性がある。
コロナウイルス抗ウイルス薬を研究しているロックフェラー大学の構造生物学の専門家であるエリザベス・キャンベル博士はインタビューで以下のように述べた。
「モルヌピラビルが行うことはそれ自身を偽装することです。(コロナの)ゲノム全体に散らばるエラーを伝播する可能性があります」
複製の過程で多くのエラーを引き起こし、それがコロナウイルスが停止するまで続くとキャンベル博士は言う。それは、体がコロナ感染症と戦うのを助け、潜在的に患者の命を救うと述べた。
しかし問題がある。
コロナウイルスの遺伝物質の複製を妨げる同じ化合物が、ヒト DNA の構成要素に似た化合物に変換される可能性があることだ。一部の科学者たちは、この薬が、患者自身の DNA 、または発育中の胎児の DNA にエラーを引き起こす可能性があることを懸念している。
キャンベル博士は以下のように述べる。
「細胞が複製される場合、それはモルヌピラビルに由来するヒト DNA の構成要素の 1つのバージョンを取り込んで、それを組み込んでいることを意味します」
どの程度深刻な問題なのか
ノースカロライナ大学の研究者たちは、分離されたハムスター細胞でモルヌピラビルの使用し、 32日間にわたり研究した結果、この薬が(服用した患者の) DNA に突然変異を誘発することを発見した。
研究の著者たちは、以下のように論文で述べている。
これらの突然変異は、ガンの発症に影響するか、発達中の胎児または精子前駆細胞への取り込みを通じて先天性欠損症を引き起こす可能性がある。
この薬は、成人では比較的まばらな分裂細胞のみを標的とする。これは、あらゆる種類の細胞の DNA に損傷を与える可能性のあるが、放射線などの他のいわゆる変異原物質よりもリスクは低い。
それでも、ノースカロライナ大学の HIV の研究者で、ハムスター細胞の研究を主導したロナルド・スワンストロム博士は、成人でも、たとえば骨や腸の内壁に、懸念を引き起こすのに十分な分裂細胞を持っていると述べた。
スワンストロム博士はまた、「男性は突然変異を運ぶ可能性があり得る分裂中の精子細胞を絶えず作っているのです」とも述べた。
博士は以下のように言う。
「この薬剤が人間の転帰に関して何を意味するのかについて、誰もわかっていないと私は思います。その影響が些細なものだといいのですが、それは誰にもわからないことだと思います」
メルク社の科学者たちは、スワンストロム博士の結論に反対する書簡を書き、その中で、実験中のハムスターの細胞は、コロナ患者よりもかなり長い間、モルヌピラビルにさらされていたと述べた。メルク社独自の実験では、齧歯動物でのこの薬のテストで、 DNA 変異(変異原性としても知られている)の兆候は見られなかったとメルク社の科学者たちは述べている。
メルク社のチーフメディカルオフィサー、ロイ・ベインズ博士はインタビューで以下のように述べる。
「この薬の変異原性のリスクは非常に低いと考えています。なぜなら、この薬は 5日間だけ使用されるものです。その目標はコロナウイルスを迅速に根絶することであり、長期的な治療に用いるものではないからです」
メルク社は、その独自の研究のデータを公開していないが、ドリュー大学の生物学者であるブリアーネ・バーカー博士は、メルク社は、その齧歯動物での実験データを公開すべきではあるが、短期間での治療のでのリスクは低いだろうとも述べた。
バーカー博士はまた、分離されたハムスターの細胞は「実際に生物に見られる細胞とは少し異なっている」ため、人間の場合で危険がどれほど深刻であるかを知ることは難しいと述べた。
妊娠中のリスクはどのようなものか
胎児の細胞は常に分裂しており、突然変異のリスクがより高い。
そのため、メルク社は妊娠中および授乳中の女性、および妊娠する可能性のある女性を臨床試験から除外した。
ピッツバーグ大学医療センターの感染症専門医であるジョン・メラーズ博士は、次のように述べる。
「子宮内での人間の発達は、驚くべき一連の出来事なのです。(この薬で)それを干渉し始めると、それは災害で終わる可能性があります」
メラーズ博士は、妊娠中のラットに高用量のこの薬物を投与した場合、発育異常や胎児の死亡を引き起こす可能性があるとメルク社が報告していると述べた。
英国では、保健当局は、メルク社のこの薬を妊娠中または授乳中の女性に投与すべきではないと述べている。妊娠する可能性のある女性たちは、薬を服用している間とその後 4日間は避妊する必要があると彼らはアドバイスした。
キャンベル博士は以下のように言う。
「もし私が妊娠していたのなら、これを服用しないでしょう。さらに、細胞がまだ分裂しており、より高い割合で分化している子どもたち、そしてティーンエイジャー、等にも、私自身は、これを決して与えないと思います」
ここまでです。
> 胎児の細胞は常に分裂しており、突然変異のリスクがより高い。そのため、メルク社は妊娠中および授乳中の女性、および妊娠する可能性のある女性を臨床試験から除外した。
