「マスコミに載らない海外記事」から転載。
北アフリカの政治問題を大きく俯瞰する良い論評だと思う。
第一段落末尾の「フランス軍による行動は、立場を逆転し、客観的に、アフリカにおける、フランスの影響力を強化し、同時にフランスの国際的地位を高めた。」という部分を読むと、「?」という気持ちになるが、その後の部分を全部読むと、これは皮肉なのだろうな、と思われる。我々一般人のブログなら、念のために(笑)とか(w)と書くところだが、真面目な評論ではそういう小細工ができないから、不便なことである。(笑)
内容については「なるほど」と言う以上の知識がこちらに無いので、特に論評の論評、あるいは解説はしないが、
「フランスは、対テロという旗印の下で、マリに関与しているが、マリの反政府勢力がテロリストだと言うのは全く正しいわけではない。マリ問題の性格は、異なる政治集団間の内戦に、より近い。
世界の他の地域と比較すると、アフリカというのは特別な大陸であり、大多数の国家が、第二次世界大戦後に独立し、各国の国境の大半が、旧宗主国によって引かれている。
それゆえ、アフリカ人には、国民意識という感覚や、主権という概念が極めて薄く、民族的、および、宗教的な自覚という感覚の方が、遥かに強い。これが、欧米や他の外部勢力が、アフリカ諸国の内政に介入する機会を生み出している。」
という指摘は、マリ問題の性格を正しく表しているように思う。つまり、「テロ」ではなく、「異なる政治集団間の内戦」である、ということだ。
この部分(つまり、マリ問題の本質)を読み違えると、またしても新たな「テロとの戦い」が創出され、またしても欧米政府による「正当化された大量殺人」が行われることになり、そして世界世論(マスコミ世論)もそれに同調していくことになるだろう。いや、すでにそうなっているのだが。
(以下引用)
2013年1月25日 (金)
マリ: フランスの新たなアフガニスタン
新たな軍事干渉主義。フランスのオランド大統領、危険な前例の先鞭をつける
賀文萍
2013年1月23日
Global Times
1年以上、危機にあえいでいた、余り知られていない西アフリカの国マリの反政府勢力に対し、1月11日に軍事攻撃を始めて以来、フランスは突如マスコミの脚光を浴びるようになり、世界中で見出し記事となっている。現地の進展状況を見ると、世間の注目を引いているフランス軍による行動は、立場を逆転し、客観的に、アフリカにおける、フランスの影響力を強化し、同時にフランスの国際的地位を高めた。
マリは、中華人民共和国と外交関係を樹立した初めてのサハラ以南の国家の一つで、中国-マリ関係は良好だった。これに加え、中国は、投資プロジェクトを通し、マリに一定の権益を有している。
ここで警戒を要する一つの理由がある。マリにおけるフランス軍の関与が、アフリカにおける新たな介入主義を正当化する事例となる可能性だ。
フランスは、対テロという旗印の下で、マリに関与しているが、マリの反政府勢力がテロリストだと言うのは全く正しいわけではない。マリ問題の性格は、異なる政治集団間の内戦に、より近い。
世界の他の地域と比較すると、アフリカというのは特別な大陸であり、大多数の国家が、第二次世界大戦後に独立し、各国の国境の大半が、旧宗主国によって引かれている。
それゆえ、アフリカ人には、国民意識という感覚や、主権という概念が極めて薄く、民族的、および、宗教的な自覚という感覚の方が、遥かに強い。これが、欧米や他の外部勢力が、アフリカ諸国の内政に介入する機会を生み出している。
アフリカは、フランスが最大の影響力を持ち、最長期間、作戦活動をしてきた地域だ。元大統領シャルル・ドゴールと、それに続く各政権は全て、アフリカを、フランスの指導力を支持し、フランス語圏アフリカ諸国におけるフランスの既得権益をを維持する“前進基地”であり、アフリカ政策の核心と見なし、アフリカがなければ、フランスは二等国家になってしまうと強調してきた。
しかも、フランスのマリにおける直接的な経済権益も過小評価することはできない。それこそが“アフリカにはほとんど関心がない”と言われていたフランソワ・オランド大統領が、控えめなイメージを翻して、この大陸に積極的に介入する決断をした理由だ。
もちろんフランスのマリへの関与は依然として危険な事業だ。この行動の欠点の一つは“アフリカの憲兵”としての記憶、フランス植民地支配の立場をよみがえらせることだ。
フランスは、その動きを現地政府の依頼によるものと説明しているが、同様に反政府勢力による攻勢に直面している、中央アフリカ共和国大統領からの依頼は、フランス自身の関心のせいで、支援を受け損ねた。フランスは、アフリカの憲兵として、アフリカ問題ではダブル・スタンダードで行動しているという責めを負うことになる。またマリへの派兵は、低迷するフランス経済に対する更なる負担になる。
結果的に、国際世論は、フランスは、アフガニスタンにおけるアメリカの失敗を繰り返すのかも知れないと思い始めている。フランスが、マリで長期的な安定性を作り出せるかどうかは確実から程遠い。
著者は中国社会科学院西アジア・アフリカ研究所アフリカ研究室主任。Stop NATOのRick Rozoffが編集。
アーカイブと検索エンジンのあるStop NATO e-mail リスト・ホーム・ページ:
http://groups.yahoo.com/group/stopnato/messages Stop NATOウェブサイトと記事:
http://rickrozoff.wordpress.com
記事原文のurl:www.globalresearch.ca/mali-frances-new-afghanistan/5320175
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北アフリカの政治問題を大きく俯瞰する良い論評だと思う。
