マスコミに載らない海外記事さんのサイトより
http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2025/01/post-46cb40.html
<転載開始>


エドゥアルド・バスコ
2025年1月20日
Strategic Culture Foundation

 過去70年、何も変わっていない。GMがテスラに道を譲ったに過ぎない。

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 アメリカは「少数超富裕層の手に権力が集中する危険な状態」つまり「少数独裁政治」を経験しつつある。これはホワイトハウスで行い全国で放映された退任演説で、ジョー・バイデン大統領がアメリカ国民に語った言葉だ。ドナルド・トランプと関係がある億万長者に彼は間接的に言及し、彼らの「極度の富や権力や影響力」は「文字通り」民主主義への脅威だと宣言した。

 アメリカや世界中で起きている全ての不幸は極右のせいにされているため、この権力と富の集中は長い間続いており、新しくはないことは隠蔽されている。内戦後の国家統一によるブルジョア革命終焉は、民主党と結びついた農業ブルジョアジーから、共和党に代表される工業ブルジョアジーへの権力移行を意味していた。既に、その時点で、今日までアメリカ政治を支配することになる巨大な資本主義独占が形成されつつあったのだ。
 「石油業界のロックフェラー家、鉄鋼業界のカーネギー家やフリック家、銀行業界のモルガン家、鉄道業界のハリマン家やヒルズ家など、これらは1865年から1901年まで共和党だけでなく民主党でも影響力を持っていた人物たちだ」と歴史家アーサー・S・リンクは書いている。「彼らは政治活動に資金を提供し、公共サービスや土地や免税や関税保護の譲歩という形で政府から報酬を受け取っていた。」

 第二次世界大戦後(これら独占企業にとってアメリカ参戦は必須だった)、独占企業による政治権力の集中が強化された。1953年に政権を握ったドワイト・アイゼンハワーは、内閣に大企業代表者を据えた。国防総省にはゼネラル・モーターズのチャールズ・ウィルソン、財務省にはマサチューセッツ州ハンナ鉄鋼会社のジョージ・ハンフリー、商務省には実業家のシンクレア・ウィークス、郵政電信局には自動車業界出身のアーサー・サマーフィールド、農務省には農業市場出身のエズラ・タフト・ベンソン、国務省には裕福な企業弁護士のジョン・フォスター・ダレスが就任した。内務省のダグラス・マッケイ、司法省のハーバート・ブラウネルとともに彼らは、ニュー・リパブリック紙が「8人の億万長者と消防士1人」と評した内閣を結成した。消防士とは、アメリカ消防配管工協会の組合指導者で労働長官のマーティン・ダーキンだった。数か月後、大手小売業者のジェームズ・ミッチェルがダーキンに代わった後、通信起業家ウィリアム・P・ホビーの妻オベタ・カルプ・ホビーの監督下、保健教育福祉省が設立された。

 バイデンが言う通り「寡頭政治」との関係で最も有名な政権の一つは、ジョージ・W・ブッシュ政権だろう。彼自身も(武器など他分野とのつながりに加えて)石油事業家で、副大統領は石油ビジネスマンのディック・チェイニーで、彼の妻は武器大手ロッキード社の取締役を務めていた。彼の国防長官(ジェラルド・フォードの国防長官も務めた)だったドナルド・ラムズフェルドは製薬業界とエレクトロニクス業界で事業を展開し、国務長官のコンドリーザ・ライスはシェブロン社顧問だった。ブッシュ・ジュニア政権と直接関係ある企業の多くがイラク侵攻の大受益者の中に含まれていたのも不思議ではない。
 
