「ギャラリー酔いどれ」から転載。
二つとも良い記事であり、私が贅言する必要もない。
(以下引用)
◆http://blog.tatsuru.com/2016/09/10_0832.php
内田樹の研究室 2016年09月10日
◎生前退位について
天皇の生前退位についてある媒体から寄稿を求められた。
もう発売日をだいぶ過ぎたので公開。
参院選挙で改憲勢力が3分の2の議席を獲得し、
改憲の動きが出てきたタイミングで、
天皇の「生前退位」の意向が示されました。
時期的に見て、それなりの政治的配慮があったはずです。
8日に放映された「お言葉」をよく読み返すと、さらにその感が深まります。
海外メディアは今回の「お言葉」について、
「安倍首相に改憲を思いとどまるようにとのシグナルを送った」
という解釈を報じています。
私もそれが「お言葉」についての常識的な解釈だと思います。
天皇はこれまでも節目節目でつねに「憲法擁護」を語ってこられました。
戦争被害を受けた内外の人々に対する反省と慰藉の言葉を繰り返し語り、
鎮魂のための旅を続けてこられた。
現在の日本の公人で、「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、
裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負う」という
99条に定めた憲法尊重擁護義務を天皇ほど遵守されている人はいないと思います。
国会議員たちは公然と憲法を批判し、地方自治体では「護憲」集会に対して
「政治的に偏向している」という理由で
会場の貸し出しや後援を拒むところが続出しています。
安倍首相の改憲路線に対する最後のハードルの一つが、
護憲の思いを語ることで迂回的な表現ながら
「改憲には反対」というメッセージを発し続けてきた天皇です。
自民党改憲草案第1条では、天皇は「象徴」でなく「日本国の元首」とされています。
現行憲法の第7条では、天皇の国事行為には「内閣の助言と承認」が必要
とされているのに対し、改憲草案では、単に「内閣の進言」とされている。
これは内閣の承認がなくても、国会の解散や召集を含む国事行為を行うことができる
という解釈の余地を残すための文言修正です。
なぜ、改憲派は天皇への権限集中を狙うのか。
それは戦前の「天皇親政」システムの「うまみ」を知っているからです。
まず天皇を雲上に祭り上げ、「御簾の内」に追い込み、
国民との接点をなくし、個人的な発言や行動も禁じる。
そして、「上奏」を許された少数の人間だけが天皇の威を借りて、
「畏れ多くも畏き辺りにおかせられましては」という呪文を唱えて、
超憲法的な権威を揮う。
そういう仕組みを彼らは作ろうとしている。
彼らにとって、天皇はあくまで「神輿」に過ぎません。
「生前退位」に自民党や右派イデオローグがむきになって反対しているのは、
記号としての「終身国家元首」を最大限利用しようとする彼らの計画にとっては、
天皇が個人的意見を持つことも、傷つき病む身体を持っていることも、
ともに許しがたいことだからです。
「お言葉」の中で、天皇はその「象徴的行為として大切なもの」として、
「人々の傍らに立ち,その声に耳を傾け,思いに寄り添う」ために
「日本の各地,とりわけ遠隔の地や島々への旅」を果すことを挙げました。
それが天皇の本務であるにもかかわらず、健康上の理由で困難になっている。
そのことが「生前退位」の理由として示されました。
象徴としての務めは「全身全霊をもって」果さねばならないという天皇の宣言は、
改憲草案のめざす「終身国家元首」という
記号的存在であることを正面から否定したものだと私は理解します。
「お言葉」の中で、天皇は「象徴」という言葉を8回繰り返しました。
特に重要なのは「象徴的行為」という表現があったことです。
それは具体的には「皇后と共に行おこなって来たほぼ全国に及ぶ旅」を指しています。
