「阿修羅」から転載。長い記事なので前半省略。
この新コロ不況下でも大企業の倒産が案外少ないのは、内部留保金が巨額だからだろう。だが、それも、新コロ詐欺が後何年続くかで変わってくる。大企業がバタバタと倒産する日が着実に迫っているのである。
(以下引用)
日本は本来、世界最高レベルの外貨保有国
そもそも、なぜ日本は東京オリンピックやインバウンド需要にこれほどこだわらなくてはならないのか、という大きな疑問があります。というのも、観光産業で外貨を稼がなくても、日本は世界一外貨を持っているのです。
国内の工業などがあまり栄えておらず、観光産業で稼がなくてはならない国というのは世界中にたくさんあります。が、日本はそういう「観光産業に頼らなくてはならない国」ではないのです。
にもかかわらず、日本は「観光産業」に過度に依存しようとしています。それは一体なぜでしょうか?
実はそこには「日本経済の闇」があるのです。
【関連】元国税が暴く竹中平蔵氏の住民税脱税疑惑「ほぼクロ」の決定的証拠
「東京オリンピック」も「観光立国計画」も、平成の長い不況を打開するためのものでした。平成時代は、失われた20年とも失われた30年とも言われる長い不況の時代とされています。
その閉塞感を打破するために、東京オリンピックを誘致したり、観光産業を発展させようとされてきたのです。
しかし、しかし、です。実は平成の30年の間の日本の景気というのは、決して悪いものではありませんでした。もうすっかり忘れ去られていますが、2002年2月から2008年2月までの73カ月間、日本は史上最長の景気拡大期間(好景気)を記録しています。
この間に、史上最高収益も記録した企業もたくさんあります。トヨタなども、この時期に史上最高収益を出しているのです。
また2012年からはさらにそれを超える景気拡大期間がありました。つまり、平成時代というのは、「史上まれに見る好景気の時代」だったのです。日本企業の営業利益はバブル崩壊以降も横ばいもしくは増加を続けており、2000年代に史上最高収益を上げた企業も多々あるのです。
そして、日本企業は、企業の貯金ともいえる「内部留保金」を平成の時代に倍増させ、現在は400兆円を大きく超えているのです。
また日本企業は、保有している手持ち資金(現金預金など)も200兆円近くあるのです。これは、経済規模から見れば断トツの世界一であり、これほど企業がお金を貯め込んでいる国はほかにないのです。
アメリカの手元資金は日本の1.5倍ありますが、アメリカの経済規模は日本の4倍です。だから経済規模に換算すると、日本の企業はアメリカ企業の2.5倍の手元資金を持っていることになるのです。世界一の経済大国であるアメリカ企業の2.5倍の現金預金を日本企業は持っているのです。
貿易収支も、バブル崩壊以降もずっと10兆円前後の黒字を続けてきました。赤字になったのは、東日本大震災の後になってからなのです。
また2011年以降、貿易赤字が続いているので、日本はヤバいのではないか、と心配している人もいるかもしれません。が、2011年以降の赤字額も、これまで積み上げた貿易黒字に比べると、屁のような額なのです。
【関連】竹中平蔵氏に逃げ道なし。元国税が暴くパソナと政府間「黒いカネ」の流れ
しかも、赤字になっているのは、「物」の輸出入のみの換算なのです。近年、日本企業は、自国でモノをつくって輸出するよりも、海外に子会社をつくって現地でモノをつくるという傾向にあります。つまり、物ではなく、資本を輸出するようになったのです。
この「資本」を含めた輸出入(経常収支)では、日本は震災以降もずっと黒字なのです。「近年、日本経済の国際競争力が落ちた」などと言われることがありますが、決してそんなことはありません。
毎年、毎年、10兆円もの貿易黒字を何十年も続けてきた国、何十年もの間、経常収支が黒字を続けた国など、世界中にどこにもないのです。
国際競争力から見れば、日本は世界のトップクラスであることは間違いないありません。日本の外貨準備高は1兆2,000億ドルをはるかに超えています。
これは、EU全体の倍以上という巨額さです。国民一人あたりにすれば、100万円以上の外貨準備高を持っている計算になり、断トツの世界一です。中国の3倍以上にもなるのです。
実際に日本というのは、現在、実質的に世界一の金持ち国です。日本の個人金融資産残高は現在約1,900兆円です。一人当たりの金融資産1,000万円を大きく超え、アメリカに次いで世界第2位となっています。
しかも、これは金融資産だけの話であり、これに土地建物などの資産を加えれば、その額は莫大なものです。
