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徽宗皇帝のブログ

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新国富論 4
4 通貨の信頼性

「国富を増やすのがそんなに簡単なら、アフリカあたりの最貧国が貧しさに苦しんでいるのはどういうわけだ。お前が言うようにお金をどんどん印刷した結果が、年率2万パーセントとかいう大インフレになっているではないか」
と、このような批判をする人もいるだろう。当然の疑問であるが、その疑問にお答えしよう。
まず、お金とは何か。お金とはただの紙切れで、それ自体に価値があるわけではない。お金が様々な物品と交換されるのは、お金に対する信頼があるからである。その信頼とは、実はそのお金を発行している国への信頼だ。だから、ソ連は大国だったが、その崩壊の際にはルーブルは大暴落した。
お金への信頼性とは、「私が受け取るこのお金は、いつでも私が望む物品に、あるいは他国のお金に、妥当なレートで交換できる」ということである。その信頼を我々はふだんは意識していないが、その信頼があって、我々は貨幣経済生活を営んでいるのである。
では、たとえば国家が破産寸前のジンバブエドルを受け取る時に、我々はそういう信頼感を持てるだろうか。どうしてもジンバブエドルで受け取らざるを得なくなれば、一刻も早く、それを他の通貨に換えたいと思うだろう。以前のレートより損してでも、他の通貨に換えようとするだろう。これがジンバブエドルの貨幣価値がどんどん低下し、インフレになる理由である。つまり、その国の政治状況や経済状況などへの信頼性が、その国の通貨への信頼性となるのである。反欧米的指導者であるムガベによって反欧米的政策を取っているジンバブエは、国際経済を支配する白人たちのために、あらゆる手段で経済的窮乏に追い込まれているのである。ムガベ独裁者論など、欧米支配層の指示で欧米ジャーナリズムが書いているに決まっている話だ。(このあたりの事情は藤永茂氏のホームページ「私の闇の奥」にくわしい。このホームページは、アフリカの政治についての貴重な知識が得られるホームページであるので、ぜひ、一度訪問してみるのがよい。)
日本の場合は、その産業への高い信頼性によって、日本円への信頼がある。あるいは、潜在的には世界一の信頼性かもしれない。その信頼を揺るがすものはただ一つ。日本がアメリカに従属していることである。アメリカが破産する前に、アメリカは日本からの借金をすべて踏み倒すはずだと、世界中の人間は思っているだろう。
だが、それでもアメリカよりは日本への信頼のほうがあると思われる。それは、人間にたとえればわかるだろう。道楽者の亭主にしっかり者の女房が貢いでいる図である。女房がいくら稼いでも、それは旦那の飲み代とバクチ代(要するに、アメリカの戦争と投機)に消えるが、それでも、そうした女房に同情する人もいるはずだ。「あの旦那と別れさえすればねえ」と世界中の人間は思っているだろう。この女房、旦那の暴力が怖いので、いつまでも一緒にいるのだが、あいにくこの二人を穏便に別れさせる時の氏神はまだいない。

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