けれども、よく考えると「象徴」と「行為」というのは
論理的にはうまく結びつく言葉ではありません。
「象徴」というのはただそこにいるだけで100%機能するから
「象徴」と言われるのであって、それを裏づける「行為」などは要求されません。
でも、天皇は「象徴的行為を十全に果しうるものが天皇であるべきだ」という
新しい考え方を提示しました。
これは「御簾の内」に天皇を幽閉して、その威光だけを政治利用しようとする人々
に対する天皇から「否」の意思表示だったと私は思います。
2014年に、開催された政府主催の「主権回復・国際社会復帰を記念する式典」で、
天皇と皇后が退席されようとした際に、
安倍首相をはじめとする国会議員たちが突然、予定になかった「天皇陛下万歳!」を三唱し、
両陛下が一瞬怪訝な表情を浮かべたことがありました。
それはこの「万歳」が両陛下に対する素直な敬愛の気持ちから出たものではなく、
「天皇陛下万歳」の呪文を功利的に利用しようという
「計算ずく」のものであることが感じ取られたからでしょう。
今回も、自然発生的な敬意があれば、天皇の「お言葉」に対して
内閣が木で鼻を括ったようなコメントで済ませるられるはずがない。
天皇の本意のあるところをぜひ親しくお聞きしたいと言うはずです。
でも、「天皇陛下万歳」は大声で叫ぶが、天皇の個人的な意見には一片の関心もない。
安倍首相のみならず、日本の歴史で天皇を政治利用しようとした勢力の
ふるまい方はつねに同じです。
天皇を担いで、自分の敵勢力を「朝敵」と名指して倒してきた。
倒幕運動のとき、天皇は「玉ギョク」と呼ばれていました。
2・26事件の青年将校は天皇の軍を許可なく動かし、
天皇が任命した重臣たちを殺害することに何のためらいも感じませんでした。
8月15日の降伏に反対して「宮城事件」を起こし、「國體」護持のためには
「ご聖断」に耳を傾ける必要はないと言い放った陸軍参謀たちに至るまで、
そのマインドは変わっていません。
国家元首たる天皇に権限を集中させると同時に国民から隔離して、
事実上無力化すること。 それが改憲のねらいです。
昨年の安全保障関連法の成立で示されたように、
あるいは改憲草案の「非常事態条項」に見られるように、
安倍政権は立憲主義を否定する立場にあります。
内閣総理大臣を憲法に制約されない立場に置き、内閣が法律を起案し、
かつ執行する独裁政体を作ること。
これは端的に「法治国家」から、
中国や北朝鮮のような「人治国家」への政体変換を意味しています。
しかし、政体の変換がそこまで進むと、「同盟国」米国から反発が予測されます。
米国は中国や北朝鮮というアジアのリスクファクターの制御のために
日本と連携しようとしているわけですが、
このまま安倍政権の思惑通りに政体改変が進めば、日本は
「米国の独立宣言や憲法の価値観を全否定する同盟国」という奇妙な存在になってしまう。
「北朝鮮化した日本」はアメリカの東アジアにおける
新たなリスクファクターになる可能性がある。
それは米国としても回避したい。
確かに解釈改憲と安全保障関連法成立のせいで、
自衛隊は米国にすれば使い勝手のよい「二軍」になりました。
だから、自衛隊員が危険な任務において米兵を代替してくれることは大歓迎でしょう。
しかし、米国にとって日本はかつての敵国です。
「同盟国」としてどこまで信頼できるかわからない。
「空気」一つで「鬼畜米英」から「対米従属」に一気に変わる国民性ですから、
当てにはできない。
ですから、米国内に「安保法制で取るべきものは取ったから、
首相はもう少し米国の価値観に近い人間に替えてもらいたい」
という考え方が出て来ても不思議はありません。
改憲日程が具体化すると、「改憲は止めて欲しい」というメッセージが
かなりはっきりと示されるでしょう。
いずれにせよ、全面改憲の最後のハードルになるのは野党ではなく、
