「逝きし世の面影」に引用された記事の一部を孫引き引用する。
現在のアメリカ南部のメキシコ国境地帯や南米北部の数カ国の状況がよく分かる。
(以下引用)
(町山智浩)これがすごくややこしくて、MS-13とホンジュラスとグアテマラ、エルサルバドルのギャング状況というものはアメリカが作り出したものなんですよ。
(赤江珠緒)アメリカが?
(町山智浩)アメリカが犯人なんですよ。実際は。歴史的にはすごく長い話になるんですけども。まず、そこの地域の国々は「バナナ共和国」と呼ばれているんですよ。バナナ共和国っていうのはバナナやコーヒー、サトウキビなどの商品作物……そういう直接自分たちの食料にはできないで、海外に輸出するしかないような作物を作らせる農園がその土地のほとんどを占めるという状態になっていて。で、その農園の経営者は政府と結託している外国籍企業なんですよ。具体的にはアメリカです。ユナイテッド・フルーツとか、世界的なコングロマリットがそこに農園を作って、地元の人たちを働かせて。で、その収益を全部アメリカに吸い上げるっていうシステムを作っていて。それを擁護する軍事独裁政権の国をバナナ共和国と言うんですね。
(赤江珠緒)うんうん。
(町山智浩)で、それはもう1900年代のはじめからずっと続いている状態で。地元の人たちは徹底的に奴隷化されて搾取されて。しかも、商品作物のために自分たちが食べる作物を作ることができないので、国内の農業も崩壊して。しかも、利益を全部搾取されてしまうので、国内経済は育たないという状態になってきて。ただ、それを政府は軍事政権だから、利益を受けているから許し続けるという完全なアメリカの奴隷国家になっていたんですよ。
(赤江珠緒)はー!
(町山智浩)それがずっと続いたので、1950年代からそれに対して対抗する人たちが共産勢力の支援を受けてゲリラ戦を始めるんですよ。時には民主的な選挙とかそういった形で反アメリカの、バナナ共和国から脱出するための政権を握ろうとするんですけども、それに対してアメリカ政府はずーっと右翼政権の方に軍事援助をして、その三国を内戦に引きずり込みます。その内戦状態は激しい戦闘は10年以上とか、まあ一世代、二世代にわたるものすごい内戦状態で。まったく国内経済も育たないし、生活もできないような地獄の状態になります。
(赤江珠緒)うん。
(町山智浩)それは映画『サルバドル/遥かなる日々』の中でも描かれていますが、すさまじい暗殺とか、そういうのが行われる状況になるんですね。で、そこでエルサルバドルがひどい内戦状態になったため、そこの人たちが正式な難民として1980年代にアメリカに入りました。かなりの人数が。だから、始まりは不法移民じゃありませんでした。
(赤江珠緒)ふーん!
(町山智浩)で、ロサンゼルスを中心にそのサルバドル難民の人たちが住んだんですけども、その子供たち……一緒に連れてこられた子供たちはいきなりアメリカに住んで生活ができないため、ギャング集団に入っていくんです。で、彼らはその当時、すでにあったロサンゼルスのメキシコ系のギャングと黒人のギャングの対立の中に、メキシコ系の傭兵として吸い込まれていくんですよ。サルバドル系の人たちは。で、お父さんお母さんは一生懸命働いていて言葉もできなくて、子供がどうなっているのか全然わからない状態で。知らないうちに子供たちはメキシコ系ギャングの戦闘部隊になっていくんですよ。それがMS-13というグループで。
(赤江珠緒)ええ。
ギャング集団MS-13
(町山智浩)「M」っていうのは「Mara(集団)」。「S」は「Salvatrucha(サルバドル)」なんですよね。ところが「13」っていうのはアルファベットの13番目の文字が「M」なんでこれは「Mexico(メキシコ)」っていう意味なんですよ。だからこのMS-13っていうのは不思議なことにひとつのグループ名の中に「メキシコのために働くサルバドル人」みたいな意味があるという、非常にロサンゼルスでしか形成されない不思議なギャング団なんですね。
(赤江珠緒)ふーん!
