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徽宗皇帝のブログ

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食糧モンロー主義
「大摩邇」所載の「in deep」記事の末尾だが、少し疑問に思うのは「食糧」(つまり主食)となるのは小麦だけか、ということだ。パンもケーキも小麦だから「パンが無ければケーキを食べればいいじゃない」とはいかないが日本人なら「パンが無ければご飯を食べればいいじゃない」「ケーキが無ければ御餅を食べればいいじゃない」でいけるわけである。で、アジア各国など、世界的にも米を食べていた国は多かったわけだが、それがいつの間にか、小麦使用の食品だらけになっていたのは、それが「カッコいい」と洗脳されていた面もあるだろう。蕎麦ですら小麦がかなり使われている、ということは最近知ったことである。パンやケーキが無くなっても私は困らないが、蕎麦が食えなくなると困る。
まあ、これを機に米作り(ジャガイモでもコーンでもいいが)が復興し、そして世界各国は食糧の他国への依存の危険性を深く認識することである。食糧だけではない。グローバリズムというのはいつでもこのような「ボトルネック」の危険性があるということだ。ライフラインが一本しか無い、ということが平気で国家的に行われているわけである。
これからは「国家的自立主義」、つまり「自国だけで生きていける能力」を世界各国は持つべきだろう。食糧生産という国家存続の基本を平気で他国に依存している、その神経がおかしいということである。

(以下引用)


なお、食糧のことですけれど、少し前に、国連の人道問題調整事務所(OCHA)が、


「飢餓のハリケーン」


という表現を文中に使った今後の飢餓の問題を文書でリリースしていました。


ここでは、主に、いわゆる開発途上国に差し迫っている飢餓について書かれてありますが、「どのような国が、特にロシアとウクライナの小麦に依存しているか」ということなどがわかると共に、これを読んでいると、


「発生の時間差はあっても、今後の食料危機に途上国とか先進国とかの差はない」


と思えるものです。


食糧の大生産国はまだしも、主要国であっても、食糧とエネルギーの自国の生産が乏しい国々は大変な状態になっていくと見られます。


その国連人道問題調整事務所のニュースリリースをご紹介して締めさせていただきます。

ウクライナ戦争は南の発展途上国の飢餓を悪化させる

Ukraine War Exacerbates Famine in the Global South
reliefweb.int 2022/04/01


繰り返して述べていることではあるが、現在の戦争は、その影響が戦場をはるかに超えた苦しみを引き起こすことを示している。


ウクライナに対するロシアの侵攻は、アフリカと中東の多くの国で食糧危機を悪化させている。


何年にもわたり飢餓は減少していたが、今、飢餓は世界的に再び増加している。国連食糧農業機関(FAO)によると、世界が危機的な段階にある理由は数多くあるが、多くの場所での激しい紛争により、食糧の栽培と収穫、加工と輸送、供給と販売が不可能になっている。


これに加えて、気候変動のますます劇的な結果がある。気温の上昇、降雨パターンの変化、干ばつや鉄砲水などのより頻繁な異常気象により、食糧事情はますます不安定になっている。コロナウイルスの危機も​​、世界的な飢餓を再び増大させた。


そこに、ウクライナへのロシアの攻撃が追加された。


ウクライナとロシアは、現実として、世界の「ヨーロッパの穀倉地帯」と見なされている。両国は合わせて、世界の小麦需要の約 30パーセントを供給している。何年もの間、ロシアとウクライナは、小麦、トウモロコシ、菜種、ヒマワリの種、ヒマワリ油の最大の輸出国にランクされてきた。


戦争が始まって以来、ロシアは小麦の輸出を大幅に削減した。また、一方のウクライナは、国内の物資を確保するために、もはや穀物を海外に輸出していない。


ウクライナの、特に北部では農業が崩壊している。農家の人々はもはや自分たちの畑にたどり着くことができず、肥料と燃料が不足しており、彼らは国内の他の地域に逃げているか、ウクライナの軍隊に徴兵されている。


すでに播種された小麦が夏に収穫できるかどうかはまだ分からない。さらに、夏の穀物とトウモロコシは 3月に播種されるべきものだった。来年の播種がどうなるかもまだ分からない。


しかし、明らかなことは、多くの開発途上国がロシアとウクライナの小麦に大きく依存しているということだ。国連食糧農業機関によると、ロシアとウクライナの輸出規制は世界市場での食料と飼料の価格を最大 22パーセント上昇させる可能性がある。アラブの春が、特にパンの価格の上昇が北アフリカ諸国での広範な抗議につながったことを思い出す。


 


国連事務総長は「飢餓のハリケーン」を警告している


アントニオ・グテーレス国連事務総長は、3月中旬にこの戦争の世界的な影響について緊急に警告した。穀倉地帯は爆撃されており、「飢餓のハリケーン」が脅かされていると事務総長は述べた。


ウクライナが食品輸出国として非常に重要であることを考えると、侵略は「世界で最も脆弱な人々や国への攻撃でもある」と述べた。


国連食糧農業機関によると、世界の食料価格は依然として上昇しており、史上最高レベルに達する可能性がある。


世界の後発開発途上国 45か国は、小麦の少なくとも 3分の1をウクライナまたはロシアから輸入しており、そのうち 18か国は 50%以上を輸入している。


これらには、エジプト、コンゴ民主共和国、リビア、ソマリア、スーダン、イエメンが含まれる。これらの国では、何百万人もの人々が大規模な飢餓に苦しんでおり、戦争以前から人道援助と食糧供給にすでに依存していた。


この戦争はヘルベタス(スイスの援助団体)が活動している国々にも影響を及ぼしている。たとえば、マダガスカルは小麦の 75%をロシアとウクライナから輸入しているが、食糧事情は目に見えて悪化している。


マダガスカルでは、すでに長引く干ばつと気候関連の異常気象にひどく苦しんでいる。年の初めに、4つのハリケーンが 4週間以内にこの島を襲った。


ウクライナから小麦のほぼ 40%を購入しているチュニジアでは、小麦の価格が高騰している。チュニジアの大統領は、ウクライナの戦争とそれに伴う食糧投機の悪い状況を非難している。チュニジアの債務はこれまで以上に急増しているため、チュニジア政府は戦争が勃発する前に国際通貨基金(IMF)に財政援助を要請した。


小麦の 75%をロシアとウクライナから入手しているレバノンも、他の国の小麦輸出業者を必死に探しているが、これまでのところ見つかっていない。現在、レバノンでは、配給制となっており、今後も急激な価格上昇の恐れがある。


ロシアから小麦のそれぞれ 30%以上と 25%以上を購入しているブルキナファソとマリも、戦争の影響を感じている。国連世界食糧計画によると、気候変動とCovid-19により、2022年のこの地域の国々の飢餓人口は、ウクライナでの戦争勃発前の 2019年の 10倍に達した。輸入の減少と価格の上昇により、これらの国々の状況はさらに悪化するだろう。


最後に、アフリカの角(エチオピア、エリトリア、ジブチ、ソマリア、ケニアなどが含まれる地域)では、1300万人がすでに飢餓で苦しんでいる。


エチオピアは小麦の約 40%をロシアとウクライナから、ケニアは 30%、ソマリアは 90%以上を輸入している。2022年中に、世界のこの地域で最大 2,000万人が危険にさらされるだろうと世界食糧計画は警告している。

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