天皇とホワイトハウスでしょう。
日本が民主主義の主権国家ではなく、君主制を持つ米国の属国である
という現実が、そのとき露呈されるわけです。
◆http://www.asyura2.com/16/senkyo212/msg/556.html
投稿者: 赤かぶ 日時: 2016 年 9 月 09 日igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
◎圧勝? 蓮舫新代表の問題は国籍ではなく 野田元首相の影(日刊ゲンダイ)
▼http://asyura.x0.to/imgup/d5/242.jpg
☆http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/189564
2016年9月9日 日刊ゲンダイ 文字お越し
☆小沢一郎を切り捨て、国民を裏切り、不可解な解散を断行した総括もせず、
今なおのうのうとしているA級戦犯とのきわめて怪しい関係が問われている
15日の民進党代表選まで1週間だが、盛り上がりに欠けたまま、
二重国籍疑惑で炎上中の蓮舫代表代行(48)が逃げ切りを決めそうだ。
時事通信の調査によると、投票権を持つ国会議員147人のうち、
蓮舫を支持しているのは73人と半数に達する。
前原誠司元外相(54)支持は、自身のグループや旧維新の党の一部など33人で、
玉木雄一郎国対副委員長(47)は22人にとどまっているという。
民進党の代表選は、国会議員147人が1人2ポイントずつで計294ポイント、
国政選挙の公認候補予定者は1人1ポイントで118ポイントが割り当てられる。
これに地方議員(約1600人)の計206ポイント、
党員・サポーター(約23万5000人)の計231ポイントの投票を
比例配分して勝敗が決まる。
すでに国会議員票で圧倒する蓮舫だが、毎日新聞の調査では、
地方議員票、党員・サポーター票でも蓮舫が6割を取る見通しだという。
「1回目の投票で誰も過半数に届かなかった場合は、上位2人による決選投票で、
国会議員と公認予定者のみの投票になる。
2012年の自民党総裁選で、1回目の投票で2位だった安倍さんが
決選投票で石破さんを逆転して総裁に選ばれたように、決選投票に持ち込めれば、
2位・3位連合で逆転も可能だ」
こう言って、前原陣営の国会議員は望みをつなぐが、
どうやら1回目の投票で蓮舫が過半数を得て、新代表に選ばれそうな勢いだ。
「民進党の中では抜群の知名度を誇り、
女性で40代という若さもアピールポイントになる。代表の器かどうかはともかく、
清新なイメージが党の新しい看板にふさわしいと見られていることが、
蓮舫人気の理由です」(政治アナリスト・伊藤惇夫氏)
だが、本当に蓮舫代表でいいのか。
代表選の有権者も、国民もいま一度、冷静になって考えるべきだ。
☆表紙が変わっても中身は同じ
蓮舫がダメな最大の理由は、右派から総攻撃を受けている二重国籍疑惑ではない。
蓮舫に対する国籍問題の批判は、法律論と感情論をゴチャ混ぜにしていて、
何が問題なのかをきちんと理解できていないものが多い。
ネットの書き込みなどは、ほとんどヘイトスピーチの類いだ。
騒いでいるのはネトウヨ的思考の“愛国者”だけで、
公選法上も国籍法上も蓮舫に瑕疵があるものではない。
ネットのお祭り騒ぎに便乗して野党批判をかますのが大好きな自民党の議員たちも、
この件に関しては口をつぐんでいるのが何よりの証拠である。
そんなことより問題は、蓮舫のバックについているのが野田元首相ということの方だ。
もともと野田グループの中心メンバーで、
民主党政権で野田を支えてきたのが蓮舫だった。
蓮舫には7月の都知事選への立候補を期待する声もあったが、
国会議員として代表選に出馬する道を勧めたのは野田だといわれている。
岡田代表が代表選への不出馬を表明した前日、野田と岡田、枝野幹事長ら
