筆者名を失念したが、「世相を斬る」というけっこう有名なブログに引用されていた毎日新聞記事を引用する。人や物事の名前を一事的に忘れるのは単なる老化現象(まだそれほどの年ではないつもりだが)であり、まったく他意は無い。引用先に戻って調べていると書きかけの記事が消えることが多いので、そのまま書いているだけである。失礼はお詫びする。そんなボケ頭でブログなど書くな、と言われるかもしれないが、人間の記憶には、数秒前のことでも忘れるというところがあるのである。
さて、それはさておき、安倍総理のアベノミクスが「経済成長と財政健全化の二兎(にと)を追えるか」について、そのブログの筆者は、それは不可能だ、と断定しているが、これは経済成長を政府の財政支出で行うという前提で考えているからだろう。もちろん、それ以前の問題として、先進国においてはたして経済成長はありうるか、また、経済成長が本当に必要かという問題があるのだが、それは別問題として論じれば、経済成長には政府の財政支出はべつに必要は無い。もちろん、戦争という「巨大公共事業」によって停滞した経済にカンフル剤を与えるとか、増税によって景気を冷やすとか、国家が経済に関与することは多いのだが、それは政府が経済を「成長」させることではない。
まあ、後進国や敗戦国では経済促進や経済復興を政府主導で行うことも多いが、政府の関与が無くても、成長の余地のある経済は自然に成長するというのが事実だろう。ただし、アフリカなどのように、「政治状況が国家の発展と成長の邪魔をする」という「システム」があるところは成長はできない。南米などもかつてはそうだったが、欧米のくびきから脱することで着実に経済成長をしているようだ。
で、日本の場合には、もはや経済成長の余地などほとんど無いし、その必要も無いと私は思っているのだが、短期的にでも経済を活性化させることは、今の状況では有意義だと思うし、その点から見ればアベノミクスの方針は正解だ、というのが私の考えである。
もちろん、アベノミクスの中の「経済成長」部分は「財政再建」とはまったく反する方針だが、経済が回復し税収が良化すれば、それは財政再建になるのだから、あながち「二兎を追う」ことが不可能だとも言えない。AKBの誰かが今年の方針として「二頭追う者三頭を得る」とか書き初めに書いていたが、日本語力はともかく、「二頭」ならぬ「二兎を」追うくらいは政府方針としていいのではないか。「三頭」まで狙うのは貪欲すぎるが。
だが、現在一番大事なのが国民の貧窮化にストップをかけることであり、その貧窮化の最大原因を作った小泉改革の犯罪者、竹中を経済対策会議のメンバーに加えるようでは、アベノミクスも「mixed up」して空中分解するのではないかという懸念もかなり大きくはある。
最後に、これはアベノミクスの大ホームランになりそうな政策を一つ取り上げる。それは
「従業員の賃金を上げた場合に法人税を引き下げるなどの減税も実施する。」
というものだ。これこそ、政府の財政支出が無くても景気回復ができる素晴らしいアイデアだろう。これを提言したのが誰か知らないが、こういうように頭を使えば、アイデアはいくらでも出てくるはずである。
(以下引用)
≪ 緊急経済対策:閣議決定…60万人雇用創出、20兆円規模
政府は11日、安倍政権が掲げる経済再生の実現に向けた緊急経済対策を閣議決定した。国の支出だけで10.3兆円、地方自治体の負担や民間分を合わせた事業規模は20.2兆円の大型対策となり、国の支出でリーマン・ショック後の09年4月に麻生政権がまとめた経済対策(約15兆円)に迫る規模となった。政府は、日銀の金融緩和と併せデフレ脱却の起爆剤にしたい考えで、実質国内総生産(GDP)を約2%押し上げ、60万人の雇用創出につながると見込んでいる。
安倍晋三首相は自ら記者して対策を発表し「萎縮し続ける経済と決別し、新しい需要が次々と生み出されて 雇用と所得が拡大していく強い経済を目指す」と、政権の成長重視を鮮明にした。
対策は(1)復興・防災対策(3.8兆円)(2)成長による富の創出(3.1兆円)(3)暮らしの安心・地域活性化(3.1兆円)−−が柱。(3)の地域活性化には公共事業の地方負担を国が肩代わりする交付金(1.4兆円)を盛り込む。また、緊急経済対策としては異例の税制制度改革にも踏み込み、従業員の賃金を上げた場合に法人税を引き下げるなどの減税も実施する。「国土強靱(きょうじ ん)化」を掲げた政権公約に沿い、各分野にまたがる公共事業の総額は地方の肩代わり分を含め4.7兆円に膨らみ、国の支出の半分を占める。
金融政策についても「明確な物価目標の下で、日銀が積極的な金融緩和を行っていくことを強く期待する」 と明記した。政府の経済対策が具体的な金融政策に言及するのも異例だ。日銀に物価目標導入を念押しし、デフレ脱却に向けた連携強化を打ち出した形だ。