とあり、臨床試験では、妊娠中の女性と授乳中の女性を除外していたということで、そうであるなら、妊娠中の女性と授乳中の女性は「服用の対象外」となるのが普通な気もします。日本ではそのあたりはどうなのでしょうか。まあしかし、日本は妊娠初期を含めた全期間の妊婦さんにワクチン接種を勧めているような国であるわけですし……。
あるいは、記事中のエリザベス・キャンベル博士が述べていました、
> 細胞がまだ分裂しており、より高い割合で分化している子どもたち……にも、私自身は、この薬を決して与えないと思います。
というのも気になります。激しい細胞分裂と共に成長し続ける子どもたちの場合、突然変異が起こりやすいのかもしれません。
いずれにしましても、この「ウイルスにもヒトにも突然変異を誘発する」可能性が動物実験で確認されているこのメルク社の飲み薬は……あ、今書いていて思いましたけれど、この薬、「コロナのまったく構造の異なる強力な変異株」を作り出すかもしれないですね。
生き物は「生きようとする」のですよ。
ですから、ワクチンが展開されれば、それに対抗して自身を組み換える。オミクロンみたいなのも生まれる。
しかし、このメルク社の薬が誘発する突然変異は、さらに強力かもしれず、「さらに強力な変異」に向かって自身で組み換えていくのかもしれません。
ものすごい変異株が登場する可能性もあるような気がしてきました。
それはともかく、日本では、冒頭の日本経済新聞には、
> 厚生労働省の専門部会が24日に製造販売承認可と判断すれば「直ちに承認する」と話した。
とありますので、このメルク社の薬も、ほんの数日後に展開される可能性があります。
今のところ、厚生労働省の特例承認書は、まだ掲載されていないですが、「 24日に製造販売承認可と判断すれば」とありますので、クリスマスイブ過ぎには掲載されるのではないでしょうか。
その場合、独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)の以下のページに掲載されるはずです。
PMDAにおける新型コロナウイルス感染症対策に係る活動について 「関連製品の承認情報」
今このページを見ていて知りましたが、モデル社のワクチンの「販売名」が変更になっていますね。
電子化された添付文書改訂のお知らせ
ウイルスワクチン類 劇薬、処方箋医薬品「スパイクバックス筋注」
(旧販売名:COVID-19 ワクチンモデルナ筋注)
旧販売名「COVID-19 ワクチンモデルナ筋注」から「スパイクバックス筋注」に変更となっています。
有効成分の mRNA の名称も変更となっていました。
以前は「 CX-024414 」だったのですが、新しい名称は、
「エラソメラン (Elasomeran)」
だそう。
ファイザー社ワクチンの mRNA は「トジナメラン (Tozinameran)」で、どちらにも「メラン (meran)」が入っていて、統一性が出ました。
メランって何だろう……。 そんな単語は調べても出てこないのです。
エラソとかトジナとかもよくわかりません。
話が逸れましたが、現段階まで、
・組換え mRNA を粒子でくるんで体内に送達して全身にスパイクタンパク質を作るワクチン (ファイザー社、モデルナ社等)
・組換え DNA をサルのアデノウイルスで体内に送達して全身にスパイクタンパク質を作るワクチン (アストラゼネカ社等)
と世界的に展開され、すでにいろいろな「遺伝子の断片」が私たちの多くの体内に広がっている中で、ここに、
・ウイルスにもヒトにもどちらにも突然変異の誘発を促す飲み薬 (メルク社)
が登場してきました。
あとは、ファイザー社の経口薬がもうすぐ登場します。
ファイザー社のほうはどういうものだか正確にはわからないですが、以下の記事で書きましたように、イベルメクチン的な作用機序のものかもしれないとは思っていました。
イベルメクチンが執拗に禁止された理由はこれ? ファイザー社が治験中のコロナ薬は「イベルメクチンとほぼ同じ作用機序」を持つ模様。そしてメルク社の経口薬は変異原性を持つ模様…
投稿日:2021年10月5日
ファイザー社のコロナ薬は「プロテアーゼ阻害剤」というものであり、「 RNA の逆転写を阻害する」作用を持つことは書類でわかっていますが、メルク社の経口薬の内容を見ていますと、ファイザー社の経口薬も単なるイベルメクチンもどきではなさそうです。「ええ、まったく違いますよ」というファイザー社幹部の声が聞こえてくるようです。
現在の地球は、数十億人の人間の遺伝子がムチャクチャにされている状況ですが、メルク社の経口薬でさらにその混乱が広がる可能性も否定できないです。
人間という生物は今後どうなっていっちゃうのでしょうかね。
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