マスコミに載らない海外記事さんのサイトより
http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2023/07/post-cc81f9.html
<転載開始>

マイク・ホイットニー
2023年月12日
The Unz Review



 上の図を注意深くご覧願いたい。何が見えるだろう?


 地球上どこにも比類のない高速鉄道システム開発が見える。輸送コストを削減し、モビリティを向上させ、収益性を高める現代のインフラで国の全ての地域を接続する計画の実現が見られる。21世紀の構想では、国主導の資本が農村部の人口と都市中心部を結びつけ、生活水準を全面的に引き上げている。800億人を貧困から救い出し、世界経済統合への道を開いた新しい経済モデルの表現が見られる。産業の超巨大なものがあらゆる方向に拡大し、経済統合、開発加速、新世紀の共有の繁栄の基礎を築いているのがわかる。


 今日中国で見られるものに匹敵する高速鉄道システムがアメリカにあるだろうか?



 いや、ない。これまでのところアメリカで建設された高速鉄道は80キロ以下だ。 (「80キロの区間で240km/hに達するアムトラックのアセラ・エクスプレスがアメリカ唯一の高速鉄道だ。」誰もが知っている通りアメリカ輸送網は時代遅れで混乱している。


 でも、どうして。なぜアメリカは重要インフラ開発において中国に大きく後れをとっているのだろう?



 それは中国の国家主導モデルがアメリカの「一旗」モデルより遙かに優れているからだ。中国では、政府は経済の運営に直接関与しており、成長を促進し、発展を促進する産業に助成金を支給している。対照的に、アメリカ資本主義は野蛮な自由で、民間所有者は、雇用を創出したり経済を強化したりするためには何もしない非生産的な自社株買いや他の詐欺に多額の金を転用できる。2009年以来、アメリカ企業は7兆ドル以上を自社株買いに費やしており、これは裕福な株主に支払いを増やす活動だが重要な価値あるものは何も生み出さない。資本が重要インフラに投資されていれば、アメリカの全都市は「太平洋から大西洋へと」伸びる高速鉄道の巨大な蜘蛛の巣につながっていたはずなのだ。しかし欧米モデルは、公益に役立つプロジェクト開発ではなく、個人的豊かさのための資本支出を奨励するため、そういうことは起きない。国富が中国で貧困を根絶し、生活水準を高め、最先端インフラを構築し、新世紀の基礎を築くため使用され、どれほど速く変革的変化が起きるかがわかる。


 これは「中国の経済成長...」に関する議会調査局報告の詳細だ。


 1979年に対外貿易と投資に門戸を開き自由市場改革を実施して以来、中国は世界で最も急速に成長している経済の一つで、2018年までの実質年間国内総生産(GDP)成長率は平均9.5%で、世界銀行は「主要経済国による史上最速の持続的拡大」と表現している。このような成長により、中国は平均して8年ごとにGDPを倍増させ、推計8億人を貧困から救い出せた。中国は世界最大の経済(購買力平価ベースで)、製造国、商品トレーダー、外貨準備保有者になった。中国はアメリカ最大の商品貿易相手国で、最大輸入元で、アメリカ債の最大の外国保有者で、連邦債務の資金調達とアメリカの低金利の維持を支援している。
... 中国の経済成長:歴史、傾向、課題、およびアメリカへの影響 議会調査局


 戦略国際問題研究所(CSIS)の「中国国家資本主義の挑戦に立ち向かう」という題名の記事にも更にある。


 現在、フォーチュン・グローバル500リストで、中国はアメリカより多くの企業が載っている。これらの75%近くが国有企業(SOE)だ。世界5大企業のうち3社は中国企業(中国石油化工集団S、国家電網公司、中国石油天然気集団)だ。中国最大の国有企業は、エネルギーから海運、レアアースまで、最も重要で戦略的な産業の多くで支配的市場地位を占めている。Freeman Chairの計算によると、中国96社の最大国有企業の合計資産は合計63兆ドルを超え、世界のGDPのほぼ80%に相当する。中国の国家資本主義の挑戦に立ち向かう』戦略国際問題研究所CSIS


 IMF報告書「中国の再開に後押しされて世界の経済成長を牽引する態勢を整えるアジア」からもう一つ紹介する。


 中国とインドを合計すると今年の世界経済成長の約半分を生み出すと予測されている。アジア太平洋地域は世界経済の不安定な回復という暗い状況の中、比較的明るい場所だ。


 「今週の図」が示す通り、この地域は今年の世界成長に約70%貢献し、近年より遙かに大きな割合を占めるだろう。」「中国の再開に後押しされて世界の経済成長を牽引する態勢を整えるアジア」IMF



 要するに、中国の国家主導モデルは、産業と商業のほぼ全ての分野でアメリカを急速に追い越しており、その成功は、再投資戦略を政府が将来の構想に自由に合わせられる事実に大きく起因している。これにより中国は今後数年でより強力で、より広範な経済の基礎を築く条件で、様々なプロジェクトの短期収益性を無視できる。中国の改革者陳雲(チェン・ユン)は、この現象を「鳥籠経済」と呼んでいるが、これは経済がより広い政治システムの範囲内で「自由に飛ぶ」ことができることを意味する。言い換えれば、中国指導部は、経済を将来の全体構想を実現する手段と見なしているのだ。


 中国の成功で、銀行や石油などの重要産業に対する中国の支配は部分的理由にすぎない。「国内企業の総数に占める国有企業(SOE)のシェアはわずか5%に低下したが、総生産量に占めるシェアは26%にとどまっている」。そして国有部門は過去20年間劇的に縮小したが、中国の習近平国家主席は、国有企業を「混合所有」によって運営される「市場主体」に変えることで、国有企業の競争力を高めることを目的とした三年間の行動計画を実施した。簡単に言えば、中国は欧米の厳しい批判にもかかわらず自由化の道を邁進し続けている。


