「田中宇の国際ニュース解説拙速分析」より、一部を転載。このほかに、中国でも「二番煎じジャスミン革命」が(もちろん欧米の肝煎で)企画されて不発に終わりそうだというニュースや、アメリカ政府高官が米軍の海外派遣を自粛すべきだと言ったというニュースなどもある。ここでは大火事の最中である中東・アフリカのニュースを優先した。特にイスラエルの動向や意図は世界政治のキーポイントである。国際金融家が企画しアメリカが表で動くというのが現在の世界政治であるが、国際金融家にとってイスラエルは最愛の息子であるからだ。とは言っても、いざとなればアブラハムが息子のイサクを神への供物として殺そうとしたようにイスラエルを見捨てるだろうが。
田中宇が言うようにイスラエルも尻に火がついた状態なのか、それとも逆に「中東革命」(「中東・北アフリカ革命」と言うべきかと思う。まあ、本当に「革命」と言うべきかどうかも問題だが)でイスラエルの力が増すことになるのかは、まだ予断を許さない。
(以下引用)
▼西アジア、中東、アフリカ
【3月8日】英国軍がリビア東部の反政府勢力の中心地ベンガジに、特殊部隊と諜報部員(MI6)で構成される8人の部隊を、武器やゲリラ戦用通信器具などとともに、ヘリで送り込んだ。反政府勢力がカダフィ政府側と戦う際に顧問団として活躍させ、反政府勢力が内戦に勝って正式なリビア新政権になったら英国と真っ先に良い関係を結んでもらい、リビアの石油利権が英国の石油会社(BP)に入るようにしたかったのだろう。だが、外国の介入は不要だと明確に宣言している反政府勢力は、英軍部隊を歓迎せず、すぐに逮捕して投獄し、数日後に英国側に引き渡した。「欧米が石油利権目当てに内戦に介入している」と非難してきたカダフィ派は、それみたことかと英国を非難した。米国がサウジアラビアに対し、米国がサウジ用に渡した武器の一部をベンガジに空輸してくれと求めたが、自国の反乱鎮圧を優先するサウジ王家は、エジプト革命を容認した米政府に怒っていることもあり、米国に返答せず無視したという報道も出ている。英米覇権のドタバタ劇が展開している。(Libya: inside the SAS operation that went wrong)(America's secret plan to arm Libya's rebels By Robert Fisk)
【3月6日】パレスチナで、これまで仇敵どうしだった米イスラエル傀儡系のファタハ(パレスチナ自治政府、西岸)と、反米イスラム主義のハマス(ガザ)が、和解交渉を始めている。エジプト革命で、ハマスの兄貴分にあたるムスリム同胞団が潜在的に大きな力を持つようになってハマスが優勢になっている。対照的にファタハは、中東における米国の影響力低下と、右派姿勢を脱却できないイスラエルのせいで「米イスラエルが中東和平交渉をするふりをする際の相棒」という歴史的役割が失われつつある。ファタハは生き残りのためハマスに譲歩しそうなので、ハマスはファタハとの和解交渉に乗ると言っている。(Hamas announces initiative to regain national unity with Fatah)
【3月5日】サウジアラビアの首都リヤドで3月4日の金曜礼拝の後、今回の中東革命が始まって以来初めて、政府の腐敗などを批判する反政府デモが行われた。サウジでは反政府活動は非合法なのでデモはあまり組織されておらず、参加者数は数十人とも2000人とも言われ諸説ある。3月11日に「怒りの日」の集会が予定されており、4日はその前哨戦。同日サウジ東部のシーア派の町でも、政府に逮捕されている聖職者の釈放を求めてデモがあった。聖職者は、サウジ政府に対し、国王は権力の一部を議会に委譲し、絶対王制をやめて立憲君主制にせよと求める説教を行った後、逮捕された。バーレーンやヨルダンでも、反政府派が立憲君主制への移行を求めている。(Protests build across Saudi Arabia)(Jordan rejects constitutional monarchy)
【3月5日】イラクも反政府デモが各地で起こされ、政治が不安定化している。スンニ派を代表してマリキ政権の連立に参加していたイヤド・アラウィが連立からの離脱を表明した。クルド人は、マリキ首相の非難を無視して油田地帯のキルクークに軍勢を駐留させ、油田をクルド人のものにしようとしている。バグダッド市長も辞任した。米軍は予定通り撤退の準備を進めているが、連立政権が崩壊し、イラクは再び3派間の内戦に戻るかもしれない。米政府はイラクの混乱を無視しており、何のコメントも発していない。(Allawi Abandons Promised Iraq `Power-Sharing' Position)(Maliki Demands Kurdistan Withdraw Troops From Kirkuk)(U.S. army starts replacing non-combat forces in southern Iraq)
【3月2日】イスラエル政府が、パレスチナ和平交渉を「進めるふり」を急に強めている。ネタニヤフ政権は、米国を含む国際社会が求めている西岸入植地の撤去を、ずっと拒否してきたが、ここに来て急に、撤去をやると言い出した。ネタニヤフは、昨年から止まっているパレスチナ自治政府(PA)との交渉も再開し、暫定国境を持つパレスチナ国家の創設を急ぐ方針に転換することを検討しているとも言っている。こうした急転換の背景には、中東における米国の影響力が急速に衰退し、イスラエルにとって死活問題である米国の後ろ盾が消えつつあることと、中東革命の波及によってPAが崩壊寸前になっていることがある。今後PAが消滅すると、パレスチナはイスラム過激派が席巻し、イスラエルは米国の後ろ盾なしに、周辺の全ての過激派と対峙せねばならなくなり、国家的な終焉に近づく。イスラエルのラビは「救世主の再来が近い」と言い出している。(Israel vows to raze all illegal outposts built on private Palestinian land)(Netanyahu mulls Palestinian state with temporary borders as part of interim peace deal)(2月26日の分析)(Arab unrest signals Messiah's coming)
