政府が、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設で沖縄県の翁長雄志知事による移設阻止に向けた権限を無力化する検討に入ったことが20日、分かった。翁長氏は辺野古移設をめぐる訴訟の判決確定後も抵抗を続け、設計変更承認など3つの知事権限で移設を阻止することを想定。政府の無力化は対抗策となり、攻防は第2ラウンドに移った。
翁長氏は移設を阻止するため(1)設計変更(2)サンゴ移植(3)岩礁破砕-で権限行使を念頭に置く。政府が申請をしてきても、許可や承認を拒否することで移設工事を遅らせたり、阻止したりできると強調している。
それを踏まえ、政府は対抗策の検討に着手した。
3つの知事権限のうち設計変更について政府は申請をしないことで無力化する案が有力。辺野古移設と同時期に前知事の埋め立て承認を得て工事が進められている那覇空港の第2滑走路建設は公有水面埋立法に基づく設計変更申請が3月に1度、翁長氏の承認を得ているが、辺野古移設では設計変更なしで工事を進め、知事権限行使を封じる。
埋め立て区域のサンゴを移植する際には知事の許可が必要になる。これについても政府は許可を得なくても当面の工事を進められる方策を検討している。
岩礁破砕は埋め立てなど海底地形を改変する行為で知事の許可が必要。平成26年に前知事が出した許可は29年3月で期限を迎える。
辺野古よりも埋め立て区域のサンゴが多いとされる第2滑走路建設では、辺野古に先立ち29年2月に岩礁破砕許可が期限を迎える。翁長氏が第2滑走路建設だけ許可を更新し、辺野古移設で更新しなければ公平性が問われる。知事権限の乱用と判断すれば、政府は損害賠償請求や代執行を視野に入れる。
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