かんぽ生命保険の不正販売問題を報じたNHKの「クローズアップ現代+」を巡り、NHK経営委員会が2018年10月に当時の上田良一会長を厳重注意していた問題で、当時委員長代行だった森下俊三・現委員長らが経営委の会合で、番組の制作手法を批判するなどしていたことが関係者への取材でわかった。注意が、放送法が禁じる個別の番組への干渉にあたる疑いが強まった。
一連の問題では、番組に関するNHKの対応に不満を持っていた日本郵政から同10月5日付で「ガバナンス体制の検証」を求める文書が経営委に届き、同月23日に経営委員のみが集まった会合で対応を協議。直後に上田会長を呼んで厳重注意した。
経営委は、クロ現の担当者が日本郵政側に「会長は番組制作に関与しない」などと発言した内容が問題だったとしてガバナンス体制の強化を求めたものだとし、放送内容への介入ではないと主張している。
だが、関係者によると、森下氏はその議論の場で、ネット上で不正販売に関する情報を募る番組の取材手法について批判していたという。また委員からはNHKが同7月に情報提供を求めネットに流した動画で使っていた「詐欺まがい」「押し売り」といった言葉遣いを問題視する意見も出たという。あるNHK関係者は「厳重注意が番組内容を元に行われたともとれ、放送法で禁じられる番組介入の恐れがある」と指摘する。
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