トランプ政権の偉大な実業家

 この伝統を守りながら、ドナルド・トランプはアメリカ政府に復帰する。不動産からエンターテインメントまで様々な分野で事業を展開する大物実業家トランプは、主要職務に大物実業家を任命した(財務省にスコット・ベッセント、教育省にリンダ・マクマホン、商務省にハワード・ラトニック、エネルギー省にクリス・ライト、内務省にダグ・バーグム、ホワイトハウス長官にスージー・ウィルス、中東省にスティーブン・ウィトコフ)。だが、この大物は公式職務に就くことはない。イーロン・マスクは政府効率化局の責任者となり、公共支出を3分の1削減する。

 世界一の富豪でトランプ陣営への最大寄付者(2億2000万ドル)マスクは、新大統領と非常に親しくなったため、既にマスクは自身の企業で働く熟練労働者の移民を増やし、賃金を下げてアメリカ人労働者の欠員を埋める可能性を擁護して、トランプ主義を裏切っていると非難したスティーブ・バノンなど最も過激なMAGAイデオローグの標的になっている。また、このテクノロジー界の大富豪は、ロッキード社との武器契約をシリコンバレーで開発されたドローンに置き換えるよう政府に提案し、軍産複合体の伝統的部門を動揺させている。

 実際、トランプ政権二期目以降、マスクはアメリカ政府と契約しようとしていない。ジョー・バイデン政権以降、スペースXは諜報機関や国防総省向けのスパイ衛星ネットワークを構築してきた。アメリカ国外では、マスクはテスラに供給するアルゼンチン産リチウム採掘に投資し始めた。それ以来、彼はハビエル・ミレイとも友人になり、彼の当選を支持したが、これは明らかにアルゼンチン産リチウム譲与と引き換えだった。当選後のテレビ番組で、ミレイはマスクが「アルゼンチン産リチウムに非常に興味を持っている」と明かし、同国の法律を変えて、彼や他のアメリカ企業の「財産権を尊重する法的枠組み」を保証すると確約した。その後まもなく、ミレイは「衛星インターネット・サービスの規制緩和を行い、スターリンクのような企業の参入を認める」ことも発表した。

 これは確実にトランプとミレイの関係改善理由の一つだ。数年前、マスクは世界最大のリチウム埋蔵量を誇るボリビアで2019年に起きたクーデターを支持していたことも明らかにした。「我々は望む者なら誰でもクーデターを起こす」と当時彼は投稿した。この歴史とルラ大統領およびブラジル最高裁判所との最近の緊張が相まって、ブラジルがマスクが言及したクーデターの次の標的になる可能性が差し迫っているという警鐘が鳴らされている。ボルソナロ支持者たちは政権に復帰し、最近ブラジルに進出した中国自動車メーカーをテスラに置き換え、テレブラスと契約を結んだ中国企業スペースセイルをスターリンクとの競争から排除するよう切望している。

 トランプ大統領に任命された支出削減分野を遙かに超える発言をマスクが頻繁に行っていることから判断すると、Xオーナーは大統領自身と新政権の各部門に影響を与える意見を表明している。カナダやドイツやイギリスなどの裕福な国でさえ、マスクの貪欲の標的になっている。彼はカナダの併合や、他の二つの政府における極右の台頭を支持しているためだ。南北アメリカとヨーロッパの両方におけるこれら全ての事例は、孤立主義者と保守的「国際主義者」に分かれているトランプ新政権の一部に見られる傾向、積極的介入主義政策を明らかにしている。この積極性は、何らかのイデオロギーによって動機付けられているのではなく、むしろマスクやトランプ政権の他の実業家の権益の必要性に動機付けられていると考えるのが自然だ。

 アイゼンハワー大統領により国防長官に任命されたゼネラルモーターズの大株主チャールズ・ウィルソンは、1953年の上院公聴会で「国にとって良いことはゼネラルモーターズにとっても良いことで、その逆もまた然りだ」と宣言した。この意味では、過去70年間何も変わっていない。ゼネラルモーターズがテスラに道を譲ったに過ぎない。

記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2025/01/20/what-is-good-for-us-also-good-for-elon-musk-and-vice-versa/

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