宮城県内の医療機関で、新型コロナウイルスのクラスターの発生が相次いでいます。専門家はデルタ株の脅威と進まないワクチン接種を要因に挙げています。
石巻赤十字病院では、2つの病棟でクラスターが発生し、23日までに患者32人、職員15人の感染が確認されました。県によりますと院内では消毒、換気、マスク着用といった感染対策は適切に講じられていたということですが、ウイルスがデルタ株に置き換わったことで感染力が高まり、マスクをしていての会話で感染を拡大させたことが推測されるとしています。
また、仙台市青葉区の仙台厚生病院では、23日までに入院患者8人と病棟の看護師3人の計11人の感染が確認され、クラスターと認定されました。病院によりますと、21日に入院患者に発熱があり陽性だったため、同じ病棟の入院患者や看護師に検査を広げると感染が分かったということです。病院内の感染者は一つのフロアに限られていて、継続的な換気や共用部の消毒、マスクの着用など感染対策は行われていたということです。仙台市は、この病院で感染が広がった原因について調査中としています。
医療機関での相次ぐクラスターについて、厚生労働省クラスター対策班で感染症疫学が専門の東北大学・神垣太郎助教は次のように分析しています。
厚生労働省クラスター対策班東北大学神垣太郎助教「今流行しているデルタ株といわれるものは、ワクチンによる感染予防効果が60%とか80%という報告がありますが、ワクチンだけでは感染を確実に予防できないということで、これまで通りの感染管理が必要なんだと思います」
また、利用者と受け入れ側の両方でワクチン接種が進む高齢者施設では、感染の拡大事例は少ないと言います。しかし、医療機関では接種を受けていない人の利用が多いだけでなく、医療従事者の中には接種後に陽性が判明するブレークスルー感染も確認されています。
神垣太郎助教「ワクチン未接種者という存在と、ブレイクスルーといわれるワクチンを受けても感染してしまうこと、この2つが今、医療施設で感染拡大する因子だと思います。ワクチンを受けていない人を減らしていくことと、ブレイクスルーに関しては今までの感染管理をきちんと守っていくことだと思います」(24日18:51)
コメント