(町山智浩)で、これがどんどん巨大化していくんですよ。先頭集団として。日本でも山口組がすごく全国制覇をする時、その先鋭部隊、暗殺部隊として活躍したのは在日朝鮮人の部隊だったんですね。つまり、居場所がないから殺し屋として先鋭化していくんですけども。そういう形になっていったんですよ、サルバドル系の人たちは。で、それが激しくなっていったんですけども、クリントン政権になった時、1990年代にエルサルバドルでなんとか内戦が終結するんですよ。で、クリントン政権がMS-13のメンバーをほとんど全員、強制送還します。サルバドルに。
(赤江珠緒)ああ、戻すんだ!
(町山智浩)1994年に。ところが彼らはすでに子供ではないんですよ。つまり、もうハタチをすぎて30近い、完全に武装化して組織としてきっちりとしたギャング集団になっている組織暴力団をそのまま丸ごとサルバドルに送っちゃったんですよ。
(赤江珠緒)それはまたすごくその場しのぎの政策ですね。
(町山智浩)まあ、でもアメリカにいられては困るっていうことなんですよね。で、ザーッと送ったんですよ。犯罪者だけ。ちゃんとしたサルバドルの人で難民として生活している人たちは送り返さないので。全員じゃないですよ。犯罪者として捕まったりした人たちだけ送り返したんですよ。強制送還で。それがサルバドルに帰ったら、まだ内戦から立ち直っていない状態で彼らが一気に勢力を広げて、サルバドル全土を制覇してホンジュラスに入っていったんですよ。
(赤江珠緒)ほー!
(町山智浩)ホンジュラス、グアテマラに入っていったんですよ。で、多国籍の巨大な犯罪組織になって。特にホンジュラスでは彼ら、ものすごく暴走して。で、内部をギャングと政府軍の間の内戦状態にしていったんですよ。
(赤江珠緒)なんという悪循環な……。
(町山智浩)ものすごい悪循環ですよ。ただ、トランプ大統領は一切その、原点にアメリカの長い間の何十年にも渡る中米政策の失敗というか、まあはっきり言って中米を搾取した結果ということに関して、まったく言及をしていないんですよ。
(赤江珠緒)うん……。
現在のアメリカ南部のメキシコ国境地帯や南米北部の数カ国の状況がよく分かる。
(以下引用)
(町山智浩)これがすごくややこしくて、MS-13とホンジュラスとグアテマラ、エルサルバドルのギャング状況というものはアメリカが作り出したものなんですよ。
(赤江珠緒)アメリカが?
(町山智浩)アメリカが犯人なんですよ。実際は。歴史的にはすごく長い話になるんですけども。まず、そこの地域の国々は「バナナ共和国」と呼ばれているんですよ。バナナ共和国っていうのはバナナやコーヒー、サトウキビなどの商品作物……そういう直接自分たちの食料にはできないで、海外に輸出するしかないような作物を作らせる農園がその土地のほとんどを占めるという状態になっていて。で、その農園の経営者は政府と結託している外国籍企業なんですよ。具体的にはアメリカです。ユナイテッド・フルーツとか、世界的なコングロマリットがそこに農園を作って、地元の人たちを働かせて。で、その収益を全部アメリカに吸い上げるっていうシステムを作っていて。それを擁護する軍事独裁政権の国をバナナ共和国と言うんですね。
(赤江珠緒)うんうん。
(町山智浩)で、それはもう1900年代のはじめからずっと続いている状態で。地元の人たちは徹底的に奴隷化されて搾取されて。しかも、商品作物のために自分たちが食べる作物を作ることができないので、国内の農業も崩壊して。しかも、利益を全部搾取されてしまうので、国内経済は育たないという状態になってきて。ただ、それを政府は軍事政権だから、利益を受けているから許し続けるという完全なアメリカの奴隷国家になっていたんですよ。
(赤江珠緒)はー!
