In Deepさんのサイトより
https://indeep.jp/xi-and-macron/
<転載開始>

通訳一人だけを同伴させ、ノーネクタイでマクロン大統領と話し込む習近平主席NY Times

ドルの死がこんな形でも進行

この1ヶ月ほど、ものすごいペースで世界の「脱ドル」への動きが加速化していることを何度か取り上げました。


ドルの崩壊が、曖昧ではなく始まった
 In Deep 2023年4月6日


アメリカ議員がドルをゴールドで裏付ける「金本位制」復活法案を提出。同時に、現在までの米国政府による金取引と、金の保有量すべてを公開することを要求
 In Deep 2023年4月8日


 


今度は、西側諸国の大きな一員であるフランスまでもが、この流れに参加してきました。


4月8日、(自国のストライキが全然解決していない中フランスのマクロン大統領が、中国を公式訪問し、南部広東省の省都である広州に赴き、習近平国家主席と「非公式会談」を行いました。


そこで、マクロン大統領は以下のように述べています。


 


「われわれはアメリカの追随者にはならない」


 


として、かなり明らかに「アメリカから離れる」ことを口にしました。そして、


 


「米ドルへの依存を減らす」


 


ことにも言及し、いよいよアメリカがというのか、米ドルがというのか、ともかくそれらが大きな同盟国にも見放されはじめてきたようです。


各社報道を総合的に報じていたゼロヘッジの記事をご紹介させていただこうと思いますが、印象的だったのは、習主席と会っていた際のマクロン大統領に非常に笑顔が多く見られたことです。


最近のマクロン大統領の写真には、ヨーロッパなどで他国の首脳と会談している時に笑顔があまりありませんでした(あのストライキの中では笑顔も出ないでしょうが)。しかし、今回の中国訪問では、リラックスした様子が見られていました。


冒頭の写真は、広州の松園という庭園だそうですが、通訳1人だけを同伴し、二人ともノーネクタイで、リラックスした様子で話す様子が見られました。


以下は、その散歩の際の様子を報じたインドの報道です。


中国の習近平国家主席は金曜日、中国南部の広東省の省都広州でフランスのエマニュエル・マクロン大統領と非公式会談を行った。


習主席は、マクロン大統領の広州訪問を温かく歓迎し、再会できることを非常に喜んでいると表明した。


両首脳は、白雲山の近くにある松園を散歩し、おしゃべりをしたり、時には足を止めたりして、中国南部の庭園の独特の景色を楽しんだ。


彼らは水辺でお茶を飲み、景色を楽しみ、過去と現在について話し合った。


習氏とマクロン氏は白雲ホールで古琴の旋律「高山と流水」を聴いた。習主席はマクロン大統領を夕食に招待した。


North East Affairs


水辺でお茶を飲み、景色を楽しみ…古琴の旋律「高山と流水」を聴いた…って、「優雅じゃねえかよ」と思いましたが、ちなみに、古琴による「高山と流水」は以下のような音楽のようです。


古琴名曲: 《高山》/ 《流水》


「いい曲じゃねえかよ」(いい曲で、なんでそんな荒ぶる)と思いながらも、ともかく、おふたりは、今の時勢と関係ないような優雅な時を過ごしたようです。


まずは、ゼロヘッジの記事です。

マクロン大統領は、ヨーロッパは、米ドルへの依存を減らし、「戦略的自律性」を求めなければならないと述べた

Macron Says Europe Should Reduce Dependence On US Dollar, Seek 'Strategic Autonomy'
zerohedge.com 2023/04/10


米国は、最近の「脱ドル化」、つまりコモディティをドル以外の通貨で取引する国々が次々と現れる状態と闘っているが、米国にとっては、フランスのエマニュエル・マクロン大統領が同様のメッセージを増幅するということは、最も避けたいことだったかもしれない。


中国への3日間の公式訪問の一環として中国の習近平国家主席と約 6時間過ごした後、マクロン氏は、「フランスは第三次世界大戦とは何の関係も望んでいない」ことを非常に明確にした。


そして、ヨーロッパは、フランスが主導する「戦略的自治」を採用しなければならないだろうと強調した。欧州メディア「ポリティコ」によると、フランスは「第三の超大国」になることを述べているとした。


マクロン大統領は、フランスの大統領専用機であるコタム 001 機に乗って記者団と話している間、現在ヨーロッパが直面している「大きなリスク」は、「私たちヨーロッパが、私たちのものではない危機に巻き込まれ、戦略的自律性を構築することが妨げられている」ことだと述べた。


マクロン大統領が米国への依存を減らすことを提案したのはこれが初めてではない。


11月、マクロン氏は、ロシアと中国の力の利益と戦争の脅威について議論しつつ 「単一の世界秩序」を求め、以下のように述べた。


「私たちはジャングルにいる。そこには、ますます神経質になろうとしている 2頭の大きなゾウがいる」


「彼らが非常に神経質になって戦争を始めれば、ジャングルの残りの部分にとって大きな問題になるだろう。他の多くの動物、トラ、サルなどの協力が必要なのだ」


 


