まあ、「安倍がとっくに死んだ今頃何を言ってる」という感じの記事だが、言うだけマシだろう。「小泉が始め安倍がふくらました国民貧困化、最後の仕上げは岸田増税メガネ」。ついでに言えば、真犯人は竹中平蔵であり、当人も、これがアメリカなら自分は射殺されていると言っている。
(以下「東京新聞」から転載)
橘木俊詔 ・京大名誉教授の話 アベノミクスは金融緩和をすれば日本が経済成長に向かうという期待が強すぎた。しかし中小企業への価格転嫁や非正規労働者の処遇改善などの政策は掛け声だけで終わり、トリクルダウンが起きるための環境整備ができなかった。岸田政権は当初、分配重視を掲げたが、党内の反発を恐れてか最近は言わなくなった。安倍路線からの変化はあまりみられない。
(以下「東京新聞」から転載)
アベノミクスの10年、労働者にツケ…「意外。教科書にはなかった」 元首相の指南役・浜田宏一氏インタビュー
2023年3月14日 17時00分
大規模な金融緩和を中心とした安倍晋三元首相の経済政策「アベノミクス」の指南役として、当時内閣官房参与を務めた浜田宏一米エール大学名誉教授(87)が本紙のインタビューに応じた。浜田氏はアベノミクスの10年間について、大企業で利益が出ても中小企業や労働者に恩恵が波及しなかったことに「意外で、いびつな状況」との見解を示した。主なやりとりは次の通り。(原田晋也)
—過去に「アベノミクスはトリクルダウン」と発言していた。
「私がアベノミクスの性質を十分に理解していない時、トリクルダウンのようなことをやっていると誤解した。反省している。最近の私はアベノミクスはトリクルダウンではなかったと思っている。今、トリクルダウンを信じてはいない」
「私が安倍首相(当時)に『政府が、企業が思う以上に賃金を上げろと言うのは難しいのでは』と言ったところ、『企業は労働者の生活を考え、国民の総需要が不足しないように十分に賃金を払わなければいけない』と強く反論された。反論されたのはあの時が唯一だ。このことで、首相がトリクルダウンの考え方ではないとはっきり分かった」
トリクルダウン 英語で「徐々にしたたり落ちる」という意味で、大企業や富裕層を先行して豊かにすれば、中小企業や低所得層にも富が波及し、国民全体が豊かになるとの経済理論。小泉政権などで取り入れられたとされ、アベノミクスも開始当初、政権の政策顧問や閣僚らがこの考え方を説明していた。
—大規模な金融緩和で大企業の収益が改善したのに、賃金が上がらなかったのはなぜだと考えるか。
「長いデフレが続いたことで、みんな物価上昇に悲観的になった。(企業の行動が)出血してでも(低価格で)ものを売るような商売になってしまった。消費税増税でも企業が商品に価格転嫁できず、労働者などの川下にツケが回ったのではないか」
—「ツケが回る」とは、大企業がもうけても下請けの中小企業は取引価格を上げられず、労働者の賃金も上がらない状況のことか。
「そうだ。いびつな状況だといえる」
—10年間たっても賃金があまり上がらなかったことは予想外だったのか。
「予想外だった。僕は漠然と賃金が上がっていくと思っていた。安倍首相もそう思っていたと思う。賃金がほとんど増えないで雇用だけが増えるようなことに対して、もう少し早く疑問を持つべきだった。普通の経済学の教科書には、需要が高まっていけば実質賃金も上がっていくはずだと書いてある。ツケを川下の方に回すようなシステムで調整されるなんてことは書いていない。意外で、望ましくない方向にいっている」
—安倍氏は、最初からトリクルダウンを意図していなかったのか。
「(アベノミクスで)雇用が増えるとは思っていただろう。だが、それによってみんなが豊かになるだろうと思っていたかは、分からない」
橋本健二・早稲田大教授の話 安倍政権期に大企業や富裕層への所得の分配が強化された一方、人々の実質賃金は下がった。トリクルダウンは全く起きていない。批判が増えたので「トリクルダウン政策ではなかった」と、口先だけ軌道修正している。最低賃金の引き上げは民主党政権の路線に沿ったもので、格差を縮小させる効果がある独自政策はほぼ何もしていない。
はまだ・こういち 東大卒。東大教授や米エール大教授、内閣府経済社会総合研究所の所長を経てエール大名誉教授。第2次安倍政権の2012年〜20年に内閣官房参与を務め、大規模な金融緩和を提唱した。
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