現執行部の面々が集まって話し合い、ポスト岡田は蓮舫でいくことに決まった。
「現執行部や党内主流派が支持していることで分かるように、
蓮舫新代表では、表紙が変わるだけで、中身は今までと同じということになる。
旧民主党で第2世代といわれた野田氏や岡田氏、枝野氏らが
完全に引っ込まないかぎり、新たな民進党に期待は持てないでしょう」
(伊藤惇夫氏=前出)
毎日新聞の調査によれば、民進党で衆院当選7回以上のベテラン18人のうち、
岡田代表ら10人が蓮舫支援に回っているという。
見栄えのする蓮舫ならお飾りにはもってこい。
陰では守旧派が牛耳り、むしろダメな民主党に“先祖返り”しかねない。
☆党崩壊の最大の戦犯がキングメーカー気取りで復権
今回の代表選で、前原は自らを民主党政権失敗の「戦犯」と称し、
何度も頭を下げている。
芝居がかったきらいはあるが、反省の弁を述べるだけまだマシというものだろう。
なぜなら、最大の戦犯がのうのうとしたまま再び党を牛耳ろうとしているからだ。
「民主党崩壊の最大の戦犯は、どう考えても野田元首相です。
官僚に取り込まれて公約違反の消費税増税に走り、反対する小沢一郎グループを追い出して、
あろうことか自公と結託して消費税増税を決めてしまった。
これほどの国民への裏切りがありますか。
その上、無謀な解散総選挙に打って出て、安倍自民に“大政奉還”したのです。
この時に与えた大量議席が安倍政権の暴走の源泉となり、
野党分裂を招いて安倍独裁体制によるやりたい放題をアシストしてきたのが
野田元首相といえる。
参院選での野党共闘にも最後まで難色を示し、自民党を利するような真似をするのだから、
まるで安倍自民の別動隊ですよ。
二重党籍か、本籍は自民党と疑われても仕方ない。
そういう野田路線の継承者が蓮舫氏であり、
蓮舫代表なら事実上の野田体制になるということです。
これでは自民党と対決できるはずもなく、野党としての役割を果たせません」
(政治評論家・本澤二郎氏)
巨大与党に対して、野党勢力を結集しなければ太刀打ちしようがないのに、
野田は共産党アレルギーを炸裂させ、かたくなに小沢の排除を主張してきた。
民進党を結成する時にも、野田は「一番足を引っ張った元代表さえ来なければ、
あとは全部のみ込もうと思っている」とか言っていた。
そういう内ゲバが国民の失望を呼び、民主党政権を崩壊させたのに、
まったく反省していない。
それどころか、党を丸ごと自民党に売り渡した裏切り者のユダが、
キングメーカー気取りでのさばっている。
☆「第2自民党」など必要ない
蓮舫代表なんて、野田の傀儡みたいなものなのだ。
この怪しい後ろ盾を駆逐しないかぎり、民主党政権の蹉跌が繰り返されるだけなのである。
「松下政経塾出身の野田氏は、財界の意向に沿って動いていたという点で、
安倍首相と同類です。 庶民の方を向いていない。
蓮舫氏が新代表になって国民の支持を得ようと思えば、
まずは野田氏との決別をアピールするべきなのに、よりによって
『自分はバリバリの保守』などと言って悦に入っているのだから話になりません。
だいたい、今回立候補している3人全員が保守を自任し、
自民党みたいなことを言っていて、どうかしているとしか思えません。
消費税は上げる、改憲にも賛成、原発再稼働は容認、辺野古の新基地も賛成……。
これが野党第1党の政策ですか。
安倍自民と同じじゃないですか。
自民党の二番煎じをやっていて、国民の支持が集まるはずがない。
なぜ、反自民の受け皿を求める国民の切実な声が分からないのでしょう。
自民と対決して追い込むのではなく、第2自民党を目指す路線の大ボスが野田元首相です。
党としての存在意義を失った元凶である野田氏がのさばっているかぎり、
民進党は自民党に同化して埋没していくほかありません」
(本澤二郎氏=前出)
本来なら、野田は死ぬまで蟄居謹慎でも仕方ない身なのに、
蓮舫の後見人として完全復権。 そんな民進党に未来があるか?
