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徽宗皇帝のブログ

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原油安と株安の関係
東京新聞WEBから転載。
原油安と株安の関係を解説した記事の中で、これがもっとも明快だった。
要するに、原油安によって財政に危機感を持った産油国の投資家(と言うより、王族。投資自体はプロに任せているはずだ。)が、所持する株を売って現金に換えるということが大々的に起こっている、ということだ。だから、一国だけでなく、世界的な株安になる。中国経済の先行きへの懸念、などというのはごく一部の投資家の話で、オイルマネーの巨大さとは比較にもならないだろう。
原油安自体は、製造業その他、あらゆる産業と国民生活にとってプラスでしかない。原油安が悪いことであるかのような報道が目立つが、それは「株の価格」だけを問題とした場合の話で、実態経済とは無関係な話だ。逆に言うと、株の価格がまるで国民生活や国家経済の柱であるかのように報道しているユダ金マスコミの詐術に誰も疑問を持っていないということである。
別の記事の話になるが、原油価格が異常な低下をしているという印象だが、実はこれは数十年前の水準に戻っただけで、最近の高価格が異常だったと見るべきだ、という話である。実際、あらゆる産業で燃費の効率化が進み、さらに世界全体の産業自体が停滞している状態で、原油への需要が低下するのは当たり前なのである。(アメリカの原油生産が上がったのは、シェールオイルのせいもあるが、これまで価格競争で中東石油より劣位にあり、使わなかった国内油田を、シェールオイルという国内競争者が出たことを機に使い始めたことの方が大きいのではないか、と私は思っている。前から言うように、シェールオイルは1バレル60ドルかそこら以下では採算が取れないのだから、現在のような1バレル30ドル以下の状況でやっていけるはずはない。つまり、現在は世界的な石油余り状況というだけの話だ。)
また、株価も、世界的な富裕層の「余った金」が株に投資されて馬鹿げた水準に吊り上っていただけなのだから、投資先が無くなれば、あるいは投資家の経済状態が悪化すれば、株は現金化され、株価はどんどん低下して当たり前なのである。要するに、「金で金を生む」ことが次第に困難な状況、言い換えればまともな経済に近づきつつある、と言えるだろう。





(以下引用)

なぜ原油安で株安 産油国、財政悪化で換金


写真

 14日、一時1万7000円割れした日経平均株価。株安の主な原因の一つが、原油先物価格が米国市場で1バレル=30ドルを割り込む12年ぶりの安値になるなど原油安が進んでいることだ。なぜ原油安は株下落につながるのだろうか。 (渥美龍太)



 Q 原油が下がるのはいいことじゃないの。



 A 確かに適度な原油安はガソリン代や光熱費を下げ、市民生活を助け、消費をその分増やせる。しかし、いまの株式市場にとってはマイナス要因になっている。全国銀行協会の佐藤康博会長(みずほフィナンシャルグループ社長)は同日の会見で、「オイルマネーの流出で市場全体の危機に発展する可能性もある」と警戒感を示したよ。



 Q 「オイルマネー」って、聞いたことがあるけど、どんなお金なの?



 A サウジアラビアなど産油国が石油の輸出で稼いだ資金を、自国の政府系ファンドを通じて日欧米の株式市場など世界に投資しているお金だ。特に二〇〇八年のリーマン・ショック前、原油価格は今の五倍近い一バレル=一五〇ドル近くに上昇したから、みずほ総研の井上淳氏によると、オイルマネーは世界で四兆ドル(約四百七十兆円)を超える規模に膨らんでいる。



 Q すごい巨額資金だ。



 A ところが、最近は、大口の原油輸出先だった中国の経済減速などで原油価格が下がっているため、産油国は財政が悪化し、オイルマネーで保有している株の換金売りを迫られているんだ。これが日本など先進各国の株価下落相場の一因になっている。



 Q なるほど。



 A オイルマネーの流出以外にも、エネルギー関連企業の収益が低下していることも市場に悪影響を与えている。大手石油会社などは米国の株式市場で存在感があり、業績悪化が市場の下落の原因になっている。



 Q ふーん、原油安っていつまで続くの。



 A 年初から主要な産油国であるサウジアラビアとイランの対立が激しくなっている。初めは地域の緊張が高まって原油価格が上がるとみられたけれど、今は逆に産油国が協調しての減産が絶望的になったとの見方が主流だ。中国の景気停滞も長期化しそうだ。原油価格に詳しい三菱UFJリサーチ&コンサルティングの芥田知至氏は「価格反転の材料が見当たらない。一バレル=三〇ドル割れの低水準が当面続く事態もある」との見方を示しているよ。


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