田中宇が言うようにイスラエルも尻に火がついた状態なのか、それとも逆に「中東革命」(「中東・北アフリカ革命」と言うべきかと思う。まあ、本当に「革命」と言うべきかどうかも問題だが)でイスラエルの力が増すことになるのかは、まだ予断を許さない。
(以下引用)
▼西アジア、中東、アフリカ
【3月8日】英国軍がリビア東部の反政府勢力の中心地ベンガジに、特殊部隊と諜報部員(MI6)で構成される8人の部隊を、武器やゲリラ戦用通信器具などとともに、ヘリで送り込んだ。反政府勢力がカダフィ政府側と戦う際に顧問団として活躍させ、反政府勢力が内戦に勝って正式なリビア新政権になったら英国と真っ先に良い関係を結んでもらい、リビアの石油利権が英国の石油会社(BP)に入るようにしたかったのだろう。だが、外国の介入は不要だと明確に宣言している反政府勢力は、英軍部隊を歓迎せず、すぐに逮捕して投獄し、数日後に英国側に引き渡した。「欧米が石油利権目当てに内戦に介入している」と非難してきたカダフィ派は、それみたことかと英国を非難した。米国がサウジアラビアに対し、米国がサウジ用に渡した武器の一部をベンガジに空輸してくれと求めたが、自国の反乱鎮圧を優先するサウジ王家は、エジプト革命を容認した米政府に怒っていることもあり、米国に返答せず無視したという報道も出ている。英米覇権のドタバタ劇が展開している。(Libya: inside the SAS operation that went wrong)(America's secret plan to arm Libya's rebels By Robert Fisk)
【3月6日】パレスチナで、これまで仇敵どうしだった米イスラエル傀儡系のファタハ(パレスチナ自治政府、西岸)と、反米イスラム主義のハマス(ガザ)が、和解交渉を始めている。エジプト革命で、ハマスの兄貴分にあたるムスリム同胞団が潜在的に大きな力を持つようになってハマスが優勢になっている。対照的にファタハは、中東における米国の影響力低下と、右派姿勢を脱却できないイスラエルのせいで「米イスラエルが中東和平交渉をするふりをする際の相棒」という歴史的役割が失われつつある。ファタハは生き残りのためハマスに譲歩しそうなので、ハマスはファタハとの和解交渉に乗ると言っている。(Hamas announces initiative to regain national unity with Fatah)
【3月5日】サウジアラビアの首都リヤドで3月4日の金曜礼拝の後、今回の中東革命が始まって以来初めて、政府の腐敗などを批判する反政府デモが行われた。サウジでは反政府活動は非合法なのでデモはあまり組織されておらず、参加者数は数十人とも2000人とも言われ諸説ある。3月11日に「怒りの日」の集会が予定されており、4日はその前哨戦。同日サウジ東部のシーア派の町でも、政府に逮捕されている聖職者の釈放を求めてデモがあった。聖職者は、サウジ政府に対し、国王は権力の一部を議会に委譲し、絶対王制をやめて立憲君主制にせよと求める説教を行った後、逮捕された。バーレーンやヨルダンでも、反政府派が立憲君主制への移行を求めている。(Protests build across Saudi Arabia)(Jordan rejects constitutional monarchy)
【3月5日】イラクも反政府デモが各地で起こされ、政治が不安定化している。スンニ派を代表してマリキ政権の連立に参加していたイヤド・アラウィが連立からの離脱を表明した。クルド人は、マリキ首相の非難を無視して油田地帯のキルクークに軍勢を駐留させ、油田をクルド人のものにしようとしている。バグダッド市長も辞任した。米軍は予定通り撤退の準備を進めているが、連立政権が崩壊し、イラクは再び3派間の内戦に戻るかもしれない。米政府はイラクの混乱を無視しており、何のコメントも発していない。(Allawi Abandons Promised Iraq `Power-Sharing' Position)(Maliki Demands Kurdistan Withdraw Troops From Kirkuk)(U.S. army starts replacing non-combat forces in southern Iraq)
【3月2日】イスラエル政府が、パレスチナ和平交渉を「進めるふり」を急に強めている。ネタニヤフ政権は、米国を含む国際社会が求めている西岸入植地の撤去を、ずっと拒否してきたが、ここに来て急に、撤去をやると言い出した。ネタニヤフは、昨年から止まっているパレスチナ自治政府(PA)との交渉も再開し、暫定国境を持つパレスチナ国家の創設を急ぐ方針に転換することを検討しているとも言っている。こうした急転換の背景には、中東における米国の影響力が急速に衰退し、イスラエルにとって死活問題である米国の後ろ盾が消えつつあることと、中東革命の波及によってPAが崩壊寸前になっていることがある。今後PAが消滅すると、パレスチナはイスラム過激派が席巻し、イスラエルは米国の後ろ盾なしに、周辺の全ての過激派と対峙せねばならなくなり、国家的な終焉に近づく。イスラエルのラビは「救世主の再来が近い」と言い出している。(Israel vows to raze all illegal outposts built on private Palestinian land)(Netanyahu mulls Palestinian state with temporary borders as part of interim peace deal)(2月26日の分析)(Arab unrest signals Messiah's coming)
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