なぜ、党内から「野田を除名しろ」という声が上がらないのか不思議なほどだ。
蓮舫・野田体制で自民党化が進めば、「自民党だけには投票したくない」と、
目をつぶって民進党に投票してきた反自民の有権者も離れていく。
党崩壊のA級戦犯がデカイ顔をしているかぎり、この党は変わりようがないが、
蓮舫の圧勝予想に有権者の不信感は増す一方だ。
▼http://asyura.x0.to/imgup/d5/243.jpg
二つとも良い記事であり、私が贅言する必要もない。
(以下引用)
◆http://blog.tatsuru.com/2016/09/10_0832.php
内田樹の研究室 2016年09月10日
◎生前退位について
天皇の生前退位についてある媒体から寄稿を求められた。
もう発売日をだいぶ過ぎたので公開。
参院選挙で改憲勢力が3分の2の議席を獲得し、
改憲の動きが出てきたタイミングで、
天皇の「生前退位」の意向が示されました。
時期的に見て、それなりの政治的配慮があったはずです。
8日に放映された「お言葉」をよく読み返すと、さらにその感が深まります。
海外メディアは今回の「お言葉」について、
「安倍首相に改憲を思いとどまるようにとのシグナルを送った」
という解釈を報じています。
私もそれが「お言葉」についての常識的な解釈だと思います。
天皇はこれまでも節目節目でつねに「憲法擁護」を語ってこられました。
戦争被害を受けた内外の人々に対する反省と慰藉の言葉を繰り返し語り、
鎮魂のための旅を続けてこられた。
現在の日本の公人で、「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、
裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負う」という
99条に定めた憲法尊重擁護義務を天皇ほど遵守されている人はいないと思います。
国会議員たちは公然と憲法を批判し、地方自治体では「護憲」集会に対して
「政治的に偏向している」という理由で
会場の貸し出しや後援を拒むところが続出しています。
安倍首相の改憲路線に対する最後のハードルの一つが、
護憲の思いを語ることで迂回的な表現ながら
「改憲には反対」というメッセージを発し続けてきた天皇です。
自民党改憲草案第1条では、天皇は「象徴」でなく「日本国の元首」とされています。
現行憲法の第7条では、天皇の国事行為には「内閣の助言と承認」が必要
とされているのに対し、改憲草案では、単に「内閣の進言」とされている。
これは内閣の承認がなくても、国会の解散や召集を含む国事行為を行うことができる
という解釈の余地を残すための文言修正です。
なぜ、改憲派は天皇への権限集中を狙うのか。
それは戦前の「天皇親政」システムの「うまみ」を知っているからです。
まず天皇を雲上に祭り上げ、「御簾の内」に追い込み、
国民との接点をなくし、個人的な発言や行動も禁じる。
そして、「上奏」を許された少数の人間だけが天皇の威を借りて、
「畏れ多くも畏き辺りにおかせられましては」という呪文を唱えて、
超憲法的な権威を揮う。
そういう仕組みを彼らは作ろうとしている。
彼らにとって、天皇はあくまで「神輿」に過ぎません。
「生前退位」に自民党や右派イデオローグがむきになって反対しているのは、
記号としての「終身国家元首」を最大限利用しようとする彼らの計画にとっては、
天皇が個人的意見を持つことも、傷つき病む身体を持っていることも、
ともに許しがたいことだからです。
「お言葉」の中で、天皇はその「象徴的行為として大切なもの」として、
「人々の傍らに立ち,その声に耳を傾け,思いに寄り添う」ために
「日本の各地,とりわけ遠隔の地や島々への旅」を果すことを挙げました。
それが天皇の本務であるにもかかわらず、健康上の理由で困難になっている。
そのことが「生前退位」の理由として示されました。
象徴としての務めは「全身全霊をもって」果さねばならないという天皇の宣言は、
改憲草案のめざす「終身国家元首」という
記号的存在であることを正面から否定したものだと私は理解します。
