社会主義(しゃかいしゅぎ、英: socialism)は、個人主義的な自由主義経済や資本主義の弊害に反対し、より平等で公正な社会を目指す思想、運動、体制[1]。
つまり、社会の平等と公正をめざすのが社会主義であるわけで、社会上層部(上級国民)にとっては、自分の財産や資産の減少に結びつく危険思想となるわけだが、社会の一般国民にとっては益にこそなれ、何一つ損になることのない思想であるわけだ。ところが、下級国民の中にも社会主義嫌い、という人は多い。まあ、それだけ洗脳が行き渡っているのだろう。
もちろん、社会主義の「平等と公正」の理念が達成された国は現実にはない、と言うかもしれないが、それは「合格点」がどのあたりかによる。寡聞によると、フセイン時代のイラクもカダフィ時代のリビアも、資本主義社会からは独裁制だと言われながら、かなり高水準の福祉社会を実現させていたという。キューバも、貧しいなりに「平等と公正」の点では素晴らしい社会のようだ。
社会主義
社会主義(しゃかいしゅぎ、英: socialism)は、個人主義的な自由主義経済や資本主義の弊害に反対し、より平等で公正な社会を目指す思想、運動、体制[1]。
歴史的にも社会主義を掲げる主張は多数あり、社会改良主義、社会民主主義、無政府主義、国家社会主義なども含む[2]。
用語[編集]
「社会」の語源は「ラテン語: socius」(友人、同盟国などの意味)である。「社会主義」の語の最初の使用は諸説あるが、「自由、平等、友愛」の語を普及させたピエール・ルルーが1832年に「フランス語: personnalite」(個人化、個別化、パーソナライズなどの意味)の対比語として記した「フランス語: socialisme」(直訳では「社会化する主義」、社会主義)が最初とも言われており[1]、ルルーは1834年には「個人主義と社会主義」と題した文書を発行した。他には1827年のアンリ・ド・サン=シモンなどの説があるが、いずれもフランス革命の流れの中で発生した。「社会主義」の語は、後の近代的な意味では色々な主張により使用された[1]。このように歴史的には「社会主義」の語は主に、個人主義的な自由主義やそれを基本原理とした資本主義などの対比概念として使用されている。
概要[編集]
「社会主義」にはさまざまな定義や潮流がある。狭義には、生産手段の社会的共有と管理を目指す共産主義、特にマルクス主義とその潮流を指す。広義には各種の社会改良主義、社会民主主義、一部の無政府主義、国家社会主義なども含めた総称である。
歴史的には、市民革命によって市民が基本的人権など政治的な自由と平等を獲得したが、資本主義の進展により少数の資本家と大多数の労働者などの貧富の差が拡大して固定化し、労働者の生活は困窮し社会不安が拡大したため、労働者階級を含めた経済的な平等と権利を主張したものとされる。市民革命と社会主義運動は、啓蒙思想と近代化では共通であるが、初期の資本主義が経済的には自由放任主義(夜警国家)を主張したのに対し、社会主義は市場経済の制限や廃止、計画経済、社会保障、福祉国家などを主張する。
なお、社会主義を含む19世紀の社会改革運動は、生活環境改善などの物質的な側面だけでなく、理想社会(世俗的千年王国)の建設という主題を含む精神運動でもあり、同じ主題を持つ精神運動であった心霊主義と当初から密接な関係を持っていた[3][4]。
第一次世界大戦後にロシア革命が起こり、世界最初の社会主義国であるソ連が誕生した。第二次世界大戦後は社会主義陣営と自由主義陣営の間で冷戦や、朝鮮戦争、ベトナム戦争などの代理戦争が続いた。西側諸国内でも資本主義勢力と社会主義勢力と社民主義勢力の対立が生まれ、東側諸国でもソ連型社会主義と自主管理社会主義の対立、中ソ対立などが起こった。一方で非共産主義諸国でも、西側諸国でのニューディール政策など混合経済化が進んだ。
共産党の一党独裁のもとに中央集権型の官僚制が構築されたソ連型社会主義は、ソ連から東欧、東アジア、中東やアフリカの一部に拡大したが、特にブレジネフ指導体制の成立後は停滞する。1989年には東欧革命が勃発、1991年にはソ連が崩壊し、ソ連型社会主義のイメージは世界的に失墜した。現在、共産党一党支配が続く中華人民共和国やベトナムは市場原理の導入を進め、事実上の混合経済体制を築いており、経済発展が著しい。しかし、北朝鮮は市場原理の導入を拒否し、経済的に停滞している。
他方、社会民主主義と呼ばれる勢力は、第一次世界大戦後も共産主義者に批判されながらも西側諸国の議会で勢力を拡大した。イギリス労働党、フランス社会党、ドイツ社会民主党などが代表的なヨーロッパの社会民主主義政党である。これらの政党は自由主義と民主主義を擁護し、ソ連型社会主義の独裁に対して批判的な態度をとり、第二次世界大戦後は社会主義インターナショナルを結成した。1980年代に新自由主義の台頭により一時党勢を後退させたが、市場原理に一定の評価を下した「第三の道」(ブレア)などの路線によって1990年代には勢力をもりかえし、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、北欧諸国などでは度々与党の座についている。
また、植民地から独立した第三世界では、社会主義を掲げる国々が多い。有名なのはインドであり、インド憲法には「インドは社会主義の国である」と明記されている。インドの西ベンガル州やケララ州では度々インド共産党が州政府に選出されている。また、中東のイラクやシリア、リビアなどではアラブ社会主義のもとに一党支配がなされていたが、2003年のイラク戦争や2012年からのアラブの春によってこれらの独裁政権は崩壊したか、崩壊寸前である。また、キプロスやネパールでは共産党系の政党が与党となって国政を担っている。
新自由主義に苦しめられた中南米諸国では、21世紀に入って社会主義政権の伸張が著しい。ベネズエラなどでは選挙を通じて社会主義を掲げる政権が成立し、社会主義路線を進めている。反米左派という点では、ベネズエラの路線は、キューバ、ニカラグア、エクアドルの諸政府と一致している。また、ブラジルでも一種の社会民主主義政党である労働党が政権を担当し、社会的公正と経済成長を同時に推進している。
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