[東京 19日 ロイター] - 若年人口の減少と国内景気の拡大を受け日本企業は深刻な人手不足に直面しているが、国の安全保障の中心的存在である自衛隊員の募集活動は、さらに困難となっている。
自衛官の採用数は2017年度に4年連続で計画を下回り、防衛省は今年10月から、募集対象者の年齢上限を26歳から32歳に引き上げる。
女性の活用も推進し若い男性自衛官の不足を補おうとしているが、このまま採用難が続けば、今後の自衛隊の海外活動や海上の安全保障を守る活動にも制約要因となり得る。「静かなる有事」とも言われる現状について、元防衛副大臣や防衛省幹部、元自衛官などへのインタビューからリポートする。
「今は、非常に厳しい状況」
8月の暑い日曜日。東京・立川市の祭り会場で、屋台から少し離れた場所に自衛隊立川出張所のブースがあった。
自衛隊の活動を紹介しつつ、募集活動も行っている。制服姿の自衛官が数人、机に待機しているが、話を聞きに来る人はほとんどいない。
野澤博司所長によると、前日は約20人がブースに立ち寄ったが、真剣に入隊を考えていた人は「なかなかいない」。所長は「今は、非常に厳しい状況。今後とも募集者獲得のために頑張りたい」と話した。
ブースの横には子ども用の迷彩服が展示され、着用して記念撮影をすることができる。祭りのついでに展示物をみていたという、子どもを連れた近所に住む若い夫婦は、災害救助活動など自衛隊の活動には感謝しているという。子どもが将来自衛隊に入りたいと言ったらどうするかとの質問には「反対はしないが、危険な仕事なので心配」と答えた。
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