現代資本主義の根本構造が分かりやすく書かれている。
要するに、無数の庶民のカネを大金持ちが吸い上げる仕組みである。
連邦準備制度ができて以来、デフレの期間が一度も無かったと言うのは恐るべきことではないだろうか。つまり、カネの実質価値は毎年目減りしているわけで、平均給与の増加が無ければ、一般大衆は貧困化していくという基本構造なのである。
表面的には、第二次大戦後の世界的な消費需要にアメリカの製造業が応えたことで1950年代から60年代の好景気があったため、この構造は長い間目につかなかったのだろう。
その黄金期が過ぎ、アメリカの製造業に他国が追いつき、追い越したことで、米国の貧困化は目立ってきたわけだ。
何よりも、「インフレで儲けるのは借り手側である」「銀行は貸し手ではなく借り手である(預金者全員が貸し手)」「デフォルトによって儲けるのは借り手(政府や銀行)である」という基本事項を多くの人が知っておくべきだろう。
もちろん、銀行の有用性もおおいにあることは認めるべきだろうが、銀行に預けることで資産を増やす、という思想はもはや破綻していることは明白だろう。現在の低金利では、インフレによるカネの価値の低下を補えないのだから。(現在がデフレの状態だ、というのは「ためにせんがための論」ではないか。簡単な話、コンビニ弁当の価格など、数年前なら300円程度の弁当が軒並み500円から700円ほどもしているのを見れば、この数年で物価は50%以上上昇しているというのが私の観測だ。)
(以下引用)
1913年に設立されたこの連邦準備制度は、ほんとうに小手先のまやかしの集大成みたいな組織でした。
「アメリカ全土に12の連邦準備銀行という銀行を設立するので、これは独占ではありません。安全です」と名目上は謳っています…(中略)…
…しかし、実は連銀の頭取は、すべて連邦準備制度理事会が任命するのです。
その連邦準備制度理事会は、金融業界の親玉たちの互選で選ばれます。
選挙で選ばれるわけではありません。
大統領には一応、形式的な任命権がありますが、実は金融業界の言いなりです。
…アメリカの連邦準備制度は、中央銀行という組織が、実は政府に送り込まれた金融機関の利益代表であることを一番よく表しているのだと思います。
アメリカという国そのものが、植民地利権でできあがった社会なのです。
ですから、独占権に対する敏感さが。他の国とは全然違います。
「独占できれば、ボロ儲けできるし、自分たち以外にそういう奴らが存在することは許されない」と考える人たちが大統領府にも、議会にもたくさんいました。
また、小規模自営農や徐々に当時増えつつあった工場労働者たちも独占の弊害は身に染みていました。
それで、正面から「通貨発行権を独占します」と言えなかったわけです。
大手金融機関や勃興しつつあった巨大産業資本家たちのそれぞれの利害にやっと折り合いがついたのが、19世紀末から20世紀の初め、とくに、1907年の大恐慌のときです。
それは、1929年の大恐慌と同等以上のインパクトがあって、パニックが生じました。
その当時、アメリカで最有力だった金融業者が、J・ピアポント・モルガンでした。
1907年代恐慌時に、秘密会議の場所を提供した人物です。
「もし放置していれば深刻な大不況に発展していたかもしれない恐慌の蔓延を、モルガンが独力で防ぎとめた」という伝説が、まことしやかに流されました。その後も、
「モルガンがいなければ、もっと大変なことになっていた。モルガンのような人物がいつもいるとはかぎらないのだから、危機を防ぐ組織がなくてはならない」
という世論を、マスコミや議会に浸透させていって、連邦準備制度設立へとこぎつけていったのでした。
さあ、それでそのあとアメリカはどうなったでしょうか?
簡単にいえば、金利も債権価格もものすごく乱高下するようになり、慢性的なインフレになってしまいました。
連邦準備制度設立前にも、インフレ率が急騰することはありましたが、その後はデフレでした。設立前の全期間を通じ、43%がデフレで、57%がインフレでした。
1913年に設立し、翌1914年に開業して以来、デフレの期間がなくなってしまいました。
「通貨の番人」「物価の番人」を自称している彼らが実際にやってきたことです。
要するに、通貨の発行量が多すぎるのです。
なぜこんなことをやるのか?
インフレで、トクをする人たちがいるからです。
インフレ環境下では、借金をすればするほど儲かります。(何にもしなくても儲かる…)
そんな巨大な借金ができるのはだれかといえば…
国、あるいは、大手金融機関、一流企業、そして大金持ちです。
こういうカネを借りる必要のない人たちには、銀行は安心して貸すのです。
庶民は基本的に借り手ではなく、貸し手ですね?
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