(町山智浩)それがずっと続いたので、1950年代からそれに対して対抗する人たちが共産勢力の支援を受けてゲリラ戦を始めるんですよ。時には民主的な選挙とかそういった形で反アメリカの、バナナ共和国から脱出するための政権を握ろうとするんですけども、それに対してアメリカ政府はずーっと右翼政権の方に軍事援助をして、その三国を内戦に引きずり込みます。その内戦状態は激しい戦闘は10年以上とか、まあ一世代、二世代にわたるものすごい内戦状態で。まったく国内経済も育たないし、生活もできないような地獄の状態になります。
(赤江珠緒)うん。
(町山智浩)それは映画『サルバドル/遥かなる日々』の中でも描かれていますが、すさまじい暗殺とか、そういうのが行われる状況になるんですね。で、そこでエルサルバドルがひどい内戦状態になったため、そこの人たちが正式な難民として1980年代にアメリカに入りました。かなりの人数が。だから、始まりは不法移民じゃありませんでした。
(赤江珠緒)ふーん!
(町山智浩)で、ロサンゼルスを中心にそのサルバドル難民の人たちが住んだんですけども、その子供たち……一緒に連れてこられた子供たちはいきなりアメリカに住んで生活ができないため、ギャング集団に入っていくんです。で、彼らはその当時、すでにあったロサンゼルスのメキシコ系のギャングと黒人のギャングの対立の中に、メキシコ系の傭兵として吸い込まれていくんですよ。サルバドル系の人たちは。で、お父さんお母さんは一生懸命働いていて言葉もできなくて、子供がどうなっているのか全然わからない状態で。知らないうちに子供たちはメキシコ系ギャングの戦闘部隊になっていくんですよ。それがMS-13というグループで。
(赤江珠緒)ええ。
ギャング集団MS-13
(町山智浩)「M」っていうのは「Mara(集団)」。「S」は「Salvatrucha(サルバドル)」なんですよね。ところが「13」っていうのはアルファベットの13番目の文字が「M」なんでこれは「Mexico(メキシコ)」っていう意味なんですよ。だからこのMS-13っていうのは不思議なことにひとつのグループ名の中に「メキシコのために働くサルバドル人」みたいな意味があるという、非常にロサンゼルスでしか形成されない不思議なギャング団なんですね。
(赤江珠緒)ふーん!
(町山智浩)で、これがどんどん巨大化していくんですよ。先頭集団として。日本でも山口組がすごく全国制覇をする時、その先鋭部隊、暗殺部隊として活躍したのは在日朝鮮人の部隊だったんですね。つまり、居場所がないから殺し屋として先鋭化していくんですけども。そういう形になっていったんですよ、サルバドル系の人たちは。で、それが激しくなっていったんですけども、クリントン政権になった時、1990年代にエルサルバドルでなんとか内戦が終結するんですよ。で、クリントン政権がMS-13のメンバーをほとんど全員、強制送還します。サルバドルに。
(赤江珠緒)ああ、戻すんだ!
(町山智浩)1994年に。ところが彼らはすでに子供ではないんですよ。つまり、もうハタチをすぎて30近い、完全に武装化して組織としてきっちりとしたギャング集団になっている組織暴力団をそのまま丸ごとサルバドルに送っちゃったんですよ。
(赤江珠緒)それはまたすごくその場しのぎの政策ですね。
(町山智浩)まあ、でもアメリカにいられては困るっていうことなんですよね。で、ザーッと送ったんですよ。犯罪者だけ。ちゃんとしたサルバドルの人で難民として生活している人たちは送り返さないので。全員じゃないですよ。犯罪者として捕まったりした人たちだけ送り返したんですよ。強制送還で。それがサルバドルに帰ったら、まだ内戦から立ち直っていない状態で彼らが一気に勢力を広げて、サルバドル全土を制覇してホンジュラスに入っていったんですよ。
(赤江珠緒)ほー!
(町山智浩)ホンジュラス、グアテマラに入っていったんですよ。で、多国籍の巨大な犯罪組織になって。特にホンジュラスでは彼ら、ものすごく暴走して。で、内部をギャングと政府軍の間の内戦状態にしていったんですよ。
(赤江珠緒)なんという悪循環な……。
(町山智浩)ものすごい悪循環ですよ。ただ、トランプ大統領は一切その、原点にアメリカの長い間の何十年にも渡る中米政策の失敗というか、まあはっきり言って中米を搾取した結果ということに関して、まったく言及をしていないんですよ。
(赤江珠緒)うん……。
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