https://ameblo.jp/namachocoponzu/entry-12809928275.html
<転載開始>
こんにちは!生チョコぽん酢です。
今日は私が介護保険事業を長年経営していく中で見えてきた、介護業界を駄目にしてしまった構図について主観を述べようと思います。
以前に介護業界の人手不足については記事にしたことがありましたね。
介護業界というのは、基本的に人手不足です。
人手不足というのは、求人広告を出しても働き手が来ない現象を言います。
上記の記事でも書きましたが、知り合いが経営している訪問介護事業所では、ヘルパーを時給2000円で募集しても応募が無い程、酷い状況になっていました。
こういう話を聞くと「どうして働き手がいないの?」という疑問が沸くはずです。
介護の仕事が3Kと言っても、世の中にはもっときつくて安い仕事が五万とあります。
さらに言うと、介護の世界はブラックと思われがちですが、介護保険事業というのは行政事業を業務委託されて行っているようなものですから、仕組み上行政並みのホワイトさがなければ指導の対象。
つまりほとんどの介護事業所はホワイトです(中には例外もありますが)。
こういう説明を受けると更に謎が深まってしまいそうですが、結局のところ働き手は結構いると思います。
働き手がいるのですが、働き手が来ない、という状況が介護業界、もっというと医療業界なのです。
これは人材派遣会社に仕事の専門性につけこまれた結果だと私は認識しています。
今朝、こんなニュースを見ました。
ようするにお祝い金を出して転職を促していた、ということです。
これは当たり前にありすぎて、初めて読んだ私はピンときませんでしたが、実は最近禁止行為になったようですね。
>お祝い金を出して転職を促すことは、すべての業種において、2021年4月に職業安定法に基づく指針で禁止された。
へぇ。
でも実際いまだにこんなのは横行しているでしょう。
私が経営していた頃は腐るほど見かけました。
雇用して一定期間で退職。
退職すること自体はよくあることですが、その人が派遣会社や仲介サービスを通していたとなると一気にきな臭くなります。
説明するまでもありませんが、転職するだけでお祝い金がその都度貰えたわけですね。
お祝い金を出しているサービスなんてゴロゴロありましたから、困ることはありません。
こうして人手が定着しない現象を、より深刻化させていたわけですね。
当時の私は「こんなのがまかり通るのだから、国もグルなんだろうなぁ」と思っていました。
更に問題はこれだけではありません。
元も子もない話になるかもしれませんが、そもそも人材派遣会社が人材を抱え込まなければ、求人応募が来ないなんて現象は無くなるということです。
確かに人材派遣会社を通すメリットはありますよ。
人材って本当にギャンブル性が高くて、面接なんかでは何もわかりません、実際に働き始めてみると「やべぇの引いちゃった」なんてことはたくさんあります。
やべぇのを引くとどうなるか、それは人手が必要だから困っている現場が、さらに困るということ。
元々いた職員達に、逆にしわ寄せがきてしまう構図になるのですね。
その点人材派遣会社から派遣してもらうと、ハズレ率が減ります。
これは経営者によって色々な経験談があるかもしれませんが、少なくとも私は確実に質が高いと思うのです。
ハズレを引いたとしてもすぐチェンジできますし。
特に看護師ね。
大きな会社組織(そして第三者)を挟むことで、きちんと事前の打ち合わせ通りの仕事はしてくれるし、派遣されてくる側の職員も直接雇用ではない分、
些細な問題点を大きな問題点としてわめき散らすようなことはしません(直接雇用でやべぇのを引くとよくあります)。
働く側も辞めたければすぐに辞められるし、働き方も自由ですから、直接雇用よりも気楽に働ける面があるので、ある面ではお互いWinWinなのですが。
全体像を見たら全然そんなことはないのです。
例えば給与。
そもそも介護の現場に来る看護師って肉体労働をしてくれない分、あまり頼りにならないのですが、人員基準があるので仕方なく、私は派遣で看護師を雇用していたのですが、その時の相場は時給にして3000円強。
たけぇ
もちろん高いけど良い人材が来て、最終的に会社の生産性があがるのなら、投資だと思ってじゃんじゃん雇用できますけど、
介護保険事業(医療も同様)というのは予め稼げる金額というのが決まっていますので、生産性を上げられるような仕組みではありません。
極端な話をしますが、よほど尖ったことをしない限り、誰が働いてもそこまで売上が変わらないのが医療介護の仕事なのですね。
(だからサービスの質を外部から上げろ上げろと圧力を掛けたら駄目、優しさ搾取といいますか身を削ることになるので)
(それにどちらにしても、介護に限らずサービス業の質は必ず低下していきます)
だから人件費や経費を上手に削っていくことが、介護保険事業を経営するコツ(健全に利益を出すコツ)だったりします。
そういう視点で見ると派遣は高過ぎるのですね。
しかも丸々派遣職員さんに入るのかと言うともちろんそんなことはありません。
時給1000~円程度は派遣会社のマージンになりますから、時給2000円前後で働いているようなもの。
直接雇用なら有休だってつくし、場合によってはボーナスだってつくし、クビになりづらくなるし、昇給だってあり得るわけですから、中長期的に見たら働く側が損をしているのは言うまでもありません。
一方の派遣会社は毎日大勢を派遣するだけで、1人ひとりが1時間ごとに1000円(専門性が増すほど更に高額)を送ってくれるわけですから、仕組み上はいくらでも生産性を上げられるのです。
実際はもう飽和状態で軌道に乗らない会社も多いですけど、元締めみたいなところは目ん玉飛び出るような金額を安定して荒稼ぎしています。
ねずみ講みたいですよね。
結局、派遣会社によって事業所側は人手不足になり、派遣会社に頼らざるを得ない状況となり、更には人件費の増大により利益も減っていく。
利益が減少すれば事業の軸になる直接雇用者へのボーナスも減るし、場合によっては上げられるはずだった給与も上げられなくなり、処遇が悪くなる。
また冒頭説明したような理由から定着率も低下しており、人員が厳しくなったら派遣会社に相談する、みたいな。
負のスパイラルです。
だから冒頭で紹介したような手法には、働く側のモラルの低下といいますか、本当に反吐が出ていて、よくこんなことがまかり通るものだなと、昔から周りに愚痴をこぼしていました。
結果的に「2021年4月に職業安定法に基づく指針で禁止」となったようですが、どこまで締め付けられるかでしょうね。
人材派遣会社に限らず、どの業界の元締めも大抵貴族階級(その大半が明治以前ではなく、明治維新以降に生まれたと思われる)ですから、ガス抜き程度のパフォーマンスしかなされないというのが、支配された日本社会の構図です。
さらに言うと、直接雇用制度にも本当に多くの問題があるので、直接雇用こそ正義だということも言えません。
やはり何事も国や行政に期待しないのが吉です。
私はブログでヤイヤイ言うだけで、期待はせずにつつましく生活していこうと思います。
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