中国は歓迎した


マクロン氏の、この「戦略的自治」という概念は、西側が衰退している一方で、中国が台頭しているという考えに焦点を当ててきた習主席と中国共産党によって「熱狂的に」支持された。


マクロン氏は以下のように述べた。


「私たちはアメリカの追随者に過ぎないと確信していることへの矛盾を認識し、パニックに打ち勝つ必要がある」


「ヨーロッパ人たちが答えなければならない質問は…台湾の危機を加速することが私たち(ヨーロッパ)の利益になるのか? ということだ。答えはノーだ。もっと悪いことは、私たちヨーロッパ人がこのトピックの信奉者になり、米国の議題から手がかりを得なければならないと考えることだ。そして、それにより中国が過剰反応を起こすことが最も悪いことなのだ」


 


ポリティコは以下のように報じている。


マクロン氏の飛行機が広州を離れてパリに戻ったわずか数時間後、中国は、台湾の自治島周辺で大規模な軍事演習を開始した。これに対して、米国は武器と防衛を約束している。


これらの演習は、台湾の蔡英文総統の中米諸国への 10日間の外交ツアーへの対応であり、カリフォルニアでのトランジット中に共和党の米国下院議長であるケビン・マッカーシー氏との会談が含まれていた。


マクロン大統領の考えに詳しい複数の人物は、中国政府が「台湾包囲」模擬演習を開始する上で、マクロン氏が中国領空から出るまで待ってくれたことを喜んでいると語った


 


大統領に同行したフランス当局者によると、マクロン氏の従順な発言は、彼と習近平氏が台湾について「激しく」議論した後に行われた。


とはいえ、マクロン大統領に同行した欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は、台湾地域の安定を強調し、先週の北京での会合で習近平国家主席に「現状を変えるための武力行使の脅威は容認できない」と語ったと述べている。


習主席は以下のように語った。


「欧州はウクライナの危機を解決できない。台湾に対して『気をつけろ、何か間違いがあればそこに行く』という言葉をどうやって信頼できると言えるだろう? 本当に緊張を高めたいのなら、それがその方法だ」


 


地政学アナリストであるヤンメイ・シー氏によると、「ヨーロッパは、中国が地域の覇権国になっていく世界を、より受け入れようとしている」という。


「一部の指導者たちは、そのような世界秩序がヨーロッパにとってより有利になるかもしれないとさえ確信している」


 


先週行われたフォン・デア・ライエン氏とマクロン氏との習近平氏の三者会談で、中国の指導者は 2つのことを強く懸念した。


習主席のモスクワ訪問に同席していたある情報筋は以下のように述べたと、ポリティコは報じた。


「習主席は、ウクライナ紛争の責任を問われたことに明らかに腹を立てており、最近のモスクワ訪問の軽視に対して習主席は明らかに米国に激怒し、台湾総統が米国を通過したこと、そして外交政策の問題がヨーロッパ人によって提起されたことに非常に腹を立てていた」


 


ポリティコは以下のように報じる。


この会談で、マクロン氏とフォン・デア・ライエン氏は台湾について(周主席と)同様の見解を示したとこの人物は語った。マクロン氏はその後、中国の習主席と 4時間以上を過ごし、そのほとんどは、通訳のみ(二人だけの対談)だった。その後、ジャーナリストたちと話したときのマクロン氏の口調は、フォン・デア・ライエン氏の口調よりもはるかに融和的だった。


 


 


ドルを捨てる時が来たのか?


マクロン大統領は、ヨーロッパは武器とエネルギーを米国に依存しすぎており、今は自国の防衛産業を後押しすることに集中しなければならないと示唆した。


しかし、おそらく最も注目に値するのは、ヨーロッパが「米ドルへの依存」を減らす必要があるという彼の提案であり、これはロシアと中国政府の両方が強調してきたラインだ。


ポリティコは以下のように報じる。


情報筋は「 2つの超大国間の緊張が過熱すれば…戦略的自治に資金を提供する時間も資源もなくなり、属国になるだろう」と述べた。


ロシア、中国、イラン、その他の国々は、近年、支配的なドル建ての世界金融システムへのアクセスを拒否することに基づく米国の制裁によって打撃を受けている。


ヨーロッパの一部の人々は、アメリカ政府によるドルの「武器化」に不満を漏らしており、これによりヨーロッパの多くの企業が事業を放棄し、第三国との関係を断ち切らざるを得なくなるか、壊滅的な二次制裁に直面することになる。


マクロン大統領は、胸に「フレンチテック」と書かれたパーカーを着て A330 航空機の個室に座っている間、ヨーロッパの「戦略的自治に関するイデオロギーの戦いに勝利した」と主張した。




 (以下省略)