In Deepさんのサイトより
https://indeep.jp/%e3%82%bd%e3%83%bc%e3%82%b7%e3%83%a3%e3%83%ab%e3%83%a1%e3%83
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<転載開始>


大短縮時代

米ブラウンストーン研究所の創設者のジェフリー・A・タッカーさんが、「大短縮 (The Great Shortening)」というタイトルの記事をエポックタイムズに寄稿していました。


Uber の運転手からふいに聞いた、


「最近は誰も何かに長く集中できないのですよ。それが、社会を完全に破滅させています」


という言葉から始まる記事でした。


ソーシャルメディアなどの浸透によって、社会が「より短く、より効率よく」という方向性に非常に早い速度で向かっていることについての考察で、単なる非難とかそういうものではないですが、なかなか印象深い記事でした。


最終的には「長い本を呼んでほしい」という流れになっていきます。


この「大短縮」というの言葉は、変な日本語なんですけれど、英語の「グレート」がつく最近のさまざまな言葉は、どれも、やや変な日本語にならざるを得ません。


グレートリセットは、そのままの日本語で使われていますが、元ヘッジファンドマネージャーのデビッド・ウェッブ氏という方の著作に「グレートテイキング (The Great Taking)」というものがあり、これは、「大奪取」と訳していますが、まあ、変な日本語ですよね。



以下の記事のタイトルに出てきます。


DOGEによる「悪と詐欺の曝露」という正しい行いが結果的にアメリカの「破産」に結びつくメカニズム。それが世紀の「大奪取」につながる可能性
 In Deep 2025年2月24日


ちなみに、ご紹介するジェフリー・A・タッカーさんの主張の中に出てはこないですが、現在のスマートフォン依存気味の人たちが多い状態で、私自身が最も心配なのは、本を読まなくなったとか、そういうことではなく、


「考える時間がなくなっている」


ことです。


画面に向かって、何かを見たり反応している状態は、「反応状態」であり、何かを考えている時間とは異なります。


そして、古来より、


「何もせずにボーッと考える時間が、新しい文化や価値観の出現にとても大切だった」


ということがあります。


むかしに遡れば遡るほど、「ボーッとした時間」を持つ人たちはとても多かったと思われます。


私自身は、スマートフォンを持ちませんし、ソーシャルメディアとも関わりませんが、それでも、一日、2、3時間はパソコンを見ていますし(それプラス書く時間)。


しかし、実際には、パソコンの前にいる時よりも、はるかに長い時間をかけているのが、


「ベランダにボーッと突っ立っている時間」


です。


下手すると、1日の合計で 4、5時間いるときもあります。


以前は、散歩なんてのもしていたんですが、コロナ以来、マスクばかりの街中を歩くことに興味がなくなりました。


とにかく、ボーッとしているときにこそ、いろいろな思考がうかびあがってくるのですね。これは、情報そのものなどより、はるかに貴重なことです


若い人たちにこそ、ボーッと考える時間をたくさん持ってほしいなとは思いますが、もう難しいんでしょうね。


思考する時間が足りない状態が生み出すものは、新しいカルチャー(音楽や文学を含む)の出現の著しい衰退と、価値観の多様性の著しい弱体化だと思います。


以前、「この世にあるものが著しく似通ってきている」ことにのついて、「みんな同じなクローン社会に生きる」という記事で書いたことがありましたが、この傾向もソーシャルメディアの広がりの中でさらに拡大しそうです。


美や形への価値観も「ひとつに集中していく」というような。


味気ない社会だとは思いますが、人類がそれぞれ自らの意志で作り出した社会でもあるわけで、仕方ないのかなとも思います。


ここから、ジェフリー・A・タッカーさんの記事です。


記事の後に、少し補足させていただきます。

(中略)

ここまでです。


現在のアメリカ人の読書量の少なさについてふれられている部分がありますが、2024年の調査では以下のようになっています。


2024年の調査より

statista.com


1年間で 1冊も本を読まなかった人が、46%となっています。


しかし、日本はもっとひどくて、2023年度の調査では、以下のようになっています。


> 漫画・雑誌を除く書籍を 1冊も読まないと回答したのは62・6%


以下に毎日新聞の記事があります。


日本の「月に1冊も読書しない」人の割合が6割超であることが調査で判明
 BDW 2024年9月17日


先ほども書きましたけれど、本を読むことが重要かどうかはともかく、「ボーッと考える時間も同じように、さらに減っている」のだと思われます。


それ以前の話として、アメリカでは、「子どもたちの 3分の 2は字が読めない」という調査結果もあります。以下の記事にあります。


現在のアメリカの子どもたちの3分の2は字が読めない」という米国報道
 BDW 2023年12月13日


ボーッと考える時間もなければ、文字も読めない、というのでは、新しい価値観が若者たちから出てくることは難しい気はします。


結局、現在、「文明は衰退局面にある」と言えるのだと感じます。新しい文化や価値観が生まれてこそ、新しい文明ですから、それが出てこないというのは、もはや文明は先には進めない状態となっていると考えます。


それでも、これは人類自身が選択した社会の姿ではありますので、仕方ないのかもしれません。


 


ところで、先ほどのジェフリー・A・タッカーさんの寄稿文に「家電でも衣服でも、使い捨てのようにサイクルが早くなった」とありますが、これは、私の生活では逆には感じます。


最近のパソコンは 30年前などと比べると、飛躍的に壊れにくくなっていて、何台かパソコンを持っていますが、つい最近までメインで使っていたもの(Mac)は、製造年が 2011年のものでした。14年近く稼働してくれていたのですね。さすがに新しい OS をインストールできなくなって、昨年買い換えましたが、それも 2016年製です。とにかく壊れない。


テレビも、確か震災の年に購入したはずですので、2011年製ですが、いまだに壊れる気配もありません。ジャパネットたかたと吉田類の酒場放浪記くらいしか見ませんので、これで十分です。


衣服にしても、私の場合、10年、20年着ている服は、特に上着にはたくさんありまして、中には「 35年間着ている」というようなものもあります。ものによるのでしょうけれど、衣服もまたよくもちますよ。


私は古い生き方しかできない人間ですが、それでも、周囲はどんどん変化していきます。