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徽宗皇帝のブログ

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グアムの今は明日の沖縄

だいぶ前にスマホで読んで、いい記事だなあと思ったのだが、スマホから自分のブログにつなぐ方法が分からないのでそのままにしていたものを、某国際記事サイトで見つけたので転載する。
特に観光が経済の生命線であり、米軍基地の存在がそのまま生活に大きな影響を持っている沖縄県にとっては他人事ではないどころか、明日明後日にもまったくこれと同じ状況になる可能性がある、という意識で読んでもらいたいと思う。
コピーが不調なので、ここで読めなければ、できれば元記事を読んでほしい。その価値がある記事だ。

(以下引用)

「日本から一番近い楽園」グアムが崩壊寸前 新型コロナ禍

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陣内真佐子(文筆家/グアム在住)

グアム政府のロックダウン政策で、無人になったグアム島の繁華街・タモン地区=2020年4月10日【AFP時事】

「本土」から数千キロ離れた「米国の植民地」グアムの悲劇
 成田や関西などの日本の主要空港から約3時間半しかかからず、1年中気候も温暖なことから「安近短」の旅行先として人気を誇ってきたグアム。「日本から一番近い楽園」ともいえるこの地を訪れたことがある人も多いだろう。そのグアムが今、崩壊の危機にさらされている。


 世界で猛威を振るっている新型コロナウイルス感染症。米国の準州であるグアムでは、2020年3月14日に知事が公衆衛生緊急事態を発令、その後、島内で感染者が確認されたことを受け、同20日にはショッピングモールや娯楽施設、レストラン等の人が集まる施設を閉鎖するとともに、学校も休校とし、住民にも在宅を原則とする「ステイホーム令」が発せられるなど事実上のロックダウン(都市封鎖)政策が施行された。グアム政府が迅速に対応したことで、その後の感染者拡大には歯止めがかかり、5月から経済活動への規制が段階的に緩和され、6月には日本などからの観光客受け入れを再開する方針も打ち出された。


 ところが、7月下旬から再び感染者が増加し、8月14日には再度のステイホーム令を含む最高レベルの規制が再開されたものの、その効果は限定的で、12月初旬には人口約16万6000人のグアム島内の累計感染者は約7000人に達し、感染者の拡大が抑え込めていない深刻な状況下にある。

グアム島北部の米空軍アンダーセン基地に着陸するB1戦略爆撃機。同基地は太平洋戦争中に日本本土爆撃のために整備されたが、現在も米空軍の西太平洋地域の主要拠点として機能している=2020年9月10日(米国防総省提供)【時事通信社】

 グアムは太平洋に浮かぶ孤島であるため、空港で島外からの入島者検疫をすれば水際で感染が防げそうに思える。実際、7月26日以降、一般入島者は空港でのPCR検査結果が「陰性」であっても14日間、政府指定検疫施設(デュシビーチリゾートまたはデュシタニホテルの客室)から一歩の外出さえも許されない強制完全隔離を強いられていた。


 しかし、島民からグアム政府への不平不満が膨らんだため、グアム公共衛生保健局が隔離制度の見直しを行い、隔離6日目にPCR検査を受け、7日目に出るその検査結果が「陰性」であれば、残りの7日間を自宅または自分で手配した別のホテルや友人宅などでの隔離に変更できるようになった。ただし、検査結果が「陽性」の場合、発熱などの症状が認められればもれなく病院に搬送され、無症状ならば別の検疫施設(ベイビューホテルの客室)に14日間強制収容される。


軍関係労働者は検疫も隔離もなし
 その一方、米連邦政府からグアム島内の米軍軍事施設の工事のために送り込まれる労働者に限っては、「必要不可欠な労働力」としてH2就労ビザが与えられ、入島時の検疫のみならず14日間の強制隔離も免除されている。島民や観光客とは明らかに異なる扱いを受けているが、グアム政府はそれに対して反対も抗議もできない。


 なぜなら、米連邦法上「グアムはアンインコーポレッド・テリトリー(未編入領土)であり米連邦政府の所有物である」と明記されているからだ。未編入領土というと聞こえはよいが、事実上グアムは米国の「植民地」である。1950年、グアム島民に米国市民権が付与されて以来70年も連邦政府が定める法的義務を果たし、合衆国憲法を順守しながら生活をしているにもかかわらず、大統領選挙はおろか国政選挙の選挙権もなく、ワシントンDCの連邦議会に地域代表の議員を立てる権利も認められていない。


 つまり、米軍基地外に住むグアム島民のコミュニティーは存在していないも同然で、グアム政府は連邦政府の決定には口出しができない一方的な支配関係が21世紀の現在も続いているのだ。

病院数が少なく医療水準が低い「孤島」ゆえ医療崩壊寸前に

グアムの米海軍基地に停泊する原子力空母セオドア・ルーズベルト。同艦は2020年3月、フィリピン近海で作戦中に乗組員の間で新型コロナウイルスの感染が広がった。その後の検査で乗組員約4800人のうち約850人が陽性と診断され、グアムで大多数を下船させることになり、海軍艦艇として活動することができなくなった=2020年5月15日【AFP時事】

 8月上旬からの第2波を引き起こしたのは、この軍事施設新設ならびに拡張工事のため、入島時の検疫も14日間の強制隔離もなしに入島してくるH2ビザ労働者が原因だと目されている。その理由は7月時点ではグアム島内での新規市中感染者数はほぼゼロの日々が続き、島外からの一般の入島者は前述のように14日間ホテルの客室からすら出られない「強制隔離」を強いられている。そうなるとウイルスを再度グアムに持ち込んだのは、数千人ともされるH2ビザ労働者たち以外にないと考えられたからだ。


