(以下引用)
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前回の続きになる。その前に、YouTubeを見ていたら池田信夫氏がとんでもないことを言っていたので、それについて触れてみる。池田信夫氏って、たまにいいことも言うのだけれどね。ひょっとして、アル中とか、精神疾患とか、時として自分をコントロールできなくなるのだろうか。動画は「【Vlog】立憲民主党は学級崩壊」というもの。
この動画では、立憲民主党の原口一博氏への批判が語られている。池田氏によると原口氏は陰謀論の肩を持っており、「ゼレンスキー政権がネオナチ」「アゾフ大隊がネオナチ」「そのネオナチ政権の資金援助を日本の政権がしている」などの陰謀論を信じていると述べる。なるほど、池田氏はそう受け止めるわけだな。
そして驚くことには、「国会議員なんだから、日本は政府としてウクライナを支援するという決意をして、今もロシアとウクライナは戦争やってる最中なんですからね、ウクライナを支援すると決めたのに、その決めたことがネオナチの支援であるっていうのは、これは国会議員として言うべきことではないでしょう。」という全体主義、専制主義を信奉するような恐ろしいことを言っている。
「エッ??」と思ってしまう。この人も一応は言論人の端くれであるのなら、自己否定になるこんなセリフを吐いてもいいのだろうか。特高警察の血でも引いているのだろうか。頭大丈夫なのだろうか。
「国会議員だからその言動は国の方針に従わなければならない」などということは、日本の民主主義を根本の根本から否定する発言になる。それこそネオナチの発想だ。ファシズムでしょう。国会議員は国民を代表しているのだから、国や国民のためにならないと思うのであれば、政府の方針や決定を理由を示して反対するのは至極当然のことになる。というか、それこそ国会議員の一番大切な本来の仕事になる。ましてや、政党なとどいうものはお友達グループでしかないのであって、所属議員の言動を束縛することはできない。
日本が段々恐ろしい国になっていくのも無理はないような気がする。このようなある程度名の知れた言論人が、民主主義を否定するような危険思想を堂々と披露するのだから、日本人の民度の低さは度し難い。
と、前置きはそのくらいにして、本題である伊藤貫氏の動画「混乱する国際政治と日本」のご紹介に移りたい。
前回記載したとおり、動画は3本あり、
大手メディアでは報道されない米露関係の今【混乱する国際政治と日本①】
大手メディアでは報道されないウクライナ戦争【混乱する国際政治と日本②】
核の傘というアメリカの嘘【混乱する国際政治と日本③】
となっている。
内容的には、
1 アメリカの"世界の覇権を独り占めする"という間違った戦略について
2 過去30年間の米露関係について
3 ウクライナ戦争はアメリカが勝つ見込みのない戦争
4 アメリカは同時に2つの地域で戦争をする能力がない
5 日本は早ければ来年、遅くても15年後には中国の属国になる
について説明しているという。
前回は、このうちの4までをご紹介したので、今回は5になる。
5 日本は早ければ来年、遅くても15年後には中国の属国になる
アメリカの対日政策というのは、日本が自主防衛できないように押さえ付けておいて、自主防衛できないようになった日本の自衛隊を利用して、ソ連もしくは中国を封じ込めようとするもの。
日本に米国の高価な武器を大量に買わせておいて、アメリカに逆らうのなら一瞬のうちにイージス艦もトマホークミサイルもF35もミサイル防衛システムも、役に立たないようにすると脅されている。そのため日本は、軍事政策だけではなくて外交政策でも通商政策でも、アメリカの言いなりになるしかない。
核の傘というのは実際には存在しない。なぜかというと、核の傘というのは日本がロシアや中国から核攻撃を受けた時に、アメリカは復讐するためにロシアや中国と核戦争してあげるという約束で、そんなことをやればロシアは30分以内に1億人以上のアメリカ人を殺せるし、中国でさえ5000万6000万を30分以内に殺せる。
そんなことはありえない。これは、アメリカの閣僚経験者、学者、日本の元外交官、元自衛隊幹部などが口をそろえて言っていること。
それなのに日本の保守派はそのことを議論したがらない。僕自身も7人か8人の国務省、CIA、ペンタゴンの日本部長・中国部長、それからアジア政策担当の次官補代理もしくは次官補、彼らと1対1でプライベートな場で議論すると、要するにアメリカはたとえ日本が核を打ち込むぞという核恫喝を受けても、実際に核攻撃されても、ロシアや中国や北朝鮮と核ミサイルの撃ち合いをやるわけがないと言っている。
"アメリカの大統領は、自分の国にたった1発核ミサイルが飛んでくると思うだけで、あっという間に戦争から逃げ出す。"これがアメリカの本音になる。
アメリカで重要なポジションにあった人が、みんな核の傘なんかないと、他の国を守るために核ミサイルの打ち合いなんかやるわけないと言ってるんですから、日本人はこのことを正直に議論すべきだと思います。
現在のアメリカ政府が、「中国と北朝鮮とロシアが日本をターゲットとする核弾頭を何百発何千発持とうとも、日本人にだけは持たせない」という政策を押し付けてきているのは明らかに不正であり、明らかに不道徳であり、はっきり言ってすごく邪悪。世界で唯一核戦争犯罪を実行した国が、世界で唯一核戦争犯罪の犠牲になった国に対して、お前たちジャパニーズだけには持たせないって、グロテスクでしょ。