具体的な事業には、道路や橋などインフラの総点検・老朽化対策や、東日本大震災の被災地への震災復興特 別交付税の増額、福島県内への放射性物質の分析・研究施設の整備費用などを計上し、復興・防災を推進する。
また、政府系金融機関に基金を設け、企業の新事業創出や海外展開を支援する。政府の出資により民間資金や設備投資の呼び水にする。在宅医療の充実や海上 保安体制の強化、いじめ対策にも予算を配分する。
15日に決定する12年度補正予算案では、対策の財源を手当てするため5.2兆円の国債増発を盛り込む見通しで、当初予算分も含めた12年度の新規国債発行額は、税収・税外収入の合計を上回り、50兆円規模に達する。前政権が財政健全化のために設けた44兆円枠を大きく超え、先進国最悪の財政状況はさらに悪化する。【清水憲司】
◇解説 家計から公共事業重視へ
政権の最優先課題である経済再生に向け、20兆円規模の緊急経済対策が11日、決定した。公共事業に当初予算並みの4.7兆円を配分、企業投資へ多額の補助金も盛り込むなど、家計への財源配分を重視した民主党政権時代からの路線転換は鮮明だ。財政支出に見合った効果を引き出し、経済成長と財政健全化の二兎(にと)を追えるか、政権の真価が問われる。 安倍晋三首相は会見で、公共事業に多額の財源を振り向けることに「安易な公共事業のばらまきではない。 国民生活を守る事業や早期に執行が可能な事業に絞った」と説明した。しかし、事業規模は最近の年間予算額に匹敵するだけに、人材や資材調達が追いつかず、 一部事業は14年度まで執行がずれ込む可能性もある。経済効果に即効性があるのかは不透明だ。
安倍政権は経済政策の「三本の矢」として▽大胆な金融緩和▽機動的な財政政策▽民間投資を喚起する成長 戦略−−を一体的に実行すると説明する。経済対策には民間投資を引き出すための官民ファンド創設や研究開発の実用化支援など、企業の成長力強化を狙った施策も盛り込まれたが、経済界が期待するのは今後策定される成長戦略の確実な実行だ。既得権益を持つ団体や省庁の抵抗を排した規制改革にどこまで踏み込めるのか。それが自民党がかつての体質から変わったのかを示す試金石になる。
今回の対策で12年度の新規国債発行額は50兆円規模まで膨張する。年度途中の国債増発も3年ぶりだ。 政府は大規模な財政出動で経済を底上げし、税収を増やして財政も立て直す戦略を描くが、思惑通りに税収が伸びなければ、借金だけが膨らむ事態になりかねな い。【工藤昭久】 ≫(毎日新聞)
さて、それはさておき、安倍総理のアベノミクスが「経済成長と財政健全化の二兎(にと)を追えるか」について、そのブログの筆者は、それは不可能だ、と断定しているが、これは経済成長を政府の財政支出で行うという前提で考えているからだろう。もちろん、それ以前の問題として、先進国においてはたして経済成長はありうるか、また、経済成長が本当に必要かという問題があるのだが、それは別問題として論じれば、経済成長には政府の財政支出はべつに必要は無い。もちろん、戦争という「巨大公共事業」によって停滞した経済にカンフル剤を与えるとか、増税によって景気を冷やすとか、国家が経済に関与することは多いのだが、それは政府が経済を「成長」させることではない。
まあ、後進国や敗戦国では経済促進や経済復興を政府主導で行うことも多いが、政府の関与が無くても、成長の余地のある経済は自然に成長するというのが事実だろう。ただし、アフリカなどのように、「政治状況が国家の発展と成長の邪魔をする」という「システム」があるところは成長はできない。南米などもかつてはそうだったが、欧米のくびきから脱することで着実に経済成長をしているようだ。
で、日本の場合には、もはや経済成長の余地などほとんど無いし、その必要も無いと私は思っているのだが、短期的にでも経済を活性化させることは、今の状況では有意義だと思うし、その点から見ればアベノミクスの方針は正解だ、というのが私の考えである。
もちろん、アベノミクスの中の「経済成長」部分は「財政再建」とはまったく反する方針だが、経済が回復し税収が良化すれば、それは財政再建になるのだから、あながち「二兎を追う」ことが不可能だとも言えない。AKBの誰かが今年の方針として「二頭追う者三頭を得る」とか書き初めに書いていたが、日本語力はともかく、「二頭」ならぬ「二兎を」追うくらいは政府方針としていいのではないか。「三頭」まで狙うのは貪欲すぎるが。
だが、現在一番大事なのが国民の貧窮化にストップをかけることであり、その貧窮化の最大原因を作った小泉改革の犯罪者、竹中を経済対策会議のメンバーに加えるようでは、アベノミクスも「mixed up」して空中分解するのではないかという懸念もかなり大きくはある。