 島内でPCR検査を受け、陽性反応が出た患者たちが治療を受けている公立病院のグアムメモリアルホスピタルならびに私立病院のグアムリージョナルメディカルシティは、ともに集中治療室(ICU)病床がわずかしかない。重篤な肺炎に対応できる体外式膜型人工肺(ECMO、エクモ)も、それを操作できる医療技術者もいないため、コロナ患者が重篤症状に陥った場合、その人の命を助けることができないのだ。なお、島内には海軍病院も存在するが、現役軍人、退役軍人とその家族など限られた軍関係者しか受診できない。


 グアム公共衛生保健局の担当者は9月11日、米国本土のABCニュースに対し「グアムでは16万6000人の島民の1.1%(1750件)の感染が確認されており、既に島内にある二つの病院は定員に達している。ワシントンDCに救援を求めているが、グアムは医療崩壊寸前の状態である」と語っている。

新型コロナウイルスに感染した可能性のある米海軍の関係者を収容する施設になったグアム島内のホテル。中央の看板には「軍関係者以外立ち入り禁止」と掲示されている=2020年4月10日【AFP時事】

 新型コロナ第2波の影響で島民たちが休職や解雇を余儀なくされ、日々の暮らしに貧窮しているなか、グアム政府はグアムメモリアルホスピタルの人手不足を補う目的で、145ドル(約1万5000円)という非常識なまでに高い時給で35人の看護師を米国本土から雇い入れた。


「医療」か「経済」か
 こうした状況を受け、島民たちからは何よりも経済再生を優先してほしいという要望が高まってきている。


 しかし、主要産業である観光業が壊滅状態の今、グアムが経済的な活路を見いだす方法はどこにあるのだろう。地元では、2025年ごろにならなければ、観光業は再開できないといった悲観説もあるが、それすら定かではない。


 そして最近では、グアム政府は本気でコロナ禍を収束させる気持ちがないのではないかという声まで聞かれるようになってきている。なぜなら島内で新型コロナ関連の死亡者が出た場合、連邦政府からグアム政府に支払われる1人当たり4万ドル(約420万円)の弔慰金のうち4分の1の1万ドル(約105万円)は遺族に給付されるものの、残りの3万ドル(約315万円)はグアム政府の収入になるからだ。


 こう言っては身もふたもないが、コロナ禍で観光業が大打撃を受け、米軍基地関連工事以外に大きな産業がなくなったグアム政府にとって、連邦政府からの「コロナ禍による死亡者への弔慰金は大きな財源」となっていることは間違いない。


 実際、12月12日時点でグアム政府は既に351万ドル(約3億7千万円)の弔慰金(死亡者累計117人)を連邦政府から得ている。しかも、グアム政府管轄の行政機関職員は、病院・保健局・警察・消防・介護福祉など実働している人たち以外の自宅待機者も含め割増賃金を支給されていて、これも一般住民たちにとってはいらだちのタネになっている。

さらに強まる「米軍基地」の比重

グアム島で観光客に人気のタモン湾のビーチ=2017年8月15日【AFP時事】

 このようにコロナ禍で大打撃を受けているグアムはさらに連邦政府の「抑圧」に逆らえない状況に追い込まれつつある。


 2006年、日米両国の政府間で合意された宣野湾市の在沖米軍基地再編に伴う「グアムビルドアップ計画」により24年までに沖縄からの移転が決まっている在沖米軍海兵隊司令部要員8000人とその家族9000人の移入によってグアム経済は隅々まで潤うようになるとも言われている。


 そしてもし、中国との紛争に備え「弾道ミサイル防衛能力を持つイージス駆逐艦または巡洋艦防衛システム」のグアム設置計画の予算支出を連邦議会が承認した場合、今まで以上に多額の軍事補助費が毎年グアム政府に支払われることになるはずだ。


 そのとき、沖縄全島の4分の1にも満たない(沖縄本島の半分以下)約549平方キロのグアム島の総面積のうち米軍軍事施設の占める割合は現在の33%から60~70%近い数字になる可能性がある。軍関連施設が増えることにより、島内のライフラインのうち特に上下水道への負担が増し、一般住民への水の供給に不安が出ることや、周辺海域の汚染などを心配する声も多い。そして連邦上院下院議会の公聴会などで国防総省の高官たちがしばしば口にする「太平洋の要塞(ようさい)、米国最大最強の沈まぬ航空母艦(米軍軍事基地)」にグアムはなってしまうのではないかと危惧されている。


 グアム政府観光局の統計によると、2019事業年度(18年10月1日~19年9月30日)にはグアム島観光歴史上最多となる163万人の来島者(前年度は152万人)が訪れた。ここ数年韓国マーケットに押され低迷していた日本マーケットの復活と成長を20年度に期待していたグアム。この「日本から一番近い楽園」に再び観光業が戻る日はいつやって来るのだろうか。


 終息の見えない「新型コロナ」と島内でかなりの比重を占める「米軍基地」の拡張。楽園グアムの観光はその両方から挟み撃ちに遭っている。


 陣内真佐子(じんない・まさこ) 文筆家。1996年3月より家族とともにグアムに移住。グアム大学で3年半の学び直し生活を送った後、2000年にグリーンカード(米国永住権)を取得しグアム政府観光局などに勤務。10年に取得したグアム政府公認ガイドの知識を生かし、15年から国内最大手の旅行情報誌のグアム特派員としてブログ活動や各種雑誌やウェブ記事の執筆や翻訳を手掛けている。海外書き人クラブ会員。


(2020年12月掲載)


































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