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徽宗皇帝のブログ

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通貨価値は国民心理で左右される
「混沌堂主人雑記」所載の「Deeply Japan」記事(の一節)だが、MMTについて好意的ではあるが、その懸念される部分も書いてあって、実に問題の的を射ていると思う。

私は中学生頭脳なので、昔から、江戸時代の貨幣改鋳で幕府財政が悪化した(表面的に一時良化しても、大局的には良くない政策だった)とか書かれた歴史書を読むたびに不思議な気がしたのである。政府(幕府)が公認した貨幣を国民が拒否して使わない、というのは、貨幣自体の質を問題視したということなのだろうが、現在のように、紙幣という「只の紙きれ」を有難がって大事に使っている時代(もうすぐ、紙幣もただの電子情報だけになる)の人間には、貨幣の質にこだわること自体がナンセンスに思えるのだ。(もちろん、贋金作りの問題もあるからこれは一面的すぎる言い方だが。)
少なくとも、鎖国状態であれば、政府(幕府)がこっそりと大量に紙幣や貨幣を発行しても、あるいは貨幣改鋳をしても、その価値が目に見えて下落することは無いだろうに、そうなるというのが私には奇妙なのである。カネはカネ自体に価値があるのではなく、何かと交換できるというところに価値があるのだから、カネ自体の品質をなぜ問題視するのか、ということだ。開国し、国家間自由貿易体制なら、他国通貨との交換レートの問題も出てくるだろうが、鎖国状態でなぜインフレになることがあるのか。実際なったではないか、と言われたら、それは当時の人間の「貨幣」への固定観念(貨幣品質が一番大事という思想)のためだったと思う。つまり、通貨価値は国民の心理で大きく動くということだ。
まあ、上に書いたような疑問を持つこと自体が「中学生レベル」だと馬鹿にされるだろうが、理解できないのは理解できないのだから仕方がない。
そういう観点からすると、MMTという(「MMT理論」という言葉は、たぶんTがtheoryの略だろうから、重言になるような気がする。)考えは、ごく当たり前のことを言っているように思われるのである。紙幣や貨幣の価値は、政府がその交換性を保証するところにあり、その政府に信頼がなければアフリカの小国のようにとんでもないインフレになる。そのインフレもつまりは心理的な原因によるのだから、ヒトラーの政策のように、単なる通貨切り下げ(新通貨の使用)を行うことで一気に沈静化することもあるわけだ。その沈静化とは、当時のドイツ国民がヒトラーの政府を信頼したという証拠なのである。ただし、それで別に私がヒトラーの非人道的政策まで肯定するわけではないのはもちろんだが、ヒトラーの名前を出しただけで死刑にされそうな欧米ならいざ知らず、今の日本ならまだ当分は大丈夫だろう。

(以下引用)容量の関係で行間を詰め、あるいは一部カットする。


DEEPLY JAPAN  より

上記文抜粋
・・・・・・・・・
MMT・国家主権・IMF/世銀体制

世間ではそれほど話題になっているとはいいがたいが、ネット上ではMMT理論をお奨めるする説がたくさん出ていて面白い。

(中略)

そうそう、反緊縮の問題、特にギリシャでの騒動からこの線で考えればいいんだとなっていったように思う。

偶々数日前、ギリシャで盛大にギリシャ人を裏切りまくったチプラス政権が大敗北して、その後もっと簡単なアメリカ様的にOKな人が政権を取ったようだ。

(中略)

なんとなくこれは、シラクの次にサルコジが来て、シュレーダーの次にメルケルが来た、とか、鳩山の次に野田が来たみたいな経緯を思わせる。出来る限り国民の利益をといった風味のある人は蹴落とされるのが現代の世界の大部分のところにおける流儀。悲しいことではあるが。

さてしかし、なぜこういうことができるのか。あるいは易々と出来るようになったのか。

それはやっぱりブレトンウッズ体制のなせる業ではなかろうか。つまり、ここで出来たIMF/IBRD(その他含めて併せて世界銀行)が、融資と経済危機を機会として各国の政策を規定して、調整して、あるいは融資の条件にして、アメリカ主導の世界を築いてきたわけですね。

