管理人氏コメントも含め、いい記事だと思う。簡単に言えば、政府のこの〈同一労働同一賃金〉法制化は「羊頭狗肉」「絵に描いた餅」にしかならないだろう、という予測ができるということになるか。
つまり、かなりな単純労働以外は「同一労働」をした、という判定などほぼ不可能であり、上級管理者の判断ですべてが決まることになる、ということではないか。その結果、いわゆる「成果主義」と同じことになり、奴隷間の競争を勝ち抜いた者が出世していく、アメリカ的超競争社会、すなわちキチガイ社会に向かって進んでいくことになる。(そのアメリカ社会は、サンダース旋風に見られるように、社会主義的方向、つまり「奴隷間競争否定」の方向へ進みつつあるのだが。)
「つまり常に他の社員よりも私は優秀だという事をアピールする事で給料が上がって行く。会社が一致団結して一つの纏める事は不可能に近く、何もかもシステマチックに決められて組織が動く。給料がどうしても上げてほしければ同業他社に転職する事で上げて行かなければならない。」
アメリカのビジネス社会を描いたドラマなどを見ると、まさにこれである。つまり「足の引っ張り合い」だ。では会社はどうするかと言えば、他社に優秀な社員(たいていは、目的のためには手段を選ばないエゴイストで、サイコパスも多い)を引き抜かれないように、優秀な社員(だけ)に超高給を与えて引き止めることになる。社内は妬みと恨みと裏切りと足の引っ張り合いになるだけだ。人間関係は、すべて「取り引き」にしかならない。男女関係も打算でしかない。物欲と色欲と嘘だけのキチガイ社会、それがアメリカである。
問題は、そういう社会で人は幸福になれるか、ということだ。なれるはずはない。だからこそ、中級以上のアメリカ人、つまりある程度「競争に勝ち抜いた人間」はみな、精神異常になるのである。アメリカで精神カウンセラーという仕事があれほど需要があるのは、要するに皆精神を病んでいるからだ、ということである。
(以下引用)
2016年2月15日 月曜日
◆<同一労働同一賃金>法制化へ 差別的待遇禁止、全非正規に 2月12日 毎日新聞
政府は正規・非正規に関わらず同じ職務の労働者に同じ賃金を支払う「同一労働同一賃金」を法制化する方針を固めた。パートタイム労働者と正社員の差別的待遇を禁じた改正パートタイム労働法(昨年4月施行)の規定を派遣労働者らにも広げる。5月に策定する「ニッポン1億総活躍プラン」に方向性を盛り込み、厚生労働省の労働政策審議会を経て、早ければ来年の通常国会に提出する方針だ。
同一労働同一賃金を巡っては、昨年の通常国会で自民、公明、維新(当時)3党の賛成で成立した「同一労働同一賃金推進法」で、派遣労働者の待遇について「3年以内に法制上の措置などを講じる」と定めた。厚労省は当初、政省令での対応を検討したが、安倍晋三首相は「必要であれば法律を作る」と発言するなど法制化に強い意欲を示しており、方針を転換した。(後略)
◆「同一労働同一賃金」が都合が悪いほんとうの理由 週刊プレイボーイ連載 2015年7月6日 週刊プレイボーイ
ところが不思議なことに、常日頃から「あらゆる差別に反対する」と公言しているリベラルなメディアは、こんなに大事な「同一労働同一賃金推進法案」についてほとんど触れず、年収1075万円以上の限られた雇用者にだけ適用される高度プロフェッショナル制度に「残業代ゼロ」のレッテルを貼り、ファストフード店の店員まで残業代をもらえなくなるかのような偏向した報道をつづけています。なぜかというと、同一労働・同一賃金は彼らにとってものすごく都合が悪いからです。
日本的雇用制度で、派遣社員問題よりさらに深刻なのは、親会社から出向してきた社員と子会社の社員(プロパー)の身分格差です。会社組織はピラミッド型で、年功序列の正社員を解雇できないとなると、給料の高い中高年がどうやっても過剰になります。そこで彼らを子会社に出向させるのですが、その際、給与などの労働条件を改定できないため、同じ仕事をしていても、子会社の水準よりはるかに高い給与を受け取ることになります。
日本の会社制度の根幹は、実はこの出向にあります。親会社の正社員は、これまでと同じ待遇が保証されるから、子会社での勤務をいやいや受け入れています。これを同一労働・同一賃金にしてしまうと、人事制度が根底から崩壊してしまうのです。
日本の新聞社やテレビ局で子会社への出向を行なっていないところはありません。そんなメディアが、同一労働・同一賃金の推進を主張できるわけはないのです。
差別的な身分制度に安住しながら口先だけで「差別」に反対する、そんな“似非リベラル”とバカにされないためには、まずは自らの組織で範を示すべきでしょう。
(私のコメント)
同一労働同一賃金制度は、法律一つ作れば右から左へと行えるものではなく、仕事内容を数値化して役割分担をマニュアルできちんと決めて、公正な人事評価も出来るようにしなければならない。同じ会社でも誰もがやりたがらない仕事と誰も人事異動で動かす事も難しくなるでしょう。
新卒社員を一斉採用して会社で教育して、さらにローテーション人事で技術者を営業に回す事も難しくなる。部署がかわれば仕事の内容が全く異なるから新人社員と同じ扱いになるが、昨日まで営業部長で1000万円貰っていた人が、今日から経理に配置換えになったら何も出来ないから新人と同じ300万円の年収になっても文句は言えない。
つまり人事体系を抜本的に変えなければならず、ほとんど不可能に近いのではないだろうか。企業は人件費削減の為に非正規社員を増やしてきていますが、同じ仕事をしても非正規社員は正社員の半分以下の給与で使うことが出来る。しかも契約期間が終わればクビに出来るから年金や健康保険などの負担もしないで済む。
企業にとっては正に良い事づくめですが、長期的には技術が継承されず、従業員教育も先輩が後輩を教える事も行われず、社内における生存競争で足の引っ張り合いも起きるだろう。優秀な社員が能力が劣る社員を補佐する事も無理だろう。つまり人の失敗を喜ぶような人も増えるだろう。
週刊プレイボーイの記事にもあるような天下りシステムも同一賃金制度では馴染むことが出来ず、親会社並みの給料は維持することが出来ない。日本の制度では降格や減給などの処分は出来ず、年功賃金体系は維持されている。正規社員の労働組合にとっては年功賃金体系維持されなければならず、同一労働同一賃金体系は賛成できないだろう。
つまり常に他の社員よりも私は優秀だという事をアピールする事で給料が上がって行く。会社が一致団結して一つの纏める事は不可能に近く、何もかもシステマチックに決められて組織が動く。給料がどうしても上げてほしければ同業他社に転職する事で上げて行かなければならない。
理想的には年功序列賃金体系の方が良いのでしょうが、それでは優秀な幹部社員が育たず年功で無能な社員が幹部にまでなっているから日本企業の停滞が続いている。東芝やシャープなどの優良大企業も幹部が無能では立ち直れない。欧米のように社長を他社からスカウトするような事は無理だ。
だからこの法律が出来たとすると、会社内ではかなりの混乱が起きるのではないだろうか? 日本においては儒教の影響などで年長者に対する上下関係が厳しい。年長者にタメ口をきけば顰蹙を買うし、年下の上司から叱りつけられるのもつらいだろう。
アメリカでは若くて優秀な人間はベンチャー企業を起こしていますが、日本では公務員や大企業に就職をする。それが一番得だと考えられているからですが、アメリカでは若くて働けるうちに働いて稼ぐことが優先されますが、日本では年功序列で出世する事が目標とされている。
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