「お言葉」の中で、天皇は「象徴」という言葉を8回繰り返しました。
特に重要なのは「象徴的行為」という表現があったことです。
それは具体的には「皇后と共に行おこなって来たほぼ全国に及ぶ旅」を指しています。
けれども、よく考えると「象徴」と「行為」というのは
論理的にはうまく結びつく言葉ではありません。
「象徴」というのはただそこにいるだけで100%機能するから
「象徴」と言われるのであって、それを裏づける「行為」などは要求されません。
でも、天皇は「象徴的行為を十全に果しうるものが天皇であるべきだ」という
新しい考え方を提示しました。
これは「御簾の内」に天皇を幽閉して、その威光だけを政治利用しようとする人々
に対する天皇から「否」の意思表示だったと私は思います。
2014年に、開催された政府主催の「主権回復・国際社会復帰を記念する式典」で、
天皇と皇后が退席されようとした際に、
安倍首相をはじめとする国会議員たちが突然、予定になかった「天皇陛下万歳!」を三唱し、
両陛下が一瞬怪訝な表情を浮かべたことがありました。
それはこの「万歳」が両陛下に対する素直な敬愛の気持ちから出たものではなく、
「天皇陛下万歳」の呪文を功利的に利用しようという
「計算ずく」のものであることが感じ取られたからでしょう。
今回も、自然発生的な敬意があれば、天皇の「お言葉」に対して
内閣が木で鼻を括ったようなコメントで済ませるられるはずがない。
天皇の本意のあるところをぜひ親しくお聞きしたいと言うはずです。
でも、「天皇陛下万歳」は大声で叫ぶが、天皇の個人的な意見には一片の関心もない。
安倍首相のみならず、日本の歴史で天皇を政治利用しようとした勢力の
ふるまい方はつねに同じです。
天皇を担いで、自分の敵勢力を「朝敵」と名指して倒してきた。
倒幕運動のとき、天皇は「玉ギョク」と呼ばれていました。
2・26事件の青年将校は天皇の軍を許可なく動かし、
天皇が任命した重臣たちを殺害することに何のためらいも感じませんでした。
8月15日の降伏に反対して「宮城事件」を起こし、「國體」護持のためには
「ご聖断」に耳を傾ける必要はないと言い放った陸軍参謀たちに至るまで、
そのマインドは変わっていません。
国家元首たる天皇に権限を集中させると同時に国民から隔離して、
事実上無力化すること。 それが改憲のねらいです。
昨年の安全保障関連法の成立で示されたように、
あるいは改憲草案の「非常事態条項」に見られるように、
安倍政権は立憲主義を否定する立場にあります。
内閣総理大臣を憲法に制約されない立場に置き、内閣が法律を起案し、
かつ執行する独裁政体を作ること。
これは端的に「法治国家」から、
中国や北朝鮮のような「人治国家」への政体変換を意味しています。
しかし、政体の変換がそこまで進むと、「同盟国」米国から反発が予測されます。
米国は中国や北朝鮮というアジアのリスクファクターの制御のために
日本と連携しようとしているわけですが、
このまま安倍政権の思惑通りに政体改変が進めば、日本は
「米国の独立宣言や憲法の価値観を全否定する同盟国」という奇妙な存在になってしまう。
「北朝鮮化した日本」はアメリカの東アジアにおける
新たなリスクファクターになる可能性がある。
それは米国としても回避したい。
確かに解釈改憲と安全保障関連法成立のせいで、
自衛隊は米国にすれば使い勝手のよい「二軍」になりました。
だから、自衛隊員が危険な任務において米兵を代替してくれることは大歓迎でしょう。
しかし、米国にとって日本はかつての敵国です。
「同盟国」としてどこまで信頼できるかわからない。
「空気」一つで「鬼畜米英」から「対米従属」に一気に変わる国民性ですから、
当てにはできない。
ですから、米国内に「安保法制で取るべきものは取ったから、
首相はもう少し米国の価値観に近い人間に替えてもらいたい」
という考え方が出て来ても不思議はありません。
改憲日程が具体化すると、「改憲は止めて欲しい」というメッセージが
かなりはっきりと示されるでしょう。
いずれにせよ、全面改憲の最後のハードルになるのは野党ではなく、
天皇とホワイトハウスでしょう。
