【AFP=時事】編集会議での殺りく、路上で「処刑」された警官、そして懸命の犯人追跡──フランスでここ少なくとも40年で最悪の襲撃事件となった風刺週刊紙シャルリー・エブド(Charlie Hebdo)本社銃撃事件を、時系列で追う。
1月7日午前11時20分(日本時間午後8時20分)、黒い戦闘服を着てカラシニコフ銃で武装した覆面の男2人が、シャルリー・エブド社の資料室が入っているパリ(Paris)・ニコラアペール(Nicolas-Appert)通り6番地の建物に侵入。「ここはシャルリー・エブドか?」と叫んだ後、住所が間違っていたことに気付く。
2人はすぐに10番地に移動。受付のスタッフに発砲後、ジャーナリストや漫画家が編集会議を開いていた3階に向かう。警察筋によれば、「男2人は銃を乱射し、会議室にいた人たちを冷酷に殺害した。(漫画家の)シャルブ(Charb)氏の護衛に当たっていた警官も、応戦する間もなく殺害された」。生存者は、テーブルの下に隠れた1人だけだった。現場に居合わせた人々は、男2人が「預言者のかたきを打った」「アッラー・アクバル」(アラビア語で神は偉大なりの意)と叫ぶのを聞いた。
午前11時半(日本時間午後8時半)、シャルリー・エブド本社の銃撃について通報を受けた警察が、現場に急行。武装した男らは再び「アッラー・アクバル」と叫び逃走した後、警察と対峙(たいじ)し、銃撃戦となる。黒のシトロエン(Citroen)C3に乗り込んだ男2人は、別の警察車両と撃ち合いになり、10発ほど発砲。車内にいた警官らにけがはなかった。
一般人が撮影した動画には、男らがぞっとするような冷静さで殺人に及ぶ様子が写されている。体の前に銃を構えて大股で歩きながら、標的を探して通りを見回すと、負傷して舗道に横たわる警官を見つけ、手を上げて身を守ろうとする警官を、頭部に銃弾を撃ち込む「処刑スタイル」でひるむことなく殺害した。男は引き金を引く前に「俺を殺そうとしたな」と叫んでいた。
男2人はその後、再び周りを見回すと、駐車していた逃走用の車にゆっくりと向かった。助手席側の男は、地面に落ちた銃とみられるものを拾ってから急いで車に乗り込んだ。同社の近くに居合わせた人たちが冷静さと勇気をもって撮影した動画や写真には、男2人が通りを歩いてくるのに気づいた様子で駐車中の車の間にしゃがみこんで身を隠す歩行者の姿も捉えられていた。
男らは、整然と襲撃を実行した時のと同じ冷静さを保ったまま、車で走り去った。車はその後まもなく、1台のフォルクスワーゲンと激しく衝突。衝突された車の運転手が負傷した。男らはそのまま逃走を続けたが、車の損傷が激しかったためポルト・ドパンタン(Porte de Pantin)で乗り捨てると、別の車を奪ってパリ北方へと逃走した。
当局は、冷酷で計算された犯行の手口から、男らが高度な訓練を受けていたことが示唆されると指摘している。
【翻訳編集】AFPBB News
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