また日本は、対外純資産は、約3兆ドルで世界一です。日本は世界一の債権者の国でもあります。つまり「日本人は世界一の金持ち」といっていいのです。
なのに、なぜ我々は、平成時代ずっと不景気だと思ってきたかというと、その答えは、実は明白です。日本のサラリーマンの給料が下がっているからです。
このメルマガでも何度もご紹介しましたが日本経済新聞2019年3月19日の「ニッポンの賃金(上)」によると、1997年を100とした場合、2017年の先進諸国の賃金は以下のようになっています。
このように日本の賃金状況は、先進国の中ではこの20年で唯一、賃金が下がっており、異常ともいえるような状態なのです。
今の日本に必要なのは「成長」ではなく「循環」
今の日本で問題なのは金がないことではなく、金があるのにそれがきちんと循環していない、ということなのです。週に40時間まともに働いて、家族を養うどころか自分がまともに食う事さえできない国というのは、世界中そうそうあるものではありません。
政治家や経済界の人は、それを恥じてほしいものです。これだけ金を持っているくせに、国民をまともに食わせることさえできないのか、ということです。
極端な話、景気対策などは必要ないのです。必要なのは、大企業や富裕層がため込んでいる金を引き出して、金が足りない人のところに分配することだけなのです。
それも、特別なことをしろといっているわけではありません。先進国として最低限度の賃金政策、雇用政策をとるだけでいいのです。
たったそれだけのことで、日本全体が救われます。今の日本の最大の課題は、「経済成長」ではありません。もちろん、経済成長も大事なことではあります。しかし日本の経済競争力はまだまだ健在であり、それほど差し迫った問題ではないのです。
今は、それよりもはるかに切迫した問題があります。世界の10%以上という莫大な金を持っているのに、たった1億数千万人の国民を満足に生活させることができない、という「経済循環の悪さ」です。その点に、為政者、経済界のリーダーたちは気づいていただきたいものです。
「爆発的な経済成長をすれば全ての問題が解決する」という、安直で愚昧な政策を、もうこれ以上繰り返さないでいただきたいのです。何度も言いますが、今の日本は十二分に競争力はあるし、資産も持っています。経済循環が悪いだけなのです。
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今、経済競争力や資産の余力があるうちに、この問題を解決しておかないと、近い将来、経済競争力や資産も失っていきます。
そもそも日本の高い競争力は、誰が担ってきたものでしょうか?日本の高い技術力というのは、十分な教育を受けた勤勉な多くの国民が支えてきたものです。
だから競争力を維持したければ、まずは国民が普通の生活をしていける環境を整えるべきです。そして「金がないから進学できない」「金がないから結婚、出産できない」というような若者を絶対に出さない事です。
企業を優遇すれば、目先の経済指標は上向きます。しかし、国民生活をおざなりにするような国は、長い目で見れば確実に国力を失っていくのです。決して多くない子供の教育さえままならない今の日本では、近い将来、国際競争力を失っていくのは火を見るより明らかです。
東京オリンピックについては、それほど大きな問題ではありません。無理してやる必要はないし、無理してやめる必要もないという程度の問題なのです。
まずはバブル崩壊以降、すっかりしぼんでしまった国民の生活をきっちり立て直すこと、それが大先決の問題なのです。
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大村大次郎 この著者の記事一覧
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この新コロ不況下でも大企業の倒産が案外少ないのは、内部留保金が巨額だからだろう。だが、それも、新コロ詐欺が後何年続くかで変わってくる。大企業がバタバタと倒産する日が着実に迫っているのである。
(以下引用)
日本は本来、世界最高レベルの外貨保有国
そもそも、なぜ日本は東京オリンピックやインバウンド需要にこれほどこだわらなくてはならないのか、という大きな疑問があります。というのも、観光産業で外貨を稼がなくても、日本は世界一外貨を持っているのです。
国内の工業などがあまり栄えておらず、観光産業で稼がなくてはならない国というのは世界中にたくさんあります。が、日本はそういう「観光産業に頼らなくてはならない国」ではないのです。
にもかかわらず、日本は「観光産業」に過度に依存しようとしています。それは一体なぜでしょうか?