日本が民主主義の主権国家ではなく、君主制を持つ米国の属国である
という現実が、そのとき露呈されるわけです。
◆http://www.asyura2.com/16/senkyo212/msg/556.html
投稿者: 赤かぶ 日時: 2016 年 9 月 09 日igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
◎圧勝? 蓮舫新代表の問題は国籍ではなく 野田元首相の影(日刊ゲンダイ)
▼http://asyura.x0.to/imgup/d5/242.jpg
☆http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/189564
2016年9月9日 日刊ゲンダイ 文字お越し
☆小沢一郎を切り捨て、国民を裏切り、不可解な解散を断行した総括もせず、
今なおのうのうとしているA級戦犯とのきわめて怪しい関係が問われている
15日の民進党代表選まで1週間だが、盛り上がりに欠けたまま、
二重国籍疑惑で炎上中の蓮舫代表代行(48)が逃げ切りを決めそうだ。
時事通信の調査によると、投票権を持つ国会議員147人のうち、
蓮舫を支持しているのは73人と半数に達する。
前原誠司元外相(54)支持は、自身のグループや旧維新の党の一部など33人で、
玉木雄一郎国対副委員長(47)は22人にとどまっているという。
民進党の代表選は、国会議員147人が1人2ポイントずつで計294ポイント、
国政選挙の公認候補予定者は1人1ポイントで118ポイントが割り当てられる。
これに地方議員(約1600人)の計206ポイント、
党員・サポーター(約23万5000人)の計231ポイントの投票を
比例配分して勝敗が決まる。
すでに国会議員票で圧倒する蓮舫だが、毎日新聞の調査では、
地方議員票、党員・サポーター票でも蓮舫が6割を取る見通しだという。
「1回目の投票で誰も過半数に届かなかった場合は、上位2人による決選投票で、
国会議員と公認予定者のみの投票になる。
2012年の自民党総裁選で、1回目の投票で2位だった安倍さんが
決選投票で石破さんを逆転して総裁に選ばれたように、決選投票に持ち込めれば、
2位・3位連合で逆転も可能だ」
こう言って、前原陣営の国会議員は望みをつなぐが、
どうやら1回目の投票で蓮舫が過半数を得て、新代表に選ばれそうな勢いだ。
「民進党の中では抜群の知名度を誇り、
女性で40代という若さもアピールポイントになる。代表の器かどうかはともかく、
清新なイメージが党の新しい看板にふさわしいと見られていることが、
蓮舫人気の理由です」(政治アナリスト・伊藤惇夫氏)
だが、本当に蓮舫代表でいいのか。
代表選の有権者も、国民もいま一度、冷静になって考えるべきだ。
☆表紙が変わっても中身は同じ
蓮舫がダメな最大の理由は、右派から総攻撃を受けている二重国籍疑惑ではない。
蓮舫に対する国籍問題の批判は、法律論と感情論をゴチャ混ぜにしていて、
何が問題なのかをきちんと理解できていないものが多い。
ネットの書き込みなどは、ほとんどヘイトスピーチの類いだ。
騒いでいるのはネトウヨ的思考の“愛国者”だけで、
公選法上も国籍法上も蓮舫に瑕疵があるものではない。
ネットのお祭り騒ぎに便乗して野党批判をかますのが大好きな自民党の議員たちも、
この件に関しては口をつぐんでいるのが何よりの証拠である。
そんなことより問題は、蓮舫のバックについているのが野田元首相ということの方だ。
もともと野田グループの中心メンバーで、
民主党政権で野田を支えてきたのが蓮舫だった。
蓮舫には7月の都知事選への立候補を期待する声もあったが、
国会議員として代表選に出馬する道を勧めたのは野田だといわれている。
岡田代表が代表選への不出馬を表明した前日、野田と岡田、枝野幹事長ら
現執行部の面々が集まって話し合い、ポスト岡田は蓮舫でいくことに決まった。
「現執行部や党内主流派が支持していることで分かるように、
蓮舫新代表では、表紙が変わるだけで、中身は今までと同じということになる。
旧民主党で第2世代といわれた野田氏や岡田氏、枝野氏らが
