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徽宗皇帝のブログ

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(大磯町の)給食問題に関する「根本的」解決に導く記事
「everything you've ever dreamed」というブログから転載。記事の所在はカマヤンのツィッターで知った。
こういう記事を書けるというのがネットにおける専門家の存在意義である。無知無見識な有象無象が限られた情報に踊らされて騒ぎ立てるのがネットの常だが、私自身しばしばその有象無象のひとりであることは言うまでもない。
だが、それより罪深いのは、何かを判断するだけの知識も見識も無いのに、子供の給食という、子供の毎日の生活の安全衛生幸福感と重要な結びつきのある問題を安易に決定した当事者たちだ。ここに書かれていることを読めば、配給現場から遠く離れた地域の弁当業者を選定した大磯町の偉い連中に一番の責任があることがよくわかる。
ついでに言っておくが、昼食の内容を複雑にしすぎることが一番の問題だろう、と私自身は思っている。活動期の子供の昼食に最低限必要なのは1日(厳密には残り半日)の活動に必要なカロリーだけであって、栄養がどうとかなどはほとんど意味を持たない。そういうのは家庭の食事で確保すればいいのである。つまり、菓子パンや調理パン2個に牛乳か豆乳でも与えれば十分である。そのほうが、虫や髪の毛の混入した冷たい「料理」を食わされるより子供も喜ぶだろう。


(以下引用)


元給食営業マンが話題の「マズい」学校給食を考察してみた。

町導入の中学校給食「まずい」食べ残す生徒続々 : 社会 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)


 神奈川県大磯町の中学校給食のマズさと異常な残食率と異物混入件数がニュースになっているのを聞いてとても悲しい気分になった。なぜなら僕が長年食品業界に勤めており、一時期数年間ほどだが給食の営業を担当していたことがあるからだ。ましてや神奈川湘南西湘エリアは僕の地元。そのエリアで展開しているほとんどの給食会社は(完璧ではないものの)全体的には良くやっているのを知っている。なので、一部の業者のテキトーな仕事のせいで、学校給食はマズイ、委託最悪、デリバリーは不衛生みたいな風評が蔓延するのはちょっと我慢ならないというかいただけない。そんな義憤と、台風で外出できない状況から、なぜ大磯町の学校給食がマズくなったのか考察してみたい。先ず、契約について。公立の学校給食は通常、公募プロポーザル入札で決定される。大磯町もその例に従っている。中学校給食・調理配送等事業者を募集(募集を締め切りました)/大磯町ホームページ