実はそこには「日本経済の闇」があるのです。
【関連】元国税が暴く竹中平蔵氏の住民税脱税疑惑「ほぼクロ」の決定的証拠
「東京オリンピック」も「観光立国計画」も、平成の長い不況を打開するためのものでした。平成時代は、失われた20年とも失われた30年とも言われる長い不況の時代とされています。
その閉塞感を打破するために、東京オリンピックを誘致したり、観光産業を発展させようとされてきたのです。
しかし、しかし、です。実は平成の30年の間の日本の景気というのは、決して悪いものではありませんでした。もうすっかり忘れ去られていますが、2002年2月から2008年2月までの73カ月間、日本は史上最長の景気拡大期間(好景気)を記録しています。
この間に、史上最高収益も記録した企業もたくさんあります。トヨタなども、この時期に史上最高収益を出しているのです。
また2012年からはさらにそれを超える景気拡大期間がありました。つまり、平成時代というのは、「史上まれに見る好景気の時代」だったのです。日本企業の営業利益はバブル崩壊以降も横ばいもしくは増加を続けており、2000年代に史上最高収益を上げた企業も多々あるのです。
そして、日本企業は、企業の貯金ともいえる「内部留保金」を平成の時代に倍増させ、現在は400兆円を大きく超えているのです。
また日本企業は、保有している手持ち資金(現金預金など)も200兆円近くあるのです。これは、経済規模から見れば断トツの世界一であり、これほど企業がお金を貯め込んでいる国はほかにないのです。
アメリカの手元資金は日本の1.5倍ありますが、アメリカの経済規模は日本の4倍です。だから経済規模に換算すると、日本の企業はアメリカ企業の2.5倍の手元資金を持っていることになるのです。世界一の経済大国であるアメリカ企業の2.5倍の現金預金を日本企業は持っているのです。
貿易収支も、バブル崩壊以降もずっと10兆円前後の黒字を続けてきました。赤字になったのは、東日本大震災の後になってからなのです。
また2011年以降、貿易赤字が続いているので、日本はヤバいのではないか、と心配している人もいるかもしれません。が、2011年以降の赤字額も、これまで積み上げた貿易黒字に比べると、屁のような額なのです。
【関連】竹中平蔵氏に逃げ道なし。元国税が暴くパソナと政府間「黒いカネ」の流れ
しかも、赤字になっているのは、「物」の輸出入のみの換算なのです。近年、日本企業は、自国でモノをつくって輸出するよりも、海外に子会社をつくって現地でモノをつくるという傾向にあります。つまり、物ではなく、資本を輸出するようになったのです。
この「資本」を含めた輸出入(経常収支)では、日本は震災以降もずっと黒字なのです。「近年、日本経済の国際競争力が落ちた」などと言われることがありますが、決してそんなことはありません。
毎年、毎年、10兆円もの貿易黒字を何十年も続けてきた国、何十年もの間、経常収支が黒字を続けた国など、世界中にどこにもないのです。
国際競争力から見れば、日本は世界のトップクラスであることは間違いないありません。日本の外貨準備高は1兆2,000億ドルをはるかに超えています。
これは、EU全体の倍以上という巨額さです。国民一人あたりにすれば、100万円以上の外貨準備高を持っている計算になり、断トツの世界一です。中国の3倍以上にもなるのです。
実際に日本というのは、現在、実質的に世界一の金持ち国です。日本の個人金融資産残高は現在約1,900兆円です。一人当たりの金融資産1,000万円を大きく超え、アメリカに次いで世界第2位となっています。
しかも、これは金融資産だけの話であり、これに土地建物などの資産を加えれば、その額は莫大なものです。
また日本は、対外純資産は、約3兆ドルで世界一です。日本は世界一の債権者の国でもあります。つまり「日本人は世界一の金持ち」といっていいのです。