第一段落末尾の「フランス軍による行動は、立場を逆転し、客観的に、アフリカにおける、フランスの影響力を強化し、同時にフランスの国際的地位を高めた。」という部分を読むと、「?」という気持ちになるが、その後の部分を全部読むと、これは皮肉なのだろうな、と思われる。我々一般人のブログなら、念のために(笑)とか(w)と書くところだが、真面目な評論ではそういう小細工ができないから、不便なことである。(笑)
内容については「なるほど」と言う以上の知識がこちらに無いので、特に論評の論評、あるいは解説はしないが、
「フランスは、対テロという旗印の下で、マリに関与しているが、マリの反政府勢力がテロリストだと言うのは全く正しいわけではない。マリ問題の性格は、異なる政治集団間の内戦に、より近い。
世界の他の地域と比較すると、アフリカというのは特別な大陸であり、大多数の国家が、第二次世界大戦後に独立し、各国の国境の大半が、旧宗主国によって引かれている。
それゆえ、アフリカ人には、国民意識という感覚や、主権という概念が極めて薄く、民族的、および、宗教的な自覚という感覚の方が、遥かに強い。これが、欧米や他の外部勢力が、アフリカ諸国の内政に介入する機会を生み出している。」
という指摘は、マリ問題の性格を正しく表しているように思う。つまり、「テロ」ではなく、「異なる政治集団間の内戦」である、ということだ。
この部分(つまり、マリ問題の本質)を読み違えると、またしても新たな「テロとの戦い」が創出され、またしても欧米政府による「正当化された大量殺人」が行われることになり、そして世界世論(マスコミ世論)もそれに同調していくことになるだろう。いや、すでにそうなっているのだが。
(以下引用)
2013年1月25日 (金)
マリ: フランスの新たなアフガニスタン
新たな軍事干渉主義。フランスのオランド大統領、危険な前例の先鞭をつける
賀文萍
2013年1月23日
Global Times
1年以上、危機にあえいでいた、余り知られていない西アフリカの国マリの反政府勢力に対し、1月11日に軍事攻撃を始めて以来、フランスは突如マスコミの脚光を浴びるようになり、世界中で見出し記事となっている。現地の進展状況を見ると、世間の注目を引いているフランス軍による行動は、立場を逆転し、客観的に、アフリカにおける、フランスの影響力を強化し、同時にフランスの国際的地位を高めた。
マリは、中華人民共和国と外交関係を樹立した初めてのサハラ以南の国家の一つで、中国-マリ関係は良好だった。これに加え、中国は、投資プロジェクトを通し、マリに一定の権益を有している。
ここで警戒を要する一つの理由がある。マリにおけるフランス軍の関与が、アフリカにおける新たな介入主義を正当化する事例となる可能性だ。
フランスは、対テロという旗印の下で、マリに関与しているが、マリの反政府勢力がテロリストだと言うのは全く正しいわけではない。マリ問題の性格は、異なる政治集団間の内戦に、より近い。
世界の他の地域と比較すると、アフリカというのは特別な大陸であり、大多数の国家が、第二次世界大戦後に独立し、各国の国境の大半が、旧宗主国によって引かれている。
それゆえ、アフリカ人には、国民意識という感覚や、主権という概念が極めて薄く、民族的、および、宗教的な自覚という感覚の方が、遥かに強い。これが、欧米や他の外部勢力が、アフリカ諸国の内政に介入する機会を生み出している。
アフリカは、フランスが最大の影響力を持ち、最長期間、作戦活動をしてきた地域だ。元大統領シャルル・ドゴールと、それに続く各政権は全て、アフリカを、フランスの指導力を支持し、フランス語圏アフリカ諸国におけるフランスの既得権益をを維持する“前進基地”であり、アフリカ政策の核心と見なし、アフリカがなければ、フランスは二等国家になってしまうと強調してきた。
しかも、フランスのマリにおける直接的な経済権益も過小評価することはできない。それこそが“アフリカにはほとんど関心がない”と言われていたフランソワ・オランド大統領が、控えめなイメージを翻して、この大陸に積極的に介入する決断をした理由だ。
もちろんフランスのマリへの関与は依然として危険な事業だ。この行動の欠点の一つは“アフリカの憲兵”としての記憶、フランス植民地支配の立場をよみがえらせることだ。
フランスは、その動きを現地政府の依頼によるものと説明しているが、同様に反政府勢力による攻勢に直面している、中央アフリカ共和国大統領からの依頼は、フランス自身の関心のせいで、支援を受け損ねた。フランスは、アフリカの憲兵として、アフリカ問題ではダブル・スタンダードで行動しているという責めを負うことになる。またマリへの派兵は、低迷するフランス経済に対する更なる負担になる。
結果的に、国際世論は、フランスは、アフガニスタンにおけるアメリカの失敗を繰り返すのかも知れないと思い始めている。フランスが、マリで長期的な安定性を作り出せるかどうかは確実から程遠い。
著者は中国社会科学院西アジア・アフリカ研究所アフリカ研究室主任。Stop NATOのRick Rozoffが編集。
アーカイブと検索エンジンのあるStop NATO e-mail リスト・ホーム・ページ:
http://groups.yahoo.com/group/stopnato/messages Stop NATOウェブサイトと記事:
http://rickrozoff.wordpress.com
記事原文のurl:www.globalresearch.ca/mali-frances-new-afghanistan/5320175
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