完全に引っ込まないかぎり、新たな民進党に期待は持てないでしょう」
(伊藤惇夫氏=前出)
毎日新聞の調査によれば、民進党で衆院当選7回以上のベテラン18人のうち、
岡田代表ら10人が蓮舫支援に回っているという。
見栄えのする蓮舫ならお飾りにはもってこい。
陰では守旧派が牛耳り、むしろダメな民主党に“先祖返り”しかねない。
☆党崩壊の最大の戦犯がキングメーカー気取りで復権
今回の代表選で、前原は自らを民主党政権失敗の「戦犯」と称し、
何度も頭を下げている。
芝居がかったきらいはあるが、反省の弁を述べるだけまだマシというものだろう。
なぜなら、最大の戦犯がのうのうとしたまま再び党を牛耳ろうとしているからだ。
「民主党崩壊の最大の戦犯は、どう考えても野田元首相です。
官僚に取り込まれて公約違反の消費税増税に走り、反対する小沢一郎グループを追い出して、
あろうことか自公と結託して消費税増税を決めてしまった。
これほどの国民への裏切りがありますか。
その上、無謀な解散総選挙に打って出て、安倍自民に“大政奉還”したのです。
この時に与えた大量議席が安倍政権の暴走の源泉となり、
野党分裂を招いて安倍独裁体制によるやりたい放題をアシストしてきたのが
野田元首相といえる。
参院選での野党共闘にも最後まで難色を示し、自民党を利するような真似をするのだから、
まるで安倍自民の別動隊ですよ。
二重党籍か、本籍は自民党と疑われても仕方ない。
そういう野田路線の継承者が蓮舫氏であり、
蓮舫代表なら事実上の野田体制になるということです。
これでは自民党と対決できるはずもなく、野党としての役割を果たせません」
(政治評論家・本澤二郎氏)
巨大与党に対して、野党勢力を結集しなければ太刀打ちしようがないのに、
野田は共産党アレルギーを炸裂させ、かたくなに小沢の排除を主張してきた。
民進党を結成する時にも、野田は「一番足を引っ張った元代表さえ来なければ、
あとは全部のみ込もうと思っている」とか言っていた。
そういう内ゲバが国民の失望を呼び、民主党政権を崩壊させたのに、
まったく反省していない。
それどころか、党を丸ごと自民党に売り渡した裏切り者のユダが、
キングメーカー気取りでのさばっている。
☆「第2自民党」など必要ない
蓮舫代表なんて、野田の傀儡みたいなものなのだ。
この怪しい後ろ盾を駆逐しないかぎり、民主党政権の蹉跌が繰り返されるだけなのである。
「松下政経塾出身の野田氏は、財界の意向に沿って動いていたという点で、
安倍首相と同類です。 庶民の方を向いていない。
蓮舫氏が新代表になって国民の支持を得ようと思えば、
まずは野田氏との決別をアピールするべきなのに、よりによって
『自分はバリバリの保守』などと言って悦に入っているのだから話になりません。
だいたい、今回立候補している3人全員が保守を自任し、
自民党みたいなことを言っていて、どうかしているとしか思えません。
消費税は上げる、改憲にも賛成、原発再稼働は容認、辺野古の新基地も賛成……。
これが野党第1党の政策ですか。
安倍自民と同じじゃないですか。
自民党の二番煎じをやっていて、国民の支持が集まるはずがない。
なぜ、反自民の受け皿を求める国民の切実な声が分からないのでしょう。
自民と対決して追い込むのではなく、第2自民党を目指す路線の大ボスが野田元首相です。
党としての存在意義を失った元凶である野田氏がのさばっているかぎり、
民進党は自民党に同化して埋没していくほかありません」
(本澤二郎氏=前出)
本来なら、野田は死ぬまで蟄居謹慎でも仕方ない身なのに、
蓮舫の後見人として完全復権。 そんな民進党に未来があるか?
なぜ、党内から「野田を除名しろ」という声が上がらないのか不思議なほどだ。
蓮舫・野田体制で自民党化が進めば、「自民党だけには投票したくない」と、
目をつぶって民進党に投票してきた反自民の有権者も離れていく。
党崩壊のA級戦犯がデカイ顔をしているかぎり、この党は変わりようがないが、
蓮舫の圧勝予想に有権者の不信感は増す一方だ。
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