その際に、米軍やNATOというのはこれを「推進する」ための暴力装置だったのではなかろうか。そもそも、古くはマクナマラや、一極支配で有名なポール・ウォルフォビッツなどは世界銀行の総裁のポジションを取ったことがある。つまり、国務省のような文民っぽいところだけでなくそもそも米国防総省がこれらの「世界制度を支配する」機構の一部だったんだなという感じなんですよ。

私の感じだけでなく、こういうことに滅法明るいエコノミスト、マイケル・ハドソンが最近もボニー・フォークナーのラジオでその説明をしていたばかり。氏によれば、世界銀行はそもそも軍の一部として設置されている。初代総裁のJohn J. McCloyは、Secretary of War(戦争長官/陸軍長官、1947年までこういう役所があった)でヘンリー・スチムソン陸軍長官の下で補佐官だった人だよ、と。




日米安保条約やそれに付随する条約諸々もそもそも原案は米国防総省が書いてるらしい、という話を思い出すだに、なるほどな、って感じがしている今日この頃。





といったことから考えると、MMT理論の出現と、それに伴う、

  • ・通貨発行権のある政府にデフォルトリスクはまったくない。通貨が作れる以上、政府支出に予算制約はない。インフレが悪化しすぎないようにすることだけが制約である。
  • https://toyokeizai.net/articles/-/281897?page=2

といった認識というのは、IMF/世界銀行による影からの支配を真っ向から否定することになるとも言えますね。

ある意味で、それはつまりこの支配方法に疑念を持って、戦勝国だが別の道を取ったソ連は真に独立の道を言ったがために狙われ続けたという解釈も十分に成り立つのではないの? 国家主権を重んじる派は右派に多いはずだが、この件についてはどう考えるんでしょうか。考えると笑いが出る。



MMT推奨派は、やたらに中央銀行のことだけを言うけど、それだけが問題ではないでしょう。

通貨をどれだけ発行してもデフォルトリスクはないというのはいいとしても、その通貨を使って他国の他通貨と貿易する場合、あまりにも刷りすぎた国の通貨は当然値が下がることが考えられるわけで、必需品の輸入国の場合、ここにあるインフレのリスクはどうなるんだろう、というのも考えるべき課題じゃないですかね。

また、現在既に借金を背負ってる国は、その借金の通貨に対して自国通貨が暴落した場合、借金の返済が大変だ、というのもある。

途中から標準化された変動相場制だって見直すべきかもしれないし、文字通りmoney on moneyのFXにも規制が必要かもしれない。



MMT推奨派が言っていることを最も直近にやりやすい国は、ロシアでしょう。財務が安定している借金の少ない国で、やろうと思えば自給できる。つまり、通貨安から他国からの食糧の調達に困難をきたし、国内がインフレになる、といったリスクが小さい。

逆にいえば、基礎的な物資を輸入に頼っている国にとっては、今まで忘れていたリスクが顕在化する、ということもあるでしょう。



といって私は別にMMT推奨派を非難しているわけでもないし、できないというわけでも、やるなと言うわけでもない。むしろ、進展ぶりを頼もしい気持ちで見ている。でも、現実に調整すべきことは結構大変だよ、と思う。

また、アメリカにとってのそれと他国にとってのそれは同じではない。

アメリカは、自分の国はむしろ、IMF/世界銀行による支配構造の影響を受けていない。なぜならこれは、アメリカを本拠地としてその他世界をアメリカ主導の国々からなるシステムに導入しようという話だから。

アメリカの農業補助金はOKなのに、他国がやると社会主義だといって叱られる、みたいな話も問題はここにひっかかっている。なぜなら、農業という重要な産業もまた、他国を従わせるための道具だから。

その他の国はこのシステムのターゲットになる国なので、この支配構造の影響を70年受けてきている。それにつれてどの国の支配層も万遍なく「ワシントンコンセンサス」、つまり、アメリカさん主導のシステムを維持することを自分の務めみたいな発想になってる。

別の言い方をすれば、そうできない人たちは排除されてる。ということは、各国の人材を回復させるまでにはそれなりの時間がかかるともいうのじゃなかろうか。

もちろん、そうはさせじとまたまた「一極支配」を諦めない派が頑張るだろうし。



いやしかし、楽しい時代に巡り合えたものだわ。西邊邁さんにはあと10年ぐらい生きていてほしかった。








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