なのに、なぜ我々は、平成時代ずっと不景気だと思ってきたかというと、その答えは、実は明白です。日本のサラリーマンの給料が下がっているからです。
このメルマガでも何度もご紹介しましたが日本経済新聞2019年3月19日の「ニッポンの賃金(上)」によると、1997年を100とした場合、2017年の先進諸国の賃金は以下のようになっています。
アメリカ 176 イギリス 187 フランス 166 ドイツ 155 日本 91 |
このように日本の賃金状況は、先進国の中ではこの20年で唯一、賃金が下がっており、異常ともいえるような状態なのです。
今の日本に必要なのは「成長」ではなく「循環」
今の日本で問題なのは金がないことではなく、金があるのにそれがきちんと循環していない、ということなのです。週に40時間まともに働いて、家族を養うどころか自分がまともに食う事さえできない国というのは、世界中そうそうあるものではありません。
政治家や経済界の人は、それを恥じてほしいものです。これだけ金を持っているくせに、国民をまともに食わせることさえできないのか、ということです。
極端な話、景気対策などは必要ないのです。必要なのは、大企業や富裕層がため込んでいる金を引き出して、金が足りない人のところに分配することだけなのです。
それも、特別なことをしろといっているわけではありません。先進国として最低限度の賃金政策、雇用政策をとるだけでいいのです。
たったそれだけのことで、日本全体が救われます。今の日本の最大の課題は、「経済成長」ではありません。もちろん、経済成長も大事なことではあります。しかし日本の経済競争力はまだまだ健在であり、それほど差し迫った問題ではないのです。
今は、それよりもはるかに切迫した問題があります。世界の10%以上という莫大な金を持っているのに、たった1億数千万人の国民を満足に生活させることができない、という「経済循環の悪さ」です。その点に、為政者、経済界のリーダーたちは気づいていただきたいものです。
「爆発的な経済成長をすれば全ての問題が解決する」という、安直で愚昧な政策を、もうこれ以上繰り返さないでいただきたいのです。何度も言いますが、今の日本は十二分に競争力はあるし、資産も持っています。経済循環が悪いだけなのです。
【関連】元国税が暴露「アベノミクスで貧困化した人」が怒るべき数字とは?
今、経済競争力や資産の余力があるうちに、この問題を解決しておかないと、近い将来、経済競争力や資産も失っていきます。
そもそも日本の高い競争力は、誰が担ってきたものでしょうか?日本の高い技術力というのは、十分な教育を受けた勤勉な多くの国民が支えてきたものです。
だから競争力を維持したければ、まずは国民が普通の生活をしていける環境を整えるべきです。そして「金がないから進学できない」「金がないから結婚、出産できない」というような若者を絶対に出さない事です。
企業を優遇すれば、目先の経済指標は上向きます。しかし、国民生活をおざなりにするような国は、長い目で見れば確実に国力を失っていくのです。決して多くない子供の教育さえままならない今の日本では、近い将来、国際競争力を失っていくのは火を見るより明らかです。
東京オリンピックについては、それほど大きな問題ではありません。無理してやる必要はないし、無理してやめる必要もないという程度の問題なのです。
まずはバブル崩壊以降、すっかりしぼんでしまった国民の生活をきっちり立て直すこと、それが大先決の問題なのです。
image by: 首相官邸
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元国税調査官で著書60冊以上の大村大次郎が、ギリギリまで節税する方法を伝授する有料メルマガ。自営業、経営者にオススメ。
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