(以下「阿修羅」より引用)
恫喝されてカネをもらう? 収賄を印象操作する被害者面
https://www.chosyu-journal.jp/column/13430
2019年10月4日 コラム狙撃兵 長周新聞
すべてが「死人に口なし」でストーリー展開され、金品をもらっていた関電幹部がイジメにあった被害者のような面をしているから不思議だ。原子力村を牛耳る電事連会長や、関西経済連合会の副会長も輩出するような大企業の幹部たちが揃いも揃って、田舎町の小さな自治体の元助役(今年3月に死去)に脅え、激高するので返せなかった被害者なのだと、なんだかシュンとなってアピールしているのである。八木誠会長は会見のなかで目をパチパチさせながら「森山先生」呼ばわりしている始末で、あの男たちの下で働く現場の一般社員たちの気持ちやいかばかりかとつい慮ってしまった。
しかし、この加害者=元助役、被害者=関電幹部という構図はいかにもナンセンスで、その経済的、社会的な力関係を客観視するとあり得ない話である。目下、一方的に垂れ流されている恫喝情報は関電側からのものであり、死人に口なしの状態では検証のしようもない。もっとも不思議なのは、恫喝されてカネを巻き上げられるならまだしも、逆にみんなして3億2000万円もの金品を受けとっている事実だ。極めて常習的であり、関電幹部は怒鳴られて困り果てていた被害者ではなく、収賄の受益者なのである。コンプライアンス(法令遵守)も何もあったものではない。
元助役が関わった企業が原発関連工事を多数受注し、そこから3億2000万円がキックバック(原資は電気料金)され、しかも金貨やグラム単位の金、金杯など明らかに脱税を意識した形の品品を関電幹部は受領している。現金についても国税局の捜査を受けた後に修正申告しており、なければ恐らくそのままだったのだろう。この元助役が関電傘下の企業の顧問などいくつものポストを与えられ、地元での腕力を見込まれてカネの分配等等の交通整理をしていたことは容易に想像がつく。報告書のなかで関電は「発電所立地当時の書類は今でも自宅に残っており、これを世間に明らかにしたら、大変なことになる」と恫喝されたのだと公表したが、だからカネを寄越せというのではなく、だからカネを受けとれと迫られて受けとり、仕事を発注しては(困り果てながら)裏金をキックバックでコッソリ受け取っていた――。なんだそれ? というような話である。
金品を受けとらせる=裏金の付き合いや腐れ縁を続けさせるという意味合いもあろうが、諸諸の事情を取り払って問題をシンプルに捉えると、要するに恫喝されようがされまいが、関電幹部たちがみんなして原発立地自治体の企業等等を迂回して、原発マネーを個人的に懐に入れていたというだけである。紛れもない収賄事件であり、本来なら検察が捜査に踏み込み、立件しなければならないような疑獄事件といえる。
福島であのような大惨事を引き起こしておきながら東電幹部は無罪放免となり、関電は関電で原発を通じて経営幹部が懐を肥やしていた事実が発覚しながら、誰も何も責任を問われずにすり抜けようとしている。膿が「膿を出していく」などといって続投する様はモリカケの時の安倍晋三を彷彿とさせ、「返したから犯罪ではない」という理屈も、高市早苗とか、甘利明とか、あの界隈の振る舞いとそっくりではないか。
これが美しい国・日本なのだそうだ。
武蔵坊五郎
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