給食業界の営業マンはここにある募集要項と仕様書を確認して入札に参加するかどうか決定する。この募集要項をザッと見てみるとポイントは2つ。献立作成と食材の発注は委託側(町)となっていること(つまり大磯町の栄養士が担当)。そして契約期間内の業務委託料。当該業務委託料は平成28年1月から平成31年3月末までで134,224千円。金だけの面でいえばこの金額で業務を遂行して利益を出せるか否かで給食の営業マンは入札に参加するかどうか決めるのである。1億3千万超の大金だが「こんなに金をかけてあの給食なのか」と思うことなかれ。1日当たりに換算してみる。要項に拠れば1年度における給食提供日数は180日とされている(平成28年1月から3月までは40日)。つまり契約期間内の給食提供日数は180日×3年度プラス40日なので580日。業務委託料総額134,224千円を580日で割ると1日当たりの業務委託料は231,420円。食材については町が発注調達となっているため(食材からは利益を得られない)、この金額内で1日870人分の調理盛付配送業務を行う労務費と経費をカバーし、その上で利益を確保しなければならないのである。会社によってこの規模の給食にどれだけの人員をかけるかは違うけれども、まあ普通に考えて余裕はないよね。少なくともこの業務を遂行するうえで必要な機材やスペースを新設することは難しいと言わざるを得ない(そのあたりが異物混入の遠因になっていると思う)。つまり、大磯町がこの委託金額をどういう根拠で設定したのかはわからないけれども、安全で美味しい給食を提供するには十分な金額ではない。契約形態に関していえば、食材の発注調達と献立の作成を町が請け負い、その他の調理盛付配送業務を業者に委託する方式(労務委託方式/学校給食では一般的な契約形態)の悪い面が出ている。この方式の場合、食材の発注調達と献立を作成する担当者と実際に調理をする業者と提供がなされる場所(学校)間の連絡が密に出来る環境が必要となる。今回の場合、大磯町の栄養士と委託業者(綾瀬市)と現場の距離がありすぎる。神奈川に住んでいる僕の感覚でいえば大磯町と調理業務を行う業者所在地まで1時間以上かかる。給食のトラブルで大事なのはスピード感のある対応である。なぜ近隣の市町村にある業者に委託しなかったのだろうか。不思議だ。契約形態に続いては提供方法についてだが、当該給食は調理した食事をランチボックスに盛付けて配送するデリバリー方式で行われている。つまり弁当である。クックサーブ方式(現場調理提供)と比べてコストは安く済むけれども、基本的に火を入れなければならない、適温提供が出来ないなどメニューと食材の制限が多いやり方でもある(例/生野菜→温野菜。揚げ物の多用。色どりは全体的に茶色っぽくなる。ニュースで見た当該給食も茶色っぽい)。そのデメリットを選考と導入の段階で周知されていたのだろうか。今回の大磯町のケースはさらに提供場所から車で1時間以上の工場からの配送という要因が加わる。業者サイドとしては食中毒を恐れ、弁当が傷まないようにするのが第一となって味や見た目が二の次になったのは想像に難くない。人の味覚はそれぞれなので何ともいえない部分があるけれども、大磯町の中学校給食がマズくなった理由は金額面と運営面で無理があったからだと僕は考えている。続いて異物混入の多さについて。ニュースから知るかぎり混入物が髪やビニル片や虫なので、意図的なものでないかぎり、弁当の盛付時と配送までの間で混入されたと思われる(フタ付きの弁当容器であるため、フタをしたあとは混入しない)。委託開始1年半で100件超の異物混入は異常としかいえないが、ひとつ原因があるとしたら、工程的な無理だろう。先の募集要項にこの給食業務は厚労省が策定した「大量調理マニュアル」に沿って行うとある。このマニュアルは給食業務に携わる人間にとっては一般的なものなのだが、そこには調理後2時間以内に喫食が望ましいとされていて、保健所からもそのように指導されている。2時間以内提供を守ろうとすれば、今回の場合、業者と提供場所(中学校)の間が車で1時間程度なので、調理後の盛付けはかなりのスピードで行われているはず。先述のとおり金額面で余裕はないので十分な人員を確保できるはずもなく、盛付けと確認作業は雑になっているのではないか(事実、盛付けのムラは報告されている)。また、僕のいた会社ではスタッフが目視でひとつひとつ確認していた。1日870食の弁当の目視を時間内に行うにはそれなりに労務費がかかるのである。もし少ない人員で混入チェックをするなら相応の時間が必要となり、その間、フタをするまでの時間は長くなり異物混入のリスクは高まる(古い工場なら天井からゴミや虫が落ちてきたりする)。一方、募集要項をみると金額面だけでなく時間的にもタイトなのが見て取れる。28年1月業務開始の2ヶ月前27年10月中旬に業者決定。年末年始を挟んだその2ヶ月間に先述の限られた予算内で870人分のキャパをカバーしたうえ、安全面を考慮した設備と人員の確保が出来るだろうか。安全を確保するには金と時間としっかりした導入計画が必要なのだ。最後にもうひとつ、これは大磯町特有のファクターなのだが、なぜデリバリー方式を採用したのだろうか。コスト面を考慮したのはわかるけれども、隣接する平塚市と二宮町は僕の知るかぎりデリバリー方式ではなくそれぞれ自治体でセンターを設置運営するセンター方式を採用して中学校に給食提供をしている(平塚の一部は自校式かもしれない)。平塚市はともかく予算規模的に小さな二宮町でさえ、給食センター方式を採用している、その理由について考察しなかったのだろうか。なぜ二宮町がデリバリー方式を採用しなかったのか。エリア内にデリバリー方式を安全に行える企業がないという前提条件は考慮されなかったのだろうか。この問題の根本には給食運営と安全性の確保に対する大磯町の甘い認識があったとしか思えないのだ。長々と書いてきたけど以上である。元給食営業マンから言わせていただくと、給食ナメるなってこと。ちなみに僕が現役の給食担当だったら募集要項を読んだだけで大磯町の中学校給食の入札に参加しなかったと思う。この事案は、安く済ませようとする委託側、安く受ける受託業者、実際にマズい給食を食べない両者が両者とも罪深いのだ。(所要時間50分)




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