★14日、立憲民主党代表・枝野幸男が西日本新聞の取材に応じている。「原発をやめるということは簡単なことじゃない」「使用済み核燃料の話は、政権を取ったとしてもたぶん5年、10年、水面下でいろんな努力をしない限り無理です。だから政権の座に就いたら急に(原発ゼロを実現)できるとか、そんなのはありえない」とし、立党の精神だった「原発ゼロ」を過去のものとした。確かに過去の議論でもその一言を入れるか否かでもめたし、国民民主党との合流時にも大きなテーマになった。


★両党の合流議論では、電力などの組合依存の旧国民民主党議員が言う「原発がないと生きる道がなくなる労働者がいる」を選び、原発で家屋や生活を失った国民を見捨てたともみられた。いずれにせよ、これで原発政策では国民民主党や自民党と差異のない政策となったといえ、有権者が選ぶ基準が分かりにくくなった。また枝野はこの取材で「皆さん道筋を示せと言うが、道筋を示すのは無責任だと思います。無責任なことは言えない」とし、言えるのは「方向性です。無責任なことは言わない。それが多分、私と今までの野党のリーダーとの決定的な違いだと思います。分からないことは分からないと堂々と言う」と答えている。


★枝野はこのインタビューが気に入っているとみえ、自らツイッターでも取り上げ「うまく整理されたインタビュー記事」と満足げだ。方向性も結構だが、この社会で政治や政党の役割はその道筋を示すことだろう。さまざまな分野で多くの人たちが懸命に生きている。良いこともあれば悪いこともある。でも今日より明日を少しでも豊かに良くしようと必死だ。そこに道筋をつけることがダメな政治だろうか。分からないことを分からないと堂々と言う政治など誰も必要としていない。これは誰のための自画自賛なのだろうか。どんな人たちを想定して、野党第1党の党首は答えているのか全く分からない。(K)※敬称略