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 欧州連合(EU)は25日、2035年にガソリンなどで走るエンジン車の新車販売をすべて禁止するとしてきた方針を変更し、環境に良い合成燃料を使うエンジン車は認めると表明した。エンジンの全面禁止により電気自動車(EV)シフトを世界に先駆けて進めてきたEUの政策が大きく転換した。

パリモーターショーで仏ルノーが発表した電気自動車のコンセプトカー「ルノー4エバー」=2022年10月17日、和気真也撮影
パリモーターショーで仏ルノーが発表した電気自動車のコンセプトカー「ルノー4エバー」=2022年10月17日、和気真也撮影© 朝日新聞社

 EUの行政府、欧州委員会とドイツ政府が25日に協議。その後、欧州委のティマーマンス上級副委員長がツイッターで合意したことを明らかにした。再生可能エネルギー由来の水素と二酸化炭素からつくられる合成燃料「e―Fuel(イーフューエル)」を使うエンジン車の新車販売は、35年以降も可能にする。


 EUが昨年決めた方針を転換した背景には、フォルクスワーゲンやメルセデス・ベンツなど自動車産業を抱えるドイツ政府が合成燃料の利用容認を求めたことがある。自動車業界に近いドイツ政権与党の一部から声が上がり、EU閣僚理事会での採決に「待った」をかけた。このため、EU内で再検討していた。


 EUの中でもフランス政府はドイツの主張に反対していたが、ドイツ自動車産業との結びつきが強いイタリアや東欧諸国はドイツに賛同。25日に欧州委とドイツ政府が最終協議していた。


 ただ、欧州メディアによると、合成燃料はエンジンの利用継続を認める「抜け穴」との批判が出ており、EUが先陣を切ってきたEVの普及の遅れにつながりかねないとの懸念もある。


 EUのエンジン車禁止は、日本の自動車メーカーが強いエンジンとモーターを併せ持つハイブリッド車(HV)の禁止も含まれる予定だった。合成燃料の利用が可能になれば、HV技術を生かした日本車は有利になる可能性がある。(ロンドン=和気真也)