おかしいと思うのは日本の左翼はどうでもいいんだけれど、日本の保守が黙ってること。保守というのは一応大人ということになってるわけでしょ。大人だったら自分の国に対して自分で責任を持たなきゃいけないわけですよ。
日本の総理大臣、外務大臣、防衛大臣、自衛隊のトップがこういう「不正で不道徳で邪悪な対日政策をやめてくれ」と言えないんだったら、そんな日本人が不正であり、不道徳である。すごく臆病ですごく卑怯です。アメリカは、「騙しても騙しても、まだまだ騙せる日本人。永遠に核の傘があるから大丈夫だと言って騙し続けられる。」とそう思っている。
もしかしたら来年イランとイスラエル、もしくはイランとアメリカが中東で戦争を始めて、それに乗じて中国はこれがベストチャンスだといって台湾を海上封鎖する。そうするとアメリカは台湾を見捨てます。そうなった時に習近平が、日本が中国の属国にならないんだったら日本に核ミサイルを打ち込むぞと言ってきたら、日本は屈服するしかない。
麻生さんが台湾に行って「台湾有事は日本の有事である。だから日本の自衛隊も出動する必要がある。」とかそういうようなこと言ったわけでしょ。僕が麻生さんに聞きたいのは「それでは日本の自衛隊が出ると言った時に、習近平が日本の自衛隊が出てくるんだったら日本に核ミサイルをぶち込むと言ったら、それで自衛隊動けますか?」と。
自分の国を自分で守れる自主的な核抑止力を持ってない、そういう国の元首相が台湾に行って自衛隊を台湾を守るために出動する用意があるなんてことを言うのは、完全に身の程知らずでしょ、そんな実力もないくせに。
アメリカは中国、ロシア、イランのこの三国同盟に弱みをつかれて、来年世界の2つもしくは3つの地域で同時に戦争をせざるを得ない境遇に追い込まれるかもしれない。僕はもしそうなったら日本はそれで終わりだと思います。それで日本はおしまいです。中国に屈服します。中国の属国になります。僕はそう思ってます。
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伊藤貫氏の動画のご紹介は以上になる。私は伊藤貫氏の論理的で明快な話が大好きで、意見に関しても9割は賛同できる。なるほど、なるほどと思って聞いている。しかし、最後の「それで日本はおしまいです。中国に屈服します。中国の属国になります。」という発言は、論理的でもないし妥当性もないと思う。最後になってそのようなどんでん返しをするのは、「結局のところ伊藤貫氏はアメリカのスパイ?」などという疑いまで感じてしまう。
その理由を説明すると、まず、伊藤貫氏は日頃からアメリカはひどい国であると力説する。今回の動画でも、「世界で唯一核戦争犯罪を実行した国が、世界で唯一核戦争犯罪の犠牲になった国に対して、お前たちJapaneseだけには持たせないって、グロテスクでしょ。」などと述べている。
そこまでは私もそのとおりだと思う。現在のアメリカは、他の国など比べ物にならないくらい圧倒的に世界一極悪非道な国になる。であるならば、仮に伊藤貫氏の予言が当たって、日本がこの先中国に屈服し、中国の属国化、植民地化したところで、なんら恐れる必要はないことになる。なにしろ現在の日本は実質的にアメリカの属国であり、アメリカの植民地であるのだから。
現在、日本が世界一極悪非道なアメリカという国の属国及び植民地となっているということは、この先世界一悪徳ではない中国がアメリカの代わり日本を属国化、植民地化したとしても、なんら恐れる必要はないことになる。
もう一つ、伊藤貫氏の誤りは、国と国の関係を軍事バランスでのみ捉えようとするところにある。軍事力至上主義的な考え方をしている。現在核を保有している、ないしはその可能性のある国はアメリカ、フランス、イギリス、中国、ロシア、インド、パキスタン、北朝鮮、イスラエルの9か国のみになる。軍事力がそれほど大切なものであるならば、それ以外の圧倒的多数の国々はどのように自国を防衛・維持しているのだろうか。核保有国の奴隷となっているのだろうか。
アジアにおいて、台湾、フィリピン、インドネシア、ベトナム、ラオス、カンボジア、タイ、ミャンマー、マレーシア、ネパール、モンゴル、キルギス、タジキスタン、ブータンなどの非核保有国は全部中国に屈服して属国となり、悲惨な生活を送っているのだろうか。
「それで日本はおしまいです。中国に屈服します。中国の属国になります。」というものの言い方には、アメリカが日本から去って中国の支配下に入ると、この世の終わりとも思える酷い扱いを中国から受けると暗黙裏に語っているような印象を受ける。伊藤貫氏はそのことを、いつもの論理的で明快な形で説明することができるのだろうか。
私などは楽観的なものだから、日本が中国の支配下に入ったならば、日中同盟でも組んで一緒にアメリカをいじめ、これまで何百万人と殺された日本人の敵(かたき)を討ってやれ、くらいにしか思わないのだけれどねえ。
そのあたりを伊藤貫氏がきちんと説明しないのであれば、いつもアメリカが行っているプロパガンダのように、「コロナ怖い。ワクチン打とう。」と同じことを、つまり「中国怖い。核を持とう。」と伊藤貫氏も言っていることにしかならないと思うのだけれど・・・。
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