歴史の真実を知れば、「道徳は奴隷の特権階級(貴族)に対する復讐であり、民主主義は国家支配の御用哲学である」ことが分かる。
フランス革命(1789年7月14日から1795年8月22日)の原動力は「神の前では人間はすべて平等である」とする「啓蒙思想」であった。
18世紀以来全体主義的哲学に基づく政治体制は革命や改革により民主主義的政治体制へ移行した。
民主主義体制から全体主義的体制に移行した例はないことから世界の民主化が進みやがてすべての国が民主主義体制になると論文「歴史の終わり」を書いたフランシス・フクヤマは述べている。
フランシス・フクヤマは、「世界がすべて民主主義国家体制になればイデオロギー闘争とそれによる戦争も無くなる」と結論付けている。
ヒトラー独裁のナチスドイツは第二次大戦後民主化され、西欧はすべて民主国家になり戦争が無くなった。
西欧では経済的競争関係や領土問題では戦争に至らなくなった。
民主主義が恒久的哲学であるとの認識が世界に普及されて以来軍事戦力に勝る国が戦争に勝つとは限らなくなった。
今日世界で起きている戦争はすべて民主主義と専制主義の代理戦争である。
今日のシリアで見るように、時間はかかっても民主主義を求め、独裁を廃止しようとする勢力はたとえ軍事力において劣っていても必ず何時かは勝利する。
習近平独裁の共産党一党独裁の中国も同じ運命にある。
中国はレッド・キャピタリズム(共産資本主義)と言われるが、中国で国境なき資本の活動が活発になると独裁政治による弾圧と権力乱用禁止を求める声が大きくなる。
中国の一帯一路は人民元国際市場拡大のためのグローバル戦略である。
一帯一路成功の為に必要なのは閉鎖経済では開放経済である。
やがて中国は外国為替市場を開放せざるを得なくなり、独裁体制が障害になり始める。
習近平の権威が「資本の意志」に勝ることはないのである。
結局習近平の共産党一党独裁は民主主義体制への移行プロセスであり手段であったことが分かる時が来る。
トランプの対中経済制裁は中国の市場開放を遅らせることになりアメリカが望む中国の民主化に反する。
例えトランプが抵抗しても、習近平が独裁維持に努めても「資本の意志」には勝てないことが分かるだろう。
時間の無駄を省き、効率を追及する「資本の意志」はトランプか習近平か、あるいは両者を抹殺するだろう。
目に見えない歴史の真実は残酷なものなのである。
「小冊子」Vol.145の「歴史の終わりに」(フランシス・フクヤマの論文)は我々に何を教えてくれるのかをお読み下さい。
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