★沖縄の米軍ヘリパッド建設現場で抗議活動中の市民に機動隊員が「土人」と叫んだことについて大阪府知事・松井一郎は「(抗議する)相手もむちゃくちゃ言っている。相手は全て許されるのか。それをもって1人の警官が日本中からたたかれるのはちょっと違うと思う」と擁護。タレントのフィフィはツイッターで「1人の機動隊員による暴言をクローズアップするなら、反対派による機動隊員への暴言も報道するべき」とした。同様にネットでは「報道は正確に、中立に」と賛同の声があふれる。



 ★今国会の首相・安倍晋三の所信表明では、自衛隊、海上保安庁、警察の活動をたたえて「心からの敬意を表そう」と呼び掛け、自民党議員が起立して拍手した。民進、共産、日本維新の会の野党3党は「異常な事態」と抗議したが09年10月、当時の首相・鳩山由紀夫が所信表明を終えた後、民主党議員らが起立して拍手したからお互いさまだとの理屈でまぜかえされた。あたかも両論併記が民主主義の根幹のような、中立の担保と誤解しているようだが立場も形も、趣旨も全く違うものを並べても意味がない。


 ★今夏の参院選の前に発売された雑誌「通販生活」には「自民党支持の読者の皆さん、今回ばかりは野党に一票、考えていただけませんか」という特集が掲載され話題になった。最近発売されたその冬号では読者の総括が掲載された。172人の読者の批判はおおむね3つに集約されるとし、その1つに「政治的記事を載せるのなら両論併記型にするべき」があったという。


 ★編集部はその答えに両論併記を「『対立する異論を理解しあう形式』の1つと考えて実行してきた。これからも実行していく。しかし憲法学者の9割が違憲としたほどの『安倍内閣の集団的自衛権の行使容認に関する決め方』は両論併記以前の問題と考えた次第」と回答した。両論併記は比較すべきものでもないものすら“論”に昇格させてしまう危険なロジックだ。(K)※敬称略