社会の授業で習う「共産主義」。でもイマイチ内容をきちんとわかっていない場合も多いのではないでしょうか?子どもに聞かれたときにわかりやすく説明できるように、共産主義・社会主義・資本主義とはそれぞれどんなものなのか、共産主義と社会主義の違い、社会主義と資本主義の違いを、ここで改めて整理してみましょう。
共産主義とは? それぞれの主義との違いをわかりやすく解説
世界ではそれぞれの国ごとに経済活動が営まれています。社会の授業で共産主義、社会主義、資本主義を習うものですが、混乱してわからなくなる子ども多いはず。そして大人になっても、それぞれの意味をおぼろげにしか理解していないこともあるかもしれません。
そこで、ここで改めて共産主義・社会主義・資本主義のそれぞれの意味について解説。子どもに聞かれたときにわかりやすく答えられるように、それぞれの体制の特徴や違いを説明していきましょう。
共産主義とは
まず最初に「共産主義」について。デジタル大辞泉(小学館)によると、次のように書かれています。
1 財産の私有を否定し、生産手段・生産物などすべての財産を共有することによって貧富の差のない社会を実現しようとする思想・運動。古くはプラトンなどにもみられるが、現代では主としてマルクス・エンゲルスによって体系づけられたマルクス主義思想をさす。
2 マルクス主義で、プロレタリア革命によって実現される人類史の発展の最終段階としての社会体制。そこでは階級は消滅し、生産力が高度に発達して、各人は能力に応じて働き、必要に応じて分配を受けるとされる。
ここで登場する「マルクス主義」とは、ドイツのカール・マルクスとフリードリヒ・エンゲルスが体系化した思想のこと。資本を社会の共有財産にすることで、人々が協力して運営する社会を目指すことをいいます。
※引用元:デジタル大辞泉(小学館)
簡単にいうと?
つまり共産主義をわかりやすくいうと、資本や財産をみんなで共有する平等な社会体制のこと。土地や財産などはすべて国のものとなり、みんなで共有します。生産されたものもみんなのものとなり、均等に分配するという考えです。
マルクス主義思想では、資本主義は資本を持っている人が富を独占して、人々の間に貧富の差が生まれると考えました。資本家ばかりがお金を増やし、それ以外の労働者は一向に豊かにならず、資本主義社会の限界を見通したのです。
また、新しいものの開発は、過去の知識や多くの人の知恵が積み重なって生まれたもので、資本家だけが独占できるものではないと考えるのが共産主義とされています。
共産主義と社会主義の違いとは
ここからは、共産主義と社会主義の違いを見ていきます。
社会主義とは
次に「社会主義」について見てみましょう。デジタル大辞泉(小学館)では、社会主義について次のように書かれています。
1 生産手段の社会的共有・管理によって平等な社会を実現しようとする思想・運動。空想的社会主義・共産主義・社会民主主義など。
2 マルクス主義で、資本主義から共産主義へと続く第一段階としての社会体制。各人は能力に応じて働き、働きに応じて分配を受けるとされる。1917年のロシア革命により、1922年に世界初の社会主義国家としてソビエト社会主義共和国連邦が成立したが、硬直化した官僚体制への不満などから1991年に崩壊した。
社会主義は、共産主義を実現するための前段階という考え方であり、共産主義は社会主義思想の理想形ともいえるでしょう。
※引用元:デジタル大辞泉(小学館)
簡単にいうと?
社会主義をわかりやすくいうと、資本は国のもので、国がそれらを管理して平等にする体制。個人が資本を所有することは認められません。
そもそも社会主義の考えが生まれたのは、資本主義による弊害が明らかとなってきたことがきっかけでした。資本主義では、企業や個人が自由に経済活動を行い、それぞれの利益を追求します。すると資本を持つ人とそうでない人との間に貧富の差が生まれ、資本主義経済の問題点が明らかとなってきたのです。
そして1917年のロシア革命を経て、旧ソ連が確立したのが社会主義経済の体制でした。社会主義では、資本主義の考えを否定し、それに相反する体制として生まれたのです。
しかし社会主義では、労働者がいくら頑張って働いても給料は上がりませんし、効率的に仕事をしようという努力も必要ありません。そのため人々の働く意欲が失せ生産性が低下し、経済が停滞するようになったのです。さらに旧ソ連の一部の共産党幹部が富を独占する事態も生じ、ついに1991年に崩壊。その後のロシアでは、資本主義経済が導入され資本主義化が進められました。
共産主義と社会主義の違いとは
ここで混乱しやすいのが、共産主義と社会主義の違いについて。共産主義は、社会主義の理想的な思想であると上述した通り、社会主義の進化版ともいえます。
社会主義では、企業が得た利益を国が管理し、国民の給料も国が管理して分配します。一方で共産主義では、そもそもすべての利益をみんなで共有するという考えがあり、国が管理する制度自体もいらないこととなります。
このように、社会主義が生まれた後にそれを実現する方法として共産主義が体系化されると、共産主義と社会主義には明確な違いが出てきました。しかし旧ソ連が崩壊すると、共産主義と社会主義の違いは曖昧となり、現代ではほぼ同じような意味として捉えられている部分もあります。
社会主義と資本主義の違いとは
社会主義と資本主義の違いを見ていきましょう。
資本主義とは
ここからは、「資本主義」についてご紹介しましょう。デジタル大辞泉(小学館)によると、資本主義は次のように説明されています。
封建制度に次いで現れ、産業革命によって確立された経済体制。生産手段を資本として私有する資本家が、自己の労働力以外に売るものを持たない労働者から労働力を商品として買い、それを上回る価値を持つ商品を生産して利潤を得る経済構造。生産活動は利潤追求を原動力とする市場メカニズムによって運営される。キャピタリズム。
資本主義とは、個人や企業が利益を追求する自由競争のもとで、社会全体の利益も増大する体制です。
※引用元:デジタル大辞泉(小学館)
簡単にいうと?
資本主義とは、働いたらその分だけ報酬が得られて、個人や企業が財産を所有することができる体制をいいます。人気があるものはよく売れ、さらに市場の競争によって価格が安くなることもあります。業績のよい企業に就職して頑張って働けば、多くの給料をもらえるかもしれません。しかし業績が悪くなれば、失業したり生活が苦しくなったりするリスクもあります。
資本主義は、18世紀にイギリスで起こった産業革命をきっかけに生まれた体制です。機械がたくさん開発され大量生産ができるようになり、工場の経営者は労働者をたくさん雇い、多くのお金を儲けることができました。これが資本主義の始まりになったといわれています。日本でも明治維新以降に、資本主義が発達していきました。
社会主義と資本主義の違いとは
では社会主義と資本主義の違いとは、何でしょうか。もっとも大きな違いは、個人が資本を持てるかどうかという点にあります。社会主義では資本は国のものであり、個人が持つことはできません。しかし資本主義では個人が資本を持つことができるのです。
社会主義では平等な社会になる一方で、社会主義国家が崩壊したように、なまける人が増えて経済がなかなか発展しにくいという欠点があります。それに対し、資本主義は経済が発展しやすいメリットはありますが、お金持ちはさらに富を増やし、そうでない貧しい人も生まれ格差が広がるというデメリットがあります。
現在は日本を含め多くの国が資本主義体制をとっていますが、貧富の差が広がりやすいという問題点が指摘されています。
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