 また、いわゆる中国の奇跡は、中国がいわゆる「欧米専門家」に推奨されたプログラムを実施していたら決して起きなかったろうことも注目に値する。もし中国が、1991年のソ連解体後、ロシアが行ったような抜本的改革(「ショック療法」など)を実施していたら同じ悲惨な結果を経験しただろう。幸いなことに中国の政策立案者は欧米経済学者の助言を無視して、誰の途方もない夢より成功した独自の段階的改革構想を開発した。この話は、YouTubeの「中国はいかにして(実際)金持ちになったか」という題のビデオに要約されている。以下、文章の一部を書き起こした。間違いがあれば全て私のものだ。


 過去数十年で最も驚くべき経済物語は中国の台頭だった。1980年から2020年にかけて、中国経済は75倍以上に成長した。それは現代史における物的条件の最大かつ最も急速な改善だった。中国は地球上で最も貧しい国の一つだったが、今や経済大国だ。この十年の終わりまでに世界最大の経済大国としてアメリカを追い抜くとエコノミストたちは予測している。人々はそれを「中国の奇跡」と呼んでいる。この奇跡を「自由市場」のありのままの話と表現する人もいる。彼らは「それは単純な話だ」と言う。中国は貧しかった(が)その後、経済は国家支配から解放された。今や中国は豊かだ」しかし、これは誤解を招きかねない。中国の台頭は自由市場の勝利ではなかったのだ。


 1980年代以降、自由市場政策は世界を席巻した。多くの国が広範囲にわたる変革を遂げた。価格自由化、産業全体の民営化、自由貿易の開放。しかし一夜にして市場にさらされた経済の多くは、その後停滞または衰退した。それらのどれも中国で見られるような成長実績を持っていない。アフリカ諸国は残忍な経済縮小を経験した。中南米諸国は25年の停滞を経験した。中国を20世紀共産主義のもう一つの巨人ロシアと比較すると対照は一層驚異的だ。


 国家社会主義下で、ロシアは産業超大国だったが中国は依然大半が農業経済だった。しかし中国の改革が驚異的経済成長をもたらしたのと同じ時期、ロシアの改革は悲惨な崩壊をもたらした。中国、ロシアいずれも主に国家の命令を通して主として運営される経済だった。ロシアは当時の最も「科学的な経済学」の勧告、いわゆる「ショック療法」政策に従った。基本原則として、市場が出現する余地を作るには、古い計画経済を破壊する必要があるという考えだった。ロシアは一夜にして本格的経済として浮上すると予想されていた。ボリス・エリツィンが権力を握った時、彼は全ての価格統制を撤廃し、国有企業と資産を民営化し、ロシアを即座に世界貿易に開放した。結果は大惨事だった。ロシア経済は既に混乱していたが、ショック療法は致命的打撃だった。 (欧米の経済学者は)短期的痛みを予測したが、彼らが予想しなかったのは影響がどれほど深刻で破壊的かということだった。消費者物価は制御不能になり、ハイパーインフレが定着しGDPは40%減少した。


 ロシアにおけるショック療法不況は「大恐慌」より遙かに深刻で長かった。普通のロシア人にとっては大惨事だった。アルコール依存症、小児期の栄養失調、犯罪が急増した。ロシア人男性の平均余命は7年縮み、これまで平時に経験したどの先進国よりひどかった。ロシアは一夜にして自由市場を手に入れなかった。その代わり、停滞経済からオリガルヒが運営する空洞化した残骸になった。価格統制や政府雇用を廃止するだけでは繁栄は生まれず、経済を破壊し、膨大な数の人々を殺したのであれば、明らかに「自由市場」への急速な移行は解決策ではなかったのだ。


 1980年代を通じて、中国はロシアが追求したのと同じ形の急速な改革を実施することを検討した。白紙状態から始めるというアイデアは魅力的で、ショック療法は(尊敬される)経済学者たちに広く推進された...しかし結局、中国はショック療法を実施しないと決定した。中国は、(経済を)一気にひっくり返すのではなく、段階的かつ実験的方法で自らを改革した。経済の本質的でない部分で市場活動は容認または積極的に促進された。中国はデュアルトラック価格設定政策を実施した。中国は世界で最も先進国のアメリカ、イギリス、日本、韓国などの国々から学んでいた。このそれぞれは市場や初期段階の産業を保護し、投資を管理して自身の経済発展を管理・計画していたのだ。


 欧米の自由市場経済学者は、このシステムは大災害になるはずだと考えた。しかし中国指導者は耳を傾けず、ロシアは「ショック療法」プログラムに従った後、崩壊したが、中国は目覚ましい成功を収めた。中国は産業経済の基幹と土地の所有権を管理し続けた。中国が経済の新しい動態へと成長するにつれ、国家機関は過去の化石へと劣化はせず、しばしば新しい産業フロンティアの推進力となり、彼らの成長を保護し保証した。今日の中国は、いかなる意味でも自由市場経済ではない。国家主導の市場経済だ。政府は事実上全ての土地を所有しており、中国は市場競争を通じ国有を利用して経済を舵取りしている。世界中で提唱されたショック療法手法は失敗だった。ロシアは突然の移行後崩壊したが、中国の段階的改革は生き残りを可能にした。そして、それが全ての違いを生んだのだ。」「中国はいかにして(実際)金持ちになったか」YouTube。