街の弁護士日記さんのサイトより
http://moriyama-law.cocolog-nifty.com/machiben/2015/10/post-ed2e.html
<転載開始>

マイナンバー 通知カードを受け取ると義務が発生します



『マイナンバー』は政府筋が実体とは不似合いな命名をしたもので、不適切である。
以下、法律通り、特定個人識別番号、ないし個人番号と呼ぶ。


 




特定個人識別番号法のうたい文句は、行政の効率化、負担と給付の公正、そして国民の負担軽減及び利便性の向上である(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律第1条)。




 


個人番号法では、国民一般には何の義務づけもしていない。
負担軽減を謳う法律が、国民に負担を押しつけるのでは筋違いであるから当然である。




 


したがって、個人番号通知カードを受け取る義務がないことはむろんである。




 


したがって、不在中に届いていれば、取りに行かなくてもよいし、受取拒絶もできる。


受け取らないという選択が賢明かであるが、将来どうしても個人番号が必要になったときには、個人番号の記載のある住民票を取り寄せればよいだけのことであることは、取手市役所が周知してくれた。
受け取らないことによる不利益は何もない。




 



一方で、個人番号通知カードを受け取ってしまうと、次のような義務が発生する。




 


紛失したときは、直ちに役場に届け出をしなければならない。(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律7条6項)

移転転入手続には、個人番号通知カードを提示しなければならない。(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律7条4項)

通知カードに記載された事項に変更がある場合は、14日以内に役場に届け出なければならない。(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律
7条5項)




 


テレビを見ていると、自分の番号の管理は自己責任であるかのような解説もある。
勝手に番号を割り振っておいて、国民に管理責任を負わせるかのような話は、そもそも国民の負担軽減を趣旨とする「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」の精神に反している。




 


前記した規定の違反には、制裁規定こそないが、通知カードを受け取ると、義務が生じる構造になっているのであるから受け取らないに越したことはない。

行政は勝手に個人番号を付して、勝手に個人番号を活用するというのであるから、行政が自分で個人番号を確認すればよいだけの話であって、国民がわざわざ行政のお手伝いをしなければならない筋はない。




 


通知カードを受け取らない人が多いと、行政事務が増えるかもしれないが、特定個人識別番号導入で、確実に行政の事務は増える。
行政の事務が増えることを行政が自分からしようとしているのであるから、国民がこれに協力しなければならない筋合いはないのである。



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追記
個人番号制で、IT関連に限らず、随所に巨大な利権が生まれる。
経済動機こそ第二次安倍政権の個人番号制導入の理由だと思っている。
取手市にしろ、厚労省職員の汚職にしろ、企業の実名が出ないのは、不思議である。

マイナンバー汚職 1兆円市場、群がるIT業者 警視庁、続発警戒「癒着断つ」

産経新聞 10月14日(水)7時55分配信


来年1月の運用開始に向けて準備が進むマイナンバー制度をめぐる汚職事件が13日、明らかになった。制度では情報処理システムの大規模な改修や新設が必要で、発注総額は「1兆円規模」とされる。激しい受注合戦が繰り広げられる中、生まれた官業の癒着。新たな“巨大市場”に警視庁の捜査のメスが入った。

 「IT業界にとってのマイナンバーは、建設業界にとっての東京五輪と同じ。巨大な需要をめぐり業界は沸いている」

 政府関係者はそう指摘する。政府は制度導入に絡み、平成29年度までに3千億円弱を情報処理システム関連に投入する見込みだ。民間側のシステム更新も含めると、市場規模は1兆円以上ともいわれる。

 国税庁や総務省などの省庁で、税金などの処理システムがマイナンバーに対応。厚労省では、年金▽ハローワーク▽労災▽医療保険-の4分野がマイナンバーに関与する予定だ。収賄容疑で逮捕された厚労省情報政策担当参事官室室長補佐、中安一幸容疑者(45)は省内で制度への対応を主導していた。

 ただ、特需は業界全体を潤すわけではなく、事業受注は過去のシステムを運用してきた既存の大手業者が有利とされる。「中小企業が中央省庁の大規模案件に参入するのは難しい」と政府関係者は話す。

 ◆官公庁が業績左右

 “中小受難”ともいえる逆風に贈賄側のIT関連会社は挑んで、事業を獲得していた。

 信用調査会社などによると、IT関連会社は資本金3千万円、従業員15人の中小企業だが、医療関係のシステム開発を中心に最盛期の22年9月期には計8億9800万円の事業を受注した。仕事の中心は官公庁。23年は立件対象となった11月の2件の応札だけで売り上げの3割を占めた。27年9月期には2億4100万円を受注したが、発注元は全て官公庁。「官との関係が会社の業績を左右していた」(捜査関係者)

 事件の舞台となった企画競争入札では、業者の出した企画書を発注元が審査して委託先を決める。コストだけでなく、政府の意図に響く提案が求められる。捜査関係者は「政府の意図を知っていれば大手でなくても受注できる。そこに中安容疑者と業者の間に癒着が生まれる素地があった」と指摘する。

 ◆贈賄側の時効成立

 今回の事件は、現金のやり取りから既に4年が経過しており、IT関連会社側は贈賄罪の公訴時効(3年)が成立している。

 供述が重要な証拠となる贈収賄事件では、贈賄側が時効となるケースは立件は困難とされてきた。贈賄側は立件の心配がなく、供述が得やすい半面、供述の信用性は薄れるためだ。

 それでも警視庁が収賄側立件にこだわったのは、今後も多額の発注が見込まれるマイナンバー制度が利権と化し、不正が続発することを牽制(けんせい)するためだ。

 マイナンバー制度は民主党政権が「税と社会保障の一体改革」を掲げたことで正式に始動し、来年1月の導入に向けた準備が進んでいる。捜査関係者は「一罰百戒というわけではないが、新たな制度が新たな不正の温床になることはあってはならない」と話している。

<転載終了>