ローカルな話題だが、他府県民でも、「日常生活と隣り合わせの危険」というものは目を向ける必要があるのではないか。
こうしたものは「お役所」が対策してくれている、と我々は何となく思っているが、そうでもないことは、この「3年間で79人が用水路で転落死」という事実が示している。これは岡山県だけの話ではなく、他府県でもこれに類した事実がありながら、問題視されていないだけなのではないか。もちろん、用水路だけの話ではない。
ところで、「用水路」という言葉を何気なく使っているが、私はその定義を知らない。まあ、人工的に作られた小川を用水路と言っているような気がする。べつに、その中を流れる水を「用いる」のではなく、自然の河川につないで雨水を流すものではないか。それなら、「排水路」と言うほうが妥当な気がするが、「用水」と言うにはその水を「利用」するのか何なのか。
記事に付属した写真を見ても、これはただの排水路であるように見える。
そして、一番の問題は、これが道路の傍に、柵も何も無しに隣接していることである。そのように見える。こりゃあ、真昼間だろうが、足元の不確かな年寄りなら転落するよなあ。年寄りなら、浅い水でも溺死するよなあ。別に、「3年間で79人が用水路で転落死の『異様』」なのではなく、3年間で79人が転落死して「当然」なのではないか。(もちろん、この記事の写真は事件現場の一例にすぎないだろうが、他も似たり寄ったりではないか。)
要するに、「健常者」だけしか視野に入っていない道路行政に問題がある、ということだ。
これは、たとえば歩道橋などでも見られることだ。年寄りや身体障害者が歩道橋を上ることがいかに困難かをまったく考えず、あるいはわざと無視して全国に歩道橋は作られてきた。
高齢社会になるに従って、そうした過去の「健常者主義社会」の欠陥はどんどん露わになってくるのではないだろうか。
(以下引用)
3年間で79人が用水路で“転落死”の異様…それも8割が明るい時間帯 岡山県調査
岡山県内で多発する用水路などへの転落事故を防止しようと、26日、岡山市北区の県運転免許センターで「第2回用水路等転落事故防止対策検討会議」が開かれた。
県や県警、自治体の担当者ら約100人が参加し、事故の発生状況を踏まえた効果的な安全対策について検討。県の調査で、過去3年間に用水路への転落による死者が79人に上ることが明らかにされた。
消防の出動1143件…
県は、平成25~27年の用水路転落事故に関する調査を県内の各消防局に依頼。その結果、3年間で出動件数は1143件で、死者は79人に上った。死者の約7割が65歳以上の高齢者で、50歳以上が約9割を占めることが明らかになった。死者の約7割が徒歩で、事故通報の時間別では「午前6時~午後6時」の明るい時間帯が約8割を占めることも報告された。
県によると、今年1~6月の県内各消防局の用水路転落関係の出動件数は199件で、死者は17人。県は「過去3年間の半年の平均件数と同程度の結果。現時点では啓発が浸透していない可能性がある」とした。
県警は今年2月の第1回会議で、把握している用水路の危険箇所は421カ所(対策済み172カ所)と報告。だが、同会議後、さらに調査した結果、6月末現在の危険箇所は533カ所(対策済み243カ所)に上るとした。また、県警が把握している県内の用水路転落死亡事故(6月末現在)は2件(前年同期比1件減)であることなどを説明。警察のまとめでは歩行者の事故が計上されないためとみられる。
県は今後、用水路などへの転落事故を未然に防ぐためのガイドラインの策定を目指しており、「(ガイドラインができることで)事後から事前への対策転換が図られ、用水路への転落防止が期待できる」と話している。
マンションのすぐ近くを流れる用水路=岡山市南区(徽宗追記)「岡山の用水路」では、こんなのが普通にあるようだ。地域性の問題なのか何なのか。おそらく、何度も事故は起こっているだろうに、改善されないのはなぜなのか。怪談噺などより、よっぽど「ぼっけえきょうてえ」話である。
なお、用水路(道路の上の水たまりにしか見えない)の中の物体は、四輪車が横転して半水没したものであるらしい。
町内会長パンイチロー@yantona
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