アメリカ主導の西側陣営からロシアの2014年3月のクリミア(ウクライナ)併合を侵略と見なされ、以後ロシアは様々な経済制裁を受けてきた。
その結果2014年前の経済成長5%は1%以下に低下した。
今回のロシアのウクライナ侵攻で、従来の経済制裁に加えて最大の制裁と言われるSWIFTからの除外措置を受け、国際銀行間決済が出来なくなった為ロシア経済は多大な被害を受けることになった。
ルーブルは一時対ドルで80%も下落、国内ではインフレが加速、国民は生活苦に追いやられている。
西暦10世紀以来ロシアは大ロシア、ウクライナは小ロシアとして同胞であったが今回のロシア軍事侵攻で国民の対露同胞意識は敵愾心に変わってしまった。
国際的孤立、経済破綻、国民信頼感喪失等々の代償を払わされながらプーチンは段々西側陣営に追い詰められているように見える。
私はトランプ前アメリカ大統領と同じくプーチンは天才政治家だと思っている。
このままおとなしくしているわけがないと思っているところ、プーチンは実に巧妙な手を打ってきた。
ロシアのSWIFT除外で懸念されていたロシア国債のデフォルト(返済不能)問題が市場で騒がれた。
3/16:1億1,200万ドル(約138億円)、3/21:6,600万ドル(78億円)、3/31:4億4,700万ドル(527億円)が返済されるかどうか懸念されたが、意外にも総てドルで返済されたので、一応ロシア国債デフォルト懸念は払拭された。
市場に安心感を与えておいて返す刀でロシア財務省は、4月4日の今までの最大金額21億2,900万ドルの支払いは3月31日のドル対ルーブルの市場レートをベースにしたルーブルで買い取ると発表した。
同時にプーチンは「今後非友好国(ロシアに制裁を加えている国)がロシアから天然ガスと原油を購入する場合、ルーブルで支払う事」と発表。
ほとんどすべての国はドル又はユーロで支払う契約になっているが、プーチンは一方的に違反し、ルーブルによる支払いを強要した。
欧州諸国のエネルギーの30ー40%はロシアに依存しているので背に腹は代えられないのでドル又はユーロを売ってルーブルを調達せざるを得ない。
国債の返済でルーブルを受け取ったらルーブルを売りドル又はユーロを買うからルーブルは下がるが、国債の額など問題にならないほど多額の原油・天然ガス代金調達の為ドル・ユーロを売ってルーブルを買わねばならなくなるからルーブルは高騰し、将来期日が来る国債を高いルーブルで安く買い取ることが出来る。
プーチンは内心バイデンに「もっと制裁を強化してくれ」と頼んでいるのではないか。
バイデン主導の日本を含む西側陣営は対露制裁と言う名の自殺行為に走っているも同然。
プーチンのバイデンに対する反撃の真の狙いは「ドル覇権壊滅」である。
プーチンは「ロシアに対するSWIFT除外は対露宣戦布告である」と述べている。
SWIFT騒ぎは序の口で、いざとなったら手持ち外貨準備3,860億ドル(約40兆円)を市場で叩き売るまで。
報復攻撃で国民を犠牲に出来ないからロシアや中国に対して核の先制攻撃が出来ないアメリカや欧州。
国民犠牲など気にしないで何時でもアメリカや欧州に核の先制攻撃が出来るロシアと中国。
ロシアがドル資産を市場で叩き売れば、ドル崩壊必至!
アメリカも欧州もロシアにどんな制裁を掛けても、又ロシアを支援する中国にSWIFT制裁を掛けても「糠に釘」。
政治は背中に匕首を突きつけた者の勝ち!
明日4月1日、中国国営シンクタンクと人民銀行のお偉方とざっくばらんの話をすることになっている。
日本時間午後5時過ぎの「増田俊男チャンネル」(無料)をお楽しみに。
★Youtube「増田俊男チャンネル」にて毎日動画配信中!
視聴方法:Google、Yahooなどから「増田俊男チャンネル」を検索して下さい。
コメント