最後に、これはアベノミクスの大ホームランになりそうな政策を一つ取り上げる。それは
「従業員の賃金を上げた場合に法人税を引き下げるなどの減税も実施する。」
というものだ。これこそ、政府の財政支出が無くても景気回復ができる素晴らしいアイデアだろう。これを提言したのが誰か知らないが、こういうように頭を使えば、アイデアはいくらでも出てくるはずである。
(以下引用)
≪ 緊急経済対策:閣議決定…60万人雇用創出、20兆円規模
政府は11日、安倍政権が掲げる経済再生の実現に向けた緊急経済対策を閣議決定した。国の支出だけで10.3兆円、地方自治体の負担や民間分を合わせた事業規模は20.2兆円の大型対策となり、国の支出でリーマン・ショック後の09年4月に麻生政権がまとめた経済対策(約15兆円)に迫る規模となった。政府は、日銀の金融緩和と併せデフレ脱却の起爆剤にしたい考えで、実質国内総生産(GDP)を約2%押し上げ、60万人の雇用創出につながると見込んでいる。
安倍晋三首相は自ら記者して対策を発表し「萎縮し続ける経済と決別し、新しい需要が次々と生み出されて 雇用と所得が拡大していく強い経済を目指す」と、政権の成長重視を鮮明にした。
対策は(1)復興・防災対策(3.8兆円)(2)成長による富の創出(3.1兆円)(3)暮らしの安心・地域活性化(3.1兆円)−−が柱。(3)の地域活性化には公共事業の地方負担を国が肩代わりする交付金(1.4兆円)を盛り込む。また、緊急経済対策としては異例の税制制度改革にも踏み込み、従業員の賃金を上げた場合に法人税を引き下げるなどの減税も実施する。「国土強靱(きょうじ ん)化」を掲げた政権公約に沿い、各分野にまたがる公共事業の総額は地方の肩代わり分を含め4.7兆円に膨らみ、国の支出の半分を占める。
金融政策についても「明確な物価目標の下で、日銀が積極的な金融緩和を行っていくことを強く期待する」 と明記した。政府の経済対策が具体的な金融政策に言及するのも異例だ。日銀に物価目標導入を念押しし、デフレ脱却に向けた連携強化を打ち出した形だ。
具体的な事業には、道路や橋などインフラの総点検・老朽化対策や、東日本大震災の被災地への震災復興特 別交付税の増額、福島県内への放射性物質の分析・研究施設の整備費用などを計上し、復興・防災を推進する。
また、政府系金融機関に基金を設け、企業の新事業創出や海外展開を支援する。政府の出資により民間資金や設備投資の呼び水にする。在宅医療の充実や海上 保安体制の強化、いじめ対策にも予算を配分する。
15日に決定する12年度補正予算案では、対策の財源を手当てするため5.2兆円の国債増発を盛り込む見通しで、当初予算分も含めた12年度の新規国債発行額は、税収・税外収入の合計を上回り、50兆円規模に達する。前政権が財政健全化のために設けた44兆円枠を大きく超え、先進国最悪の財政状況はさらに悪化する。【清水憲司】
◇解説 家計から公共事業重視へ
政権の最優先課題である経済再生に向け、20兆円規模の緊急経済対策が11日、決定した。公共事業に当初予算並みの4.7兆円を配分、企業投資へ多額の補助金も盛り込むなど、家計への財源配分を重視した民主党政権時代からの路線転換は鮮明だ。財政支出に見合った効果を引き出し、経済成長と財政健全化の二兎(にと)を追えるか、政権の真価が問われる。 安倍晋三首相は会見で、公共事業に多額の財源を振り向けることに「安易な公共事業のばらまきではない。 国民生活を守る事業や早期に執行が可能な事業に絞った」と説明した。しかし、事業規模は最近の年間予算額に匹敵するだけに、人材や資材調達が追いつかず、 一部事業は14年度まで執行がずれ込む可能性もある。経済効果に即効性があるのかは不透明だ。
安倍政権は経済政策の「三本の矢」として▽大胆な金融緩和▽機動的な財政政策▽民間投資を喚起する成長 戦略−−を一体的に実行すると説明する。経済対策には民間投資を引き出すための官民ファンド創設や研究開発の実用化支援など、企業の成長力強化を狙った施策も盛り込まれたが、経済界が期待するのは今後策定される成長戦略の確実な実行だ。既得権益を持つ団体や省庁の抵抗を排した規制改革にどこまで踏み込めるのか。それが自民党がかつての体質から変わったのかを示す試金石になる。
今回の対策で12年度の新規国債発行額は50兆円規模まで膨張する。年度途中の国債増発も3年ぶりだ。 政府は大規模な財政出動で経済を底上げし、税収を増やして財政も立て直す戦略を描くが、思惑通りに税収が伸びなければ、借金だけが膨らむ事態になりかねな い。【工藤昭久】 ≫(毎日新聞)
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