グレッグ・マダックスと言えば、抜群の制球力で300勝を達成した大投手だが、彼の投球フォームには大きな特徴がある。それは、投球を開始してから片足が完全に上がるまで捕手を見ないで、足元しか見ていないということだ。普通は、制球力をつけるには捕手から目を離すな、と教える指導者が多いと思うが、彼はそのまったく反対でありながら、最高の制球力を身につけている。ただし、片足が完全に上がり、体重が軸足に乗ってからは、ボールが手を離れ、フォロースルーが終わるまで、彼の視線は捕手から一瞬も離れない。ここが多くの平凡な投手との違いである。制球力の悪い投手は、投げるその瞬間に、やはり捕手から目が離れているはずだ。さらに言えば、マダックスの目は、捕手ではなく、自分の投げるポイントに焦点を当てているように見える。つまり「あの辺」という漠然としたエリアではなく、「あの点」に向けられており、そのポイントと自分の肩を結ぶラインにボールを流しこむというイメージで投げているような感じだ。この「投球ライン」という考えはある野球教本で読んだのだが、マダックスの投球分解写真は、まさしくその実例のように思える。
人間の集中力は、時間が短いほど効果が高い。マダックスが投球の最初の段階でわざと下を向いているのは、捕手をずっと見ている時間をできるだけ短くすることで、集中力を高める工夫だろう。わずか数秒の間でも、その間に集中と弛緩があり、それをコントロールできる人間とコントロールできない人間との間に大きな開きが生まれるのがスポーツである。
興南の我喜屋監督が選手に教えた「反応打撃」、つまり、投球の予測をせず、来た球に即座に反応する打撃も、極端に短い時間の中での集中力を高めることで大きな効果を得たものだろう。
人間の集中力は、時間が短いほど効果が高い。マダックスが投球の最初の段階でわざと下を向いているのは、捕手をずっと見ている時間をできるだけ短くすることで、集中力を高める工夫だろう。わずか数秒の間でも、その間に集中と弛緩があり、それをコントロールできる人間とコントロールできない人間との間に大きな開きが生まれるのがスポーツである。
興南の我喜屋監督が選手に教えた「反応打撃」、つまり、投球の予測をせず、来た球に即座に反応する打撃も、極端に短い時間の中での集中力を高